第19話 仕事って嫌な事でもやらなきゃいけないのが辛いわ

「パートナーって人間じゃなくてもいいんだな。」

「失敬な!ジェシカは人間なんかと比べるまでもない高位の存在です!

人間に勤まってジェシカに出来ない訳がありません!」

「あんたのとこに来た天使は何て言ってたんだ?」

「天使ですか?そうですね……」




『すいませ~ん!』

「だ、誰ですか!?しかもなんですか、そのコスプレは!!」

『男なのに女性用スクール水着を着てる人に言われたくないです。

しかも白スク。』

「これは我が家の正装なのです!」

『……あっそ。そんなとこはともかく、かくかくしかじかという訳で

ですね、あなたにも戦いに参加してもらおうかと。』


白スク男が考える。


「どんな願いも一つだけ叶えられる……ですか。わかりました、

参加しましょう。」

『ありがとうございます。早速ですが、あなたのパートナーと

なりそうな方を連れてきていただきたいのですが。』

「冗談がお上手ですね、さっきからそこにいるじゃないですか。」


白スク男が指をさした先にいたのは、


『……人形?これがどうかしましたか?』

「ですから、パートナーです。」

『……人形?これがどうかしましたか?』

「さっきと一字一句変わってませんよ?」

『いやいやいやいや、これはちょっと無理じゃないですかね!?

だって生きてないし!』

「何て事を!ジェシカはこの世に生まれし崇高すうこうなる存在!

生きてる生きてないなど問題になるわけないじゃないですか!」


その後、五時間ほど経って、


『わかった、わかりました……疲れたからもういいです……』

「疲れたからもういいとは『すいませんでしたぁ!ジェシカ様は

凄いです!お綺麗です!唯一神です!これでいいですか!?』

まぁ、わかればいいでしょう。」


そうして適当に儀式を済ませた後に天使は帰って行った。




「という感じでしたかね。」

ちょっとだけ同情するわ。だが天使が唯一神とか言っていいもんか?

「そしてワタシは素晴らしい能力を手に入れたのです!!」


そう言うとジェシカが……ジェシカが……

「「ジェシカが立ったぁ!?」」

「そうです!ワタシの能力、それはジェシカを動かす事の出来る

の・う・りょ・く!!素晴らし過ぎる!!」


しかし、ジェシカはゴム製。火で燃えるはず。

「でぇりゃ!」

「甘いですよ!」

思いっきり腕を振るっただけで火の玉が消えた。


「嘘だろ~……」

「ワタシが能力で動かしているときはジェシカの強度も

アップするのです!

たかが火、しかも……ブフゥ、そんなしょぼい火の玉でやられる訳が

ないじゃないですか!ダァーハッハッハ!」

あのオヤジ、ぜってぇぶん殴る!!


今度はジェシカの方から攻撃を仕掛けてきた。が、

「うぉっと!」

「こら、避けるんじゃありません!」

「避けるわ!」


思った以上にジェシカが強い。前に出会ったショタ女よりは

マシくらいだが、自分も能力を全力で使えるわけじゃないので、

このままだと押し負ける。


「葵!一旦逃げるぞ!」

「え!?」

俺は葵を抱えて庭から逃げ出した。今の内に作戦を考えておかないと。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る