「俺たちの生き方とか大震災《意志》」

 結局のところ、すべてが運とタイミングなんやと現在いまでは考えてる。


 建設業界に出戻りし、脇目も振らずになんて甘いぐらい働いた。そやね、遅かりし夢を叶えるため昼間は休まず飛び回る日々、夜間は眠る間も惜しむ猛勉強の毎日。



 そんな毎日が、一瞬にしてくずれたのは間違いなく「想定外」やったわ。


 もちろん、親しみを込めて社長と呼んでいた偉大なる先輩やった。遠い東北仙台の竣工検査が何の因果応報か、多くの日本人が何かを失った「あの日」やっただけや。


 詳細は語られへん、語りたくもないしな。偶然、幾つかの事件が重なって事務所を廃業手続きしただけや。でも何の因果やろうか、美夜子の父が東北を地盤に知名度の高い前与党所属国会議員でな。跡継ぎに恵まれんかった……義父の持つ地盤・看板・鞄やったか「3つのバン」を継ぐ正当後継者。俺以外、おらんかっただけの結果。


 結局、なんなんやろう。

 元パチプロやとか綺麗ごとは抜きにして、遊び人の屑野郎バカな俺やで。


 きちんと、設計事務所を手伝いはじめてから生まれ変わったけど五年以上も空白ブランク期間がある政治家先生とか、どこの先進国の政界におると思う?



 あの後、死に物狂いどころか寝食を忘れて働いたし勉強したおかげで関連する法的資格からシステム資格からビジネス資格まで、専門家プロ裸足はだしで逃げる程度に広範囲な知識と資格と経験値は手に入れたけどな。


 医師免許とか司法試験とか、元々必須の専門知識と教育期間が特別必要ない資格。少しでも関連してる公的資格なら無理してでも、片っ端から残らず取得したで。



 義父ちちのお眼鏡にかなった事情わけ現在いまでも謎やけど最初から好意的に「過去は忘れ」認めてくれてた理由わけ。死んだ親父との間、決定的な密約ナイショ話でもあったんかもしれん。


 とにかく、数年後の国政選挙衆議院議員時に「国賊」扱いされた総理大臣を有してた元与党が大敗したおかげで、俺もめでたいのか理解わかれへんけど先生様に一躍出世したんや。



 しかも、建築と法律からプログラム解析まで広範な知識をアテにされて遣いパシリ期間なしに党内で表立つ役職は無理やったけど「ご意見番」扱いされた好待遇やで。


 あと何期か継続当選したら大臣やと、馬鹿らしい噂もされてて「未来の総理大臣」閣下とか呼ばれたりしたけど、これもおかしな内情で当たり前やけども政治の世界は裏があって世の中大半が知らん利権とかクソ塗れの業界で、昔の知識が生きたんや。



 パチプロ時代につちかった裏知識とか、闇の経験とか、意外に過ぎる部分が無関係の場所で役に立ち「共通語」と業界の闇すべてに通じた結果が逆に作用してん。


 いろんな人脈ツテが、次から次に繋がり広がって拡散され、しかも全部がプラス方向に何かのチカラとして偶然働いたんやな。


 後になってから、少しだけ考えたんやで。


 あの占い師が、最後に伝えた言葉の意味が少しだけ理解できた気もして俺の行動と生きる意味が「何かの作為」、抗えへん力を有した方向性と謎の存在にセカイ改変を頼まれた結果なんかもしれんって思い込む「病的な妄想」やな。



 今時は、中学二年生あたりで、大勢の子供が発症する不治中二の病」らしいで。



 まあ、俺も自分の中身は信じてへんけど「守るべき世界」筆頭の家族ができてから汚い部分はすべて忘れて、新しく生まれ変わるしかなかったからな。


 笑うしかないかもしれんけど、神とか呼ばれてる存在か?


 多いなる知恵? 知識? 実際なんなんやろな。


 そいつに、もてあそばれた人生やったかもしれんけど不思議と後悔はしてへんのやで。



 俺にしかできんかった、もしくは俺やからできたんやって、いつの日にか三途の川向こう岸に渡った際あの世で親父に挨拶する際は偉そうに伝えたるしな。


 皆が、幸せになれる世界のいしづえになったんやでってあの世で笑ったる。


 その目標だけが、現在いまの俺が生きて頑張れてる理由わけであり真意リアルなんやろな。

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