第3話 ―黄―

 ラナリスを連れて、じっさまの待つ家に帰宅した。


 「今、帰ったぞ。

 じっさま、いないのか?」


 部屋が暗くて、家の中の様子がわからない。 


 じっさまの気配を感じられない。


 とりあえず、出入り口近くに引っ掛けてあるキノコ型ランプに明かりを灯す。


 明かりを灯して見渡すも・・・


 やっぱり、じっさまは居なかった。


 ・・・・・・一体・・・・・・


 ・・・どこに行ったのだろうか・・・


 「ネラ、おなかすいた」


 ラナリスの事を忘れていた。


 そう言えば・・・・・・


 俺もお腹が空いていたんだということを、すっかり忘れていた。


 「じっさま居ないけど、ご飯にするか」


 ・・・

 

 ・・・・・・


 ・・・・・・・・・


 この日はとうとう、じっさまが帰ってくることはなかった・・・・・・


 翌日・・・・・・


 いつもより早くに目が覚めた俺は、じっさまを探したがどこにも居なかった・・・・・・


 ・・・けど・・・


 「ネラ、ここになにかあるよ?」

 

 ラナリスが指差した先のテーブルの上に、見慣れない箱があった。


 ふたを開けると、中から黄色い珠らしきものが飛び出し・・・・・・


 ラナリスの手の平に、すっぽりと収まった。


 「なんだろうね?

 これ・・・・・・」


 球が光り、壁を照らす・・・・・・


 照らされた壁に浮かび上がったものは・・・・・・


 「じっさまっ!?」


 じっさまの姿が浮かび上がった。


 「じっさ「ネラよ、お前がこの映像を見る頃には、わしは何処に居るのじゃろうなぁ・・・

 お前を祠に向かわせてる間、わしはやらなければならない用事ができでしまってのう・・・・・・

 勝手にいなくなったわしを許せとは言わない、恨んでも構わない・・・・・・

 お主は今、白き生き物と一緒におるな?」」


 「じっさま、どこにいるんだよ」


 俺は、壁に向かって叫んだ。


 「だめ、ネラ。

 これ、うつてるだけ・・・」


 ラナリスの声で、ようやく冷静になれた気がした・・・・・・


 壁に写ったじっさまの話は続く・・・・・・


 「何故わしが、お前と白き生き物がともにおることを知っているのか・・・

 それはそのうち判ることじゃ

 今は【知るべき事】では無い。

 その事を伝えるために・・・・・・

 黄色き珠へ、わしからネラへの言葉を残しておこうと思・・・た・・・・・・が・・・・・・」


 ジジジッと耳障りな音がし、壁に写ったじっさまの姿が揺らぎだした・・・・・・


 「・・・ジジッ・・・時間・・・ジジッ・・・無いようじゃ・・・ジジッ・・・

 ・・・この珠は言葉を伝え終えると、お前たちに必要なものへと変わる・・・

 ・・・旅だ・・・のじ・・・ジジッ・・・」


 壁に写ったじっさまの姿が消えた・・・・・・


 黄色き珠も、姿を変えた・・・・・・


 黄色き珠は、俺とラナリスに必要なものへと変わった・・・・・・


 翌日・・・・・・


 それらを身につけ、俺とラナリスは旅に出た。


 それが、真実への旅とは知らずに・・・・・・

 

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