元ラノベ作家が電子書籍を自力で作成して販売してみた話
イクヤタダシ
はじめに
この作品は、僕が出版社といった組織の力に頼らず、自分の力で作家になり直そうとした過程で行ってきた、様々な
自分の力で作品を書き、自分の力で読者の感動をつかみ、物語の作者になってきた方々は、このWEB小説全盛の時代においておどろくほど多く目にします。
しかし「作品を売って対価を得る」という最後の壁を越えることができず、ネット上の無料コンテンツを増やすだけで終わってしまうのは、おせっかいではありますが非常にもったいないと感じてしまいます。
その最後の壁が、実は簡単に迂回できてしまう裏道がある――それが電子書籍という媒体の持つもう一つの側面だと、自分の経験を通して感じました。
もちろん、WEBで作品を発表することで出版社から声がかかり、作品を商業出版するというのは、多くのWEB作家が憧れる
けれど現実には誰もが物語の主人公になれるわけではありません。物語を書いている我々一人一人ですら、そのほとんどが誰かの人生のモブキャラとして生きているのが実情です。
とはいえ、〝出版社に認められなければ作品を販売してはいけない〟という決まりはどこにもありません。
物語の主人公にはなれなくても、自分の力で自分の成功をつかみ取ることは、誰にでも可能です。魔法使いに見つけてもらうだけが、舞踏会に参加する方法ではありません。
僕は偶然にも、元ラノベ作家という特殊な肩書きを持った状態で始めてしまったので、そうでない方々には途方もなく遠大で、到達不可能な道のりに錯覚してしまうかもしれません。
ですが実際のところ、自分の作品を書籍にして売るという作業は、今や誰にでもできるものだと僕自身は経験を通して感じました。
僕が皆さんと同じ、普通に物語を書くのが好きで始めた一人のWEB作家であったこと。それが電子書籍にいきつくまでの過程を、知っていただければと思います。駄文にはなりますがよろしければお付き合いください。
長年書き続けたブログを電子書籍にまとめて、驚くような収入を得たブロガーの話も探せば数限りなく見つかります。
出版と何の関わりもない個人作家が、電子書籍の販売を始めて実績を生みだし、出版社から書籍化の声がかかったという事例も増えています。
物語を売るために必要な資格は、物語が書けること。そして、少しの情熱をもつことだけです。
自分がこれまでに利用したサイトは、今皆さんが目にしている「カクヨム」や「小説家になろう」といった、誰でも登録可能な無料WEB小説投稿サイト。そして、いつも買い物に利用しているAmazonのアカウント。あとは検索して出てくる諸々のハウツー紹介サイト、その程度のものです。
また、電子書籍を作成するために使ったツールも、一本何万円もかかる製本用のソフトではなく、WEB上で誰でも簡単に利用できるフリーソフトやWEBサービスだけでした。
表紙の作成に関しては、信頼できる知人達から大いに助力を頂きました。彼らの存在なくして、自分は作品を販売することは出来なかったでしょう。
ですが彼らの助力を得られたのは、僕が元作家だからではなく、作家になるほどの情熱を持つ人間だと、彼らに理解して協力してもらえたからです。
そのため、折れない情熱を持ち続けることを、必要な資格として上げておきたいと思います。
また、この経験談を書こうと思ったきっかけは、これから物語を売り出そうとしている方々だけではなく、自分と同じように物語を売ることを一度はあきらめてしまった元作家の皆様の存在もあります。
近年のライトノベル業界では、新人賞、WEB小説問わず多くの作家が商業デビューの敷居をまたいでいますが、生き残れるのはほんの一握り。
デビューする人数が増えるほど、その陰で引退して筆を折り、作家になることをあきらめて業界を去った人の姿があります。
そして同じだけ、売れずに終わった未完結の物語――いわゆる打ち切り作の存在も増え続けています。
WEB上で応援していた作品が商業出版されることになり、最初はファンの一人として喜んでいたものの、結局商業での売り上げがふるわず未完結のまま終了してしまう。
最初は無料媒体で書いていた作者も、一度商業で打ち切られた作品の続きを書くことに希望を見いだせず、結局最初は喜ぶべき話だった商業デビューが、作品の未完という悲劇だけを残して記憶から消されてしまう。
個人出版による続行は、こういった状況を打開する唯一の生存ルートにはなり得ないでしょうか。
僕はその問いかけに自ら答えを出すために、この果てしなく終わりの見えない電子書籍という暗闇に、身を投じることを決めました。
そして未だに闇の中にいる最中なので、この物語がハッピーエンドを迎えることを皆様に保証はできません。今は、少しだけ光明が見えてきたかなといった状況です。
大変長い前置きになってしまいましたが、こういった思いの中で、自分の足跡を皆様にお見せして行けたらなと考えております。
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