第19話 猫散歩
家の前の公園に、猫にハーネスをつけて散歩しにくる好々爺がいた。
それを見た瞬間、我が家に激震が走った。
「家もあれやろう!」
猫と散歩するのは、猫好きの夢である。
私は家の前の公園のブランコが好きで、高校生になっても、勉強の息抜きなどにたまにブランコを漕いだからそこでバッタリ、アリスと会う事はあった。
「アリス!」
目が悪い猫にも分かるように一声かけると、アリスは横で少し見ていて、飽きると何処かへ行ってしまった。
それだけでも何だか嬉しいのに、肩を並べて散歩するなんて、きっと素晴らしく楽しいに違いない。
早速、胸を支えるタイプの猫用ハーネスを買った。
ところがハーネスをつけて外に出ると、アリスは一歩も動かなくなってしまうのだ。
どうも、繋がれている=動いては駄目と思っているらしい。
何とか歩かせようと頑張ったが、アリスはしょっぱい顔をして大人しく座っているだけだった。
せっかく買ったハーネスが勿体ないので、父が庭に針金を渡して、それにハーネスを通してみた。
するとアリスは、先を握られていない気楽さからか、庭の中をハーネスに繋がれて縦横無尽に駆け回るようになった。
針金が揺れるシャンシャン!という音が響き、彼は事故の心配もなくよく遊んだ。
アリスも中年に差し掛かって外歩きは心配なので、これ以後アリスは庭にだけ出すようになった。
猫散歩の夢は夢のまま終わったが、もうアリスを見送って心配する事はしなくて済むのだ。
そうやって眺めてみると、公園にくる好々爺の他にも、猫にハーネスをつけている人は結構いた。
近所の家は、車庫の中に二匹の猫をハーネスで繋いでいて、寒暖差に合わせて猫が自由に車庫内外を行き来出来るようにしていた。
晴れた日は、二匹仲良く日向ぼっこをしている。
買い物に出かける度、その前を通って猫状況を確認し、外に出ている時は頭を撫でた。
人慣れしてゴロゴロと甘えてくるので、思う存分
野良猫はやはり野良猫でなかなか撫でさせてはくれないので、貴重な猫充スポットとして、私の地図に星印がついたのだった。
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