第6章「結石とは神の悪意の塊である」

 拡張施術の地獄ぶりはここまでにして、原因となった尿管結石について少し踏み込んだ説明をしたいと思う。

 尿管結石の主成分は、シュウ酸カルシウムや尿酸などで組成されているが、何故こんなモノが出来るのか。

 以前にも申し上げたがぶっちゃけ、実はまだはっきりと分かっていない。

 食生活やストレスが原因と言われてるが、尿管結石は基本的に全員に出来る。しかし小さいウチに気づかずに排出されたら発症しないので、もはや運としか言い様がない。

 自分のように、排出し辛い身体を持って生まれてしまった人が発症する、生まれついての不幸なのである。

 裏を返せば、選ばれたモノのみに与えられた宿命でもある(虚ろげな顔で)。


神「お前の抱えている尿管結石はこの銀の結石ですか? それとも金の結石ですか?」

俺「いやせっかく出たんだから!金だろうが銀だろうがそんなもんノシつけてくれやる!」

神「いやいやあんたさん金でっせ銀でっせ? あったら丸儲けですやん」

俺「そのままくれるならともかく腎臓の中にねじ込もうとするのやめろ」

神「いやいや遠慮なさらずに」

俺「アーッ!」


 などといういきさつは無かったが、こんな微妙な排出方法をする器官に仕込むのは本当、悪意しか感じない。

 開腹しないと摘出出来ないような胆石に比べればまだマシなのかもしれないがしかし、この中途半端さは苛立ちを覚える。

 何より、どうしてこんな排出しづらい形状になるのであろうか。

 尿管結石 で検索すれば写真付きで具体的な解説をしているサイトなどがみつかるだろうから割愛するが、形状からして実に腹立たしい。表面がトゲトゲになって引っかかりやすいって何の冗談だろうか。

 尿管結石が痛いのはそのトゲトゲが刺さるからでは無く、尿管に詰まる事で痛覚が発生する仕組みになっている。だから腎臓内ではあまり痛みを感じないのである。

 従って結石が大きくなる前に水分をどんどん取って排出すれば、あんな地獄を味わわなくて済む。

 だがしかし。ソレもキツい時期がある。夏である。

 近年の猛暑続きに、摂取した水分がどんどん汗として流れてしまい、小便の量が減ってしまうこの時期が一番危険なのだ。

 だから、尿管結石患者にとって猛暑続きは地獄のタイトロープの日々の始まりでもある。

 利尿作用の事を考えるとお茶を勧める人も多いが、この場合お茶に含まれるカフェインの摂取量にも気を配らなければならない。

 カフェインを気にしない、スポーツドリンクもお勧めだが、こちらはこちらで糖分の問題もある。

 何よりこちらは吸収が早い分、暑さによって汗として排出するほうに水分のリソースを食われてしまうリスクもある。

 ビールを勧める人も居るが、正直、万人向けでは無い。

 ぶっちゃけ、この一長一短は個人の好みで何とかするしかないだろう。兎に角まずは汗をかかないようにするのが一番。

 危険な時期と言えば、実は冬もヤバイ。

 こちらは涼しくなって汗をかかないが逆に水分摂取量が減るからである。自分の兄弟が正月に実家に戻った時、突然激痛に見舞われてのたうち回り、救急車で運ばれてナニゴトかと思ったら尿管結石だったという。水分摂取量が減る分、あるいは夏より危険な結石シーズンとも言えよう。

 兎に角、水である。排出しやすい体質の人でも油断して放置すると確実に地獄を見るので注意するべし。

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