第14話 こんなヤツしかいないのかよ……
「だは~……疲れた……」
「そだね……」
俺と葵は遅刻して先生に怒られた後、教室に行った。
「よぉお二人さん、どうしちゃったのよ?空はともかく葵ちゃんまで
遅刻とは珍しいね。」
俺達に話しかけてきたのは、
中学の頃からの友達だ。
「いや、まぁいろいろあってな……」
「いろいろって?」
「言いたくないし、信じてもらえないのが分かってるから言わない。」
「ひっどいね。葵ちゃんも何か言ってやってよ。」
葵に話を振るが、
「ごめんね。私もあまり言えないというか……」
そりゃそうだ。
「何だよ。二人して隠し事とか~……チューでもしてたの?」
「まだしてねぇよ!!」
「へ~、まだなんだ。」
しまった、和弘の顔がニヤついてる。
葵も顔が赤くなってる。
「あ~もう!どうでもいいだろ、んなこと!それより葵と二人きりで
話があるからどっか行ってろ!」
「へ~い。」
和弘はそう言って離れていった。
「ふう。それでだな、これからどうしよう?いくらなんでも毎朝、
襲撃されたら、さすがに誤魔化しきれないぞ?」
「そうだね。ん~……」
どうすりゃいいのかを地図を見ながら相談する。
「その地図なに?」
「うぉ!?ビックリした!どっか行ったんじゃねぇのかよ?」
「気になって戻ってきた。」
「戻ってくるな!」
「んで、それなに?」
「話を聞けよ!!」
和弘が地図に興味を持ってしまった。マズイな。
「えっと、これはね……ゾ、ゾンビがこの丸印のところに出てきたら
どうやって逃げようかなって対策をね……」
「ホラー映画でも見たの?」
あぁ葵、その言い訳は下手すぎる。でも必死に誤魔化そうとする姿も
可愛いよ。
「ふ~ん?まぁ何体か倒して逃げ道を確保するとかが普通かね。」
「やっぱ、それしかねぇかな……」
その時、始業のチャイムが鳴った。
なんやかんやで放課後。
「じゃあ明日から決行だな。」
「うん。」
そう、朝に和弘からから言われた”倒す”という選択肢。
家から学校までの通り道付近にある丸印のところに行ってこっちから
攻撃すればいい。
だが問題はあの腕時計がない。
つまり、
「どうしたって相手に先手を取らせるハメになるのか……」
「でも心構えが出来てる分、マシだよ。」
「そうだな。」
俺達は明日、土曜から作戦を決行することにした。
という事で帰ろうとした。
「これだもんなぁ……」
帰ろうとして正門出たら人の気配が消えるんだもの。
カラカラカラ……
変な音が聞こえた方を見る。
馬車?みたいなもの?がやって来た。
いや、なんて表現したらいいか……金ピカで派手な装飾がされた板の横に
車輪が四つ付けられ、板の上には更に金ピカの椅子が備え付けられて
いる。
そこにはゴスロリの幼女が足を組んで座っていた。
そこまではいいんだ。いや、よくないんだが気になってしょうがない
モノが他にあるんだ。
それは、その板を引いてる馬……いや、その
ラバーマスクを被って猿ぐつわと首輪を着け、ビキニパンツ一丁の
マッチョが三人で四つんばいになりながら、
「ふ……ふごっ!」
苦しそうな息を漏らしつつ、幼女の乗る板を引っ張ってるんだ。
何言ってるかわかるかな?俺もわかんない。
また変態じゃないですか、もう敵決定ですよ。やだ~
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