第11話 末路
「それでも妹を諦める訳にはいかないので、
東城様には負けられないんです!」
変わらず闘志を燃やす響。
転倒させるだけでは諦めないと思った俺は、響に核心に触れる質問を投げ掛ける。
「響。お前の妹の問題はリビングの床に落ちていた
灰のような物が関係してるのだろう?」
その言葉は、拳を握りしめていた響に届いたようで、響は拳を収めて眼を瞑った。
「……あれは、喰われた人間の末路。
化け物に喰われると灰のようなものがその場に残されるのです」
あれを見ると嫌な感じがするとは思っていたが、そう言う事だったのか……。
「ちなみに喰われると言うのは、頑丈な鉄扉の向こうに
人外な存在がいると言う認識で間違いないか?」
「はい。廊下の一番奥にある鉄扉の向こうには地下室への
入り口があって、そこには巨大な蜘蛛と人質にされた私の妹、
沙耶(さや)がいます」
闘志を消して落ち着きを取り戻した響は「経緯を説明するので」と言って、俺に椅子に座るよう促したため、俺はそれに従って腰を降ろす。
「今から10日くらい前でしょうか。
私と琴音様と妹の沙耶とで、休養のためこの別荘に足を運んだのです」
10日前……だからこんなに設備も整っていて、車のタイヤも汚れていなかったのか。
「手配は全て整えていたので皆で羽を伸ばしていたのですが、
地下室に足を踏み入れると、どこからともなく闇に覆われた
大きな蜘蛛が現れました」
闇に覆われた大きな蜘蛛か。
それならやはり俺の力が必要になりそうだ。
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