第5話 妄想でもしておかないと

全てが元通りになった後、俺と葵はそれぞれの親に小さくなった

事情を話すと病院に行く事になった。


俺はハブられたけど……

いやまぁ当たり前っちゃ当たり前なんだけど学校に行けと

放り出されたんでしょうがなく登校した


嫁は?痴話げんかか?と周りが騒ぎ立てたが、

ようやく学校が終わって走って帰った。


自分の部屋から屋根伝いに葵の部屋の前まで来て、

窓をノックすると


ガラガラガラ


窓が開いて

「早かったね、くーくん」

葵の声がやっと聞けた。


部屋に上がらせてもらって話をする。

「あ~……その……大丈夫か?」

「うん、ごめんね泣いちゃったりして」


あの状況は仕方ないと思うが、

「泣くだけ泣いたらスッキリしちゃった」

「そっか」

葵の泣き顔なんて中々見れるもんじゃないし、ある意味

良かったとしておこう


「それで今後のことなんだけど……どうしよう」

「そうだね、まさか女神さんが重要な道具を渡し忘れてるとは

思わなかったよ」

今すぐ来ねぇかな?

葵のぶち切れモード発動の刑に処してやるのに。


「それと、凄かったね」

「何が?」

「あの風だよ」


確かに。

あれが特殊能力というヤツか、普通の状態じゃ絶対太刀打ちできないな。


「くーくんも似たような事できるんだよね?」

「多分な」


そうだ、俺にもあるはずなんだよ、ただ

「特訓かなぁ……」

「特訓?」

葵が小さいんだよなぁ。


「女神が言ってたじゃんか」


『今からランダムでどちらかに特殊能力を付与します。その能力を

使いたければ、もう片方が欲情させるしかないので欲が強いほうが

いいんです~』


「言ってたね」

「だからさ、エロイ事を」

「ダメ」

「何でさ!?」


『別に欲情すれば何でもいいですよ~』


「とも言ってたよね?」

「そですね……」


まぁそもそも、

 チラッ  つるーん!ぺたーん!

ですので。


「だからその……直接なのはアレだけど……な、何か言葉とか

ね?他の方法があると思うんだ」

「言葉ねぇ……」


何とかしてみるか。


「葵、ちょっとエロい事言って」

「え?なななナニ急に」

「いや、自分で言ったじゃんか」


この辺りから脳細胞をフル稼働。


「えっと、その」


葵はいつもと変わらずの姿、そうそれは。


「じゃ、じゃあ言うよ?」


それは紛う事なき

     Hカップ

       ――俺の脳内に天使が舞い降りる


「だ……だ~い好き」


全然エロくない。

コレはコレでいいんだが……?何か湧き上がってきたんだけど。


体が少し熱くなってきた

いけるか?

なんとなく念じるだけでいけそうな気がする!


「ハァッ!」

俺は手のひらを葵の部屋の机に向けて叫んだ。

「?何も変わってないよ?」

「よく見ろ葵、机の上のボールペンを」


俺の能力は

「あ!」

「分かったか?」

どうやら

「うん、1cmぐらい浮いてる!!」

重力を操れるらしい

「ハッハッハッハッハッハッハ!」


漫画やアニメでは重力を操る能力は強いキャラが使えるはず。

俺はもしかして凄い能力を手に入れてしまったのかもしれない。

「ハッハッハッ!」

「くーくん凄い!」


葵もそう言ってくれる。

「ハッハッ…ハッ…


ボールペン1cm浮かすのが限界…」


「えっ?」

「ダメじゃん…」


『――欲が強いほうが――』


「ダメじゃねぇかあああぁぁぁぁぁぁ!!!」


俺は力の限り叫んだ。

俺の家の方から「空!人の家で騒ぐな!」と聞こえてきた。


こっから先どうしようか?

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