第4話 トークスキルって重要だよね
「では、行くぞ!」
「ちょぉい!まだまだ待ってっていうか、こんなところで
戦ったら周りに迷惑が!って俺の部屋ァ!」
そうだよ、吹っ飛ばされたんだった!
「それなら問題ない。決着が付けば元通りになる。」
「そうなの?」
都合いいな。
「今度こそ「待ったァ!」いつまで待たせる気だ!!!」
ヤバいぞ、 本格的に戦ったら即負けが決まる!
葵を元のHカッ……姿に戻すためにも負けるわけにはいかん!
考えろ!考えるんだ俺!!
「お、お前は……」
「俺は?」
「お前は幼女を不幸にする!」
「何だと!?」
酷く動揺している
このまま話術で畳み掛けるしかない!
「この俺が!?」
「そうだ。何故なら人間というものは誰しも、自分が成長したと
感じた時には喜びを感じるものだ。
例えば、格闘技で強い相手に勝った、料理が上手く作れるように
なったなど、ささいな事ですらそう思えるんだ。」
呆然としたまま俺の話を聞くイケメン
「だがしかぁし!お前はその喜びを……子供から大人に成長出来るという
生物として最大の幸せを奪おうとしているんだ!」
「!!」
「自分が大きくなるにつれて感じた気恥ずかしさ、もどかしさがあるだろう?
訳も分からず反発したくなるような事もあったろう?甘酸っぱい経験も……」
「……」
「それをお前の都合で奪うのはただのエゴだよ!」
とか言ってみたけどダメか?
「……多分、分かってはいたのかも知れない。いや、頭の片隅に
あったけど無理に考えようとしなかっただけなんだろうな。」
何か自己解釈が始まった。
「子供から大人になる瞬間の切ない時間、やっと大人になれるけど
少し寂しいような、やり残した事があるような感覚……
そういうものも含めて幼女は素晴らしいものなんだと……」
イケメンでも許されない事ってあるんだな、完全アウトだわ。
「でも絶えられなかったんだ……だって……
10歳位までがストライクゾーンなんだよおぉぉおおぉぉぉぉぉ!!」
こんなしょうもない魂の叫び初めて聞いた。
10歳位は犯罪だろ。
ストライクゾーン狭いな。
やっべ、ツッコミが追いつかない。
残念イケメンがむせび泣いているのを、パートナーの幼女が静かに見ていた。
「ねぇキミ」
「なに?」
なんか口調冷たくない?
「その、俺が言うのもアレだけど、コイツと一緒にいて大丈夫?」
「問題ないわ。顔は合格点だし、金持ってるし」
うわ黒~い。
「やっぱり最後は金じゃない?襲ってきたら責任取らせて、
こき使って金せびって…むしろやりたい放題だわ」
うわドス黒~い。
「…ちなみにおいくつで?」「27よ。文句ある?」
27でさっきのセリフはキツいです。とか、
それにしたって金に執着しすぎだろと思ったけど言わんどこ。
しばらくしてイケメンが復活した。
「今回、言われた事で自分の考えが正しいのか判断する時間が必要だと思ったよ。」
うん、正しくないな。
犯罪の臭いしかしないな。
「その礼代わりだ。今回は見逃してやる。」
ギリギリセーフ!
今はまともに戦えないしな。
「俺は
いいライバルとしてな。」
ライバルとか犯罪者の仲間入りはしたくないんでお断りです。
イケメンは言い終わってからさっさと消えていった。
そういえば葵は?
「あれ?どこに……あ、いたいた。ずっとうずくまってたのか?」
「……もうヤダ」
ポツリと呟いたと思ったら
「もういや!起きたら小さくなってるし、死にそうな目に遭うし……
ひっく……ぐす……」
癇癪起こして泣き出した。
そうだよな、葵にはキツい1日だったもんな。
俺は周りの壊れた物が逆再生のように戻るという、
不思議な現象を見ながらどうしようか考えていた。
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