第7章「実は損する、男の尿管結石」

 ここでクイズです。

 男にあって女に無いもの、なーんだ?_


 答え 竿


 そう、チンコである。

 察しのいい人なら、あるいは経験者なら、何故この話でそれを言い出したのか、ご理解頂けると思う。


 まず、男性と女性、尿意を長く我慢出来るのはどちらか、と聞かれると、たいていの人なら男性と答えるだろう。

 何故なら、竿がある分、尿の排出に時間がかかるからである。十数センチの差を羨む女性だっているのである。

 だが、待って欲しい。

 その「十数センチ」が、尿管結石患者には天国と地獄を分ける差になる事を。


 先の拡張施術で尿管を広げた事により結石が通り抜けやすくなったヲタだったが、まだ地獄は終わっていなかった。

 遠足は家に帰るまでが遠足。

 尿管結石は尿道から排出されるまでが尿管結石。

 そう、尿道。

 男性は、女性より「尿管が長い」のである。

 女性の場合、膀胱に落ちたら後は出口は直ぐになるが、男性の場合、更にもう一本、狭い尿道がある。

 ソレが、竿である。陰茎が正式名称だが、竿の方がわかりやすいだろうからそちらで表記する。

 男性の場合、尿管結石は膀胱に落ちた後、竿を通じて一気に排出される。

 竿の内部の尿道はライフルの銃口内に似た構造になっており、小便を一気に排出出来るようになってるのだが、それはあくまでも液体限定。

 固体には一つも優しくない。


 ヲタの尿管結石は膀胱に落ち、後は一気に出るだけだった。しかし大きさが大きさだけになかなか出てこない。

 この間、特に酷い痛みは無かったのだが、何か股間がゴロゴロする感覚があった。時には前立腺を刺激される事もあってエロい事考えてなくても勃起してしまうと言う、何とも恥ずかしい時期でもあった。

 そして、会社で尿管結石の排出を期待して小便器の前に立ったその時だった。

 激痛が、ですね。

 まさかの竿の中から。


「このクソったれ野郎は、わしの竿を乗っとったモノなのじゃあああ――――あああっ!!」


 いえ、乗っとってません。詰まっただけです



 詰 ま っ た だ け 



 絶望しましたとも。ええ。

 距離にして、5センチほどの絶望。

 外から触ってね分かるその塊。

 今まで自分を何度も苦しめ。辱めてきた宿敵のカタチを、今でも覚えとります。

 いやぁ泣きました。


「なんでエレクチもとい出てこないよおぉぉっっっ」


 この期に及んで、冗談で思った事があった、その最悪の事態が現実に。

 退社時間まであと2時間、その間、職場の机で悶絶しとりました。上司には説明して、呼吸法で何とか痛みを堪えながら水分を取って、次の尿意を待ちました。

 この時の自分の顔を同僚は本当に死にそうな顔をしていたを証言していましたが、マジで死にそうでした。

 だってこのまま出てこなかったら! 縮んでる状態でこの激痛ですよ?

 エッチな事考えたらもっとエライ事になるじゃないですか!

 まぁ、ものは試しにエッチな事考えましたけど痛くてそれどころじゃ無かったですがね!

 多分、ドMには至福の時なのかもしれません。自分コレでドMで無い事だけは自覚出来ました。

 果たして、1時間ほどの苦悶と水分補給による苦闘で再び尿意を取り戻し、再び便所へ。

 覚悟決めましたよ、ここで一発決めてやると。

 尿道を傷つけても構わないから、思いっきり詰まってる結石出してやる、この数年間の想いを全部はき出してやる、と。


 などと格好良く誓ってみましたが、結石はあっさりと出てきました。血の塊に覆われててヌルリと出てきました。

 俺、その場で思わず万歳三唱。

 お陰で排出した結石が小便器の下水口に流れてしまって回収出来ませんでしたが(´・ω・`)ショボーン

 あの宿敵だけは何とか手元に置いておきたかったです。


 とまれ、これで自分史最強最悪の宿敵を体外に排出出来たわけですが、コレが最後の一匹とは以下略

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