第15話 突入

「東城様、準備できました」


響が息を切らしながらそう言ってリビングの中に入ってきた。


手には懐中電灯と別荘の見取り図を持っているようだ。


「ありがとう、それがあれば大丈夫なはずだ。懐中電灯は琴音に渡してくれ」


俺の指示通り、響が琴音に懐中電灯を手渡すと、皆で頑丈な鉄扉の前まで歩いていく。


「この扉は闇蜘蛛の件で、頑丈にした訳じゃないんだよな?」


見た感じ新しく作られたものではないため、俺はそう問いかけた。


「はい、別荘の建設時からこのようになっていたと聞いてます」


「そうか。それが被害拡大を阻止している感もあるが、

 地下室のどこかに地上に繋がる穴が出来ているはずなので、

 外に逃げないよう確実に倒す必要があるな」


琴音を確実に守りながら、響の妹に危害を及ばないように牽制しつつ、闇蜘蛛を逃げないか。


結構やっかいな仕事だと思いながらも、鍵穴に鍵を差し込んで、開錠する。


「よし。それじゃ、まず俺が中の様子を伺ってみるよ」


ゆっくりと少しだけ扉を開けて中を覗きこむと、予想通り真っ暗で何も見えないため、琴音に懐中電灯で照らしてもらう。


中には四畳半くらいのスペースがあり、その奧には下へ向かう階段が続いているようだ。


「今の所は大丈夫そうだな。扉を開けて中に入るぞ」


音を立てないように静かに扉を開き、階段手前のスペースで一度足を止める。

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