第3話 敵との初遭遇

「お願いだから元気になってよ~!」

葵がそう言ってくるが無理だろ

だって昨日までだったら


「しょうがないよね…世界中を元に戻すためだし……」

「う、うん。それにあたし……くーくんなら……」


とかいう台詞とともに

あ~んな事やこ~んな事まで出来たはずなのに……なのに……


葵の胸に目をやる

ナイアガラの滝と対抗できるくらい垂直、180度、直線、

泣きたくなってくる。っていうか泣いた。


「これからどうするか考えなきゃ。あの女神様から聞いてないことも

まだあったのに勝手にどっかに行っちゃって……」

「聞いてないこと?」

「そうだよ。戦うって言ってたけど、どうやって相手を見つけるのかとか

戦闘不能って気絶とかでもいいのかとか他にも色々」


葵は小さくなってすぐだっていうのに落ち込むのも後回しにして凄いな

それに比べて俺は好きな子が子供の姿に戻ったくらいで

落ち込むとか情けない

戻る可能性があるなら全力で突っ走るだけだよな

「悪い葵、俺「そこにいるんだろ!?出てこい勝負するぞ!」」


何だ?

窓から外を見ると超絶イケメンと幼女がこっちを見てる。

多分アレ敵だ


「早く来ないとこちらからいくぞ!」

シーッ!シーッ!

あのバカ近所に聞こえるだろ!




人の気配がしない?

「宣言はしたからな、行くぞ!じゃぁ頼むぞ美子みこ

隣にいる幼女が頷きイケメンを見る


「お兄ちゃん、お家帰ったらお馬さんごっこしてあげる!

そ・れ・と・も

お医者さんごっこ……したい?」


イケメンが痙攣を起こしたのかと思うほど震え始めて

「お・お・おおおぉお

おおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉ!!」

壊れた


だけど何か周りの様子がおかしい

風がすごい勢いで唸ってイケメンが宙に浮いた

第六感が働いて葵を抱きしめ飛び退いた瞬間

部屋が吹っ飛んだ


「うわぁぁぁぁ!!」

「きゃあぁぁぁ!!」


落下していく俺と葵

だったが、ゴムボールみたいな感触がしてゆっくり地面に降りていった。

助かったのか?


「幼女がパートナーだったとはね……危うく怪我させるところだったよ。」

俺はいいのか

「さぁ、さっさと勝負再開しようか!」

「タイム!!」

イケメンがは?っという顔でこっちを見る


「いや、その何だ。こっちは説明が不十分の状態で帰られてな。

出来ればアンタが説明してくれ。」

断られても時間が少しでも稼げれば

「仕方ない、何が聞きたい?」

答えるのかよ


「あ~そうだな……例えば、何で俺達の居場所が分かったとか」

「コレ貰ったろ?」


腕時計見たいなのを指差した。

知らんわ、そんなもん


「コレで敵までの距離を知ったり、周りから時空間を隔離するんだよ。

説明受けたろ?」

初耳ですね~


あの女神、今度会ったらタダじゃおかねぇ……

「あのさ、悪いんだけど今日のところは引き上げてくんねぇ?」

「何故だ?俺の夢を叶える為に倒すに決まってるだろ。」

「ですよね~」


「ちなみにその夢って何?」

さっきまでの態度で大体予想は付くが一応確認。



「決まっているだろ、

この世を幼女プリンセスの楽園にすることだよ!!」


予想通り。


「はぁ……可愛い。何であんなに小さくてぷにぷにして柔っこくて

むにゅっとしてるんだろ?」


表現が気持ち悪いが、後半ほぼ同じ意味だな。


「太陽のような笑顔で笑いかけたかと思えば天使の寝顔を見せる。

もうね、たまりませんね。」


そうか、死ねばいいのに。


「たまに首筋から香るほの甘いミルクのか・ほ・り!!」


あ、ヤバイ。

こいつ人間としてヤバイ。


「そんな幼女と俺だけという夢の世界を作るため、俺はお前を倒す!」


おまわりさんコイツです。

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