第20話 展開は適当に考えたので、決着もそこそこ適当な気が……

ジェシカから逃げてはいるが、弱点が見えてきた。

「どこに隠れたんですか!?卑怯ですよ、出てきなさい!」


どうやら、あの白スク男がジェシカに指示を出しているみたいで

見えないところにいると攻撃されないっていう事だ。

「葵、今の内に少し遠くへ行っておいてくれ。」

「気をつけてね、くーくん。」


葵が見えないくらい離れたのを確認してから、白スク男の声を集中して

聞き取る。

「く~……あのガキどこ行った!」

どうやら見失ったままらしい。チャンスか。


ジェシカは強いが、結局は操ってる方を倒さなきゃ意味がないからな。

悪いが無視して倒させてもらうぜ。

声のする方と逆に足を向け、さらに家によじ登る。

身体能力強化で視力も良くなったから、多少離れても良く見える。


「いたいた。」

位置を確認しつつ、ばれないように近付いていく。そして、

「ふぅ……逃げたんですかねぇ?」

油断しているが、俺は直線で十メートルくらいの距離にいた。

……今だ!


タイミングを見計らい、音が鳴らないように走り寄る。が、

ジェシカが俺より早い速度で突っ込んできた。

「うぉ!?」


ゴッ!


「~~!痛ってぇ!!」

膝蹴りが飛んできたのでガードはしたが、結構いいのが入った。


「おや、不意打ちをかけようとしてたんですね。」

「……さっきまで出て来いとか言ってたのは演技じゃなかったのかよ。」

「ワタシは本当に見失ってましたよ。」

「ジェシカは自律式で、俺を捜させなかったのは罠だったって事か。」

「正解です。今まで戦った人たちも君と同じような方法を取ってきましてねぇ。」

白スク男にいいようにハメられたとか、ムカつく!


「チッ!」

「逃がしませんよ!」

ジェシカは俺より力も強いし、素早い。攻撃を避けたりガードしたりしているが、ダメージは蓄積されていく。


「ぐう!」

「さっさと倒れてしまいなさい!終わったらワタシはジェシカとの

甘いひと時を過ごすんですから!」

どうにかして倒す方法は……思いつかない!

ショタ女は男のチン○をくっ付けてやったら発狂したが、コイツは

人形だから苦手な物がない!?万事休すか!


「ち、ちなみにジェシカの好きなところは!?」

俺の思考回路が限界だったのか、よく分からん質問が口から出た。

「好きなところですか?そうですねぇ。美しい顔、身体、全てですかね。」

質問した後、喋ってる間に隙でも出来ないかと考えていたが、

自律式ってのは本当みたいで攻撃が止む様子はない。


「さて、そろそろお仕舞いにしましょう。」

ジェシカの攻撃が激しくなってきた時、思わず組み付いてしまった。

「あ!ジェシカになんて事を!?」

パンチとかキックの威力が減ると思ったんだが、力が強過ぎて痛いことには変わりない。


もうこうなったら何でもいい……何でもいいから能力、発動しろぉぉー!!

そうして発動した能力は、物体を伸ばす能力……そしてジェシカの一部分が伸びた。


「ジェ、ジェ、ジェ、ジェ……」

白スク男が某テレビドラマの名言に似た言葉を口から出す。

それほど衝撃的だったのか。


伸びた部分は……足。

1mは伸びたもんだから、そりゃもう巨人化した。俺がしゃがまないでも

股をくぐれるくらいだし。スレンダーマンとかいう都市伝説があったけどそんな感じ。

傍から見たらすっごいシュールな絵だと思う。


「ジェシカーー!!」

あ、動揺してる。

白スク男は無理に動かそうとしたらこけた。まぁそうだろうな。


俺は走り出す。ジェシカの足が元に戻る。俺を追いかけてくる。

だが遅い!!

「どっせい!!」

「ぎょあ!?」


フライパンの一撃で気絶させてやるとジェシカも動かなくなった。

今回、雑な勝ち方だった気がする。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る