2.実はブログぐらい簡単に作れる電子書籍
先回から随分と日があいてしまいました、実践編と題した第二章。
自分が電子書籍を出すまでの足跡を綴った第一章に比べ、どうも閲覧数がガクッと下がっていて驚きました。
皆さん、作り方の方に興味があるのだとばかり思っていましたが、飛んだ見込み違いだったみたいですね。そんなだから売れないんだ俺は←
自分以外にも作り方書き方を拡散してくださってる先達は山のようにいますし、自分が語るべきことはもうそれほど残っていないのではないかな、ていうか面倒くさいしエタっちゃおうかな――と魔が差したりもしましたが、自作の執筆活動やら実生活の諸問題が落ち着いてきたこともありまして、せっかくなので続けてみたいと思います。
今回は、ずばり『電子書籍の作り方』についてです。
「電子書籍に挑戦してみたい」と考えてはいるものの、「どう作ればいいのか」「そもそも電子書籍イズ何?」と首を傾げて手をこまねいてしまっている方も多いと思います。
実は「ブログサイトを作るぐらい簡単なものだ」と皆さんに知っていただきたく、今回は話を進めさせていただきます。
たしかに小説そのものはテキストエディタでも、こういった小説投稿サイトのテキストボックスでも、キーボードがあって文字が打てれば誰にでも書けますよね。面白いものが書けるかは、なんかこうソウル的なスピリットに溢れてるか次第でなんとかなりますが、ソウルに溢れていても電子書籍はできません。
ですが、我々の創作ソウルに形を与えてくれる〝コンバーターソフト〟が実は既に色々と存在しています。
また、制作から登録まで、一手に引き受けてくれる〝代行サービス〟の存在も最近では増えてきています。
前者は作品の制作から管理まで、全てを自分で行わなければいけない分、手間や労力はかかりますが、中間に人を挟んでいないぶん得られる利益は増えますし、自分なりのこだわりやスタンスを反映させやすいメリットがあります。
対して後者は手間が一切かからないものの、代行してもらうために手数料を払う必要がありますし、細かいチューンナップが難しい場合もあります。
料理をこだわって自分で作るか、人に注文して作ってもらうかぐらいの違いだと思ってください。ちなみに僕は料理好きだけどよく失敗します(どうでもいい)
代行サービスは軽く調べてみただけでもかなりの数がありますし、どれも一長一短です。ただし残念ながら僕自身は利用したことがないので、詳しい紹介などは今回控えます。
仮にオススメを一つあげるとしたら『BCCKS』が難易度と自由度のバランスで優れているんじゃないかなと思います。
自分はもっぱらケチ性分の自炊派もとい自作派なので、ここでは自分で作るための方法について詳しく話をしていきます。
前者のコンバーターを使う場合、僕が愛用していてお世話になっている『でんでんコンバーター』がかなりオススメですが、「なろう」や「カクヨム」に投稿されている皆様には『AozoraEpub3』の方もかなりオススメできます。
なぜカクヨムユーザーに後者を勧めるのかといいますと、それは小説を書く際に使用する
カクヨムなどで利用されている青空記法では、振り仮名の指定に二重山括弧を利用するのが定石です。『AozoraEpub3』も
ただし傍点に関しては記法が大きくことなるので、変換の際には留意してください。
詳しい記法については『青空書式』で調べれば簡単にしることができますが、一つ留意していただきたいのは記号は基本的に全角というところです。
これ、ちょっとでもプログラム知ってる人ほどドツボにはまる罠なので、本気で覚えておいてください。
しかしでんでんコンバーターが採用している記法は、wikiやGitなどでよく使われているマークダウンに近く、ルビを振る場合は以下のように記述します。
{振り仮名|ルビ}
他にも独特の記法が多く有りますが、ここでは割愛します。
ちなみに自分の場合、「でんでんコンバーター」で生成した電子書籍ファイルを販売してはいますが、同じ文章の一部を「なろう」や「カクヨム」でも無料公開しているので、この問題は当初かなり悩ましく感じられました。
ですが両者の記法を理解すれば、あとは記号を置き換えるだけなので、正規表現で置換マクロを組んで、ボタン一発で公開用に変換できる仕組みを自作して解決しました。これちょっとだけ自慢。
要望があれば、どんなマクロを組んでるのか詳しくお話したいと思うんですが、それはまた別の機会に。
とりあえず、二つのコンバーターの違いは「ルビなどの記法の違い」が大きなものとして挙げられますが、実際に使ってみた自分の見解からすると、もっと大きな違いが存在します。
それは、「AozoraEpub3」だと、自幅や字下げ、地付き、文字サイズ、フォントなどといった、言ったところの装丁組みの改造がかなり難しいと気付いたからです。
せっかく自分でイチから作れる電子書籍だからこそ、編集として装丁にもこだわっってみたいですよね。え、そんなことない? 大丈夫です、どうせ作ってるうちにこうなります。あきらめろ。
ここまでの段階では「電子書籍とは何なのか」をあまり意識する必要はありませんが、装丁にこだわるとなると避けては通れない問題です。
「電子書籍ファイル」と言ってしまえば、なんか「テキストとか画像とかと同じファイルなんだろうな」という感想を持つかと思います。
ですが、「電子書籍ファイル」というものの実態は、どちらかというと今皆さんがご覧になってるこのエッセイと同じ、「Webページ」に実は近いものだったりするのです。
ここで「Webページだってhtmlだから同じファイルじゃん」と鋭いツッコミが入れられた人は、もうほとんど理解できてるようなものだと思います。
「いやサーバーサイドで生成されたスクリプトだからファイルじゃないでしょ」と揚げ足を取りにくる人は、なんかもう黙っててくださいお願いします。
驚くべきことに、電子書籍コンバーターで生成される「Epub」と呼ばれる拡張子のファイルは、実は簡単に言えば「Webページをzipに固めたもの」でしかありません。
試しにファイルの「.epub」の部分を「.zip」に変えて解凍ソフトに突っ込むと、普通に解凍ができてめっちゃ驚きます。驚きました。
ここまでで説明してきたコンバーターソフトというものの役割は、実際のところ「文章内の記号をhtmlタグに変換する自動置換」の役割が大きいです。
なのでコンバーターがなくても、テキストエディタとzip圧縮ソフトの二つさえあれば、電子書籍を作成することは理論上可能です。もちろん、そんな面倒なまねをする必要はないのですが。
そして、装丁組みに関しては〝CSS〟の存在が大きく関わってきます。CSSが理解できれば、電子書籍の自作はかなり簡単です。知れば知るほど理解の及ばない奥深さを感じるものですが、まあ世の中の技術というのは大抵すべてそういうものです。
僕がなぜ『でんでんコンバーター』を使っているかというと、ソフトの性質上、『AozoraEpub3』の方だと文中にHTMLタグを文中に差し込むといった文字組作業にかなり難があったからです。CSSの改造自体は可能なのですが、対となっているソース側にタグが入れられなければ意味がありません。
そういったこだわりからコンバーターソフトを切り替えたという経緯が自分の場合はありました。
ちなみにワープロソフトの大家、『一太郎』にも電子書籍の作成機能が備わっているそうですが、自分は使ったことないので詳しくは言えません。
ただ、「それってホームページビルダーでWebサイト作るようなことになるんじゃね?」というのが個人的な見解です。「何か問題なの?」と感じるか「そりゃやべえな」と感じるかはその人次第ですね……(遠い目)
ここで話を冒頭に戻しますが、「電子書籍を作る」というのは「ブログサイトを作る」ぐらいの難易度です。
ただし、「ブログサービスに文章を投稿するだけ」から「スタイルを自分でカスタマイズする」「サーバーを借りてトップから全て作り込みたい」という方まで、こだわりの大きさに応じて難易度にはかなり幅があります。
「ただ文章を投稿して公開したい」ならば、何も考えずコンバーターに通せば販売できるファイルは作れます。
そこから更に「文字を装飾したい」とこだわっていくと、技術の習得とソフトの厳選が必要になってきます。
簡単なところから始めてみるか、いきなりこだわり抜いてみるかはその人次第です。自分みたいに、とりあえず一通り使ってみるのが本当は一番オススメなんですけどね。
次回は何を書くか未定ですが、CSSの具体的なテクニックについてもう少し掘り込んだ話をしたいなと思ってます。
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