第4章「やる気マンマン・血涙変。」
医者がカテーテルと内視鏡を握った!
『ドイツの医学はぁ、世界イチィィィィィィィィッッッッ!!!』
恐怖に打ち震えるヲタに、再び悪夢が襲い掛かる!
再び、尿道に突き刺さる、悪魔の鉄パイプぅっ!!
果たしてヲタの運命や、如何に!?
そういうわけでどんなわけで、体内に差し込まれた尿路拡張用のチューブを引き抜く簡単な手術だったハズが、またもや流血の惨事となったのである。
前回でも説明したが、例の『親不孝者』は微動だにしていなかった。
ましてや、チューブを引き抜こうとした医者は男である。
言っておくが、兄貴ネタはギャグとしては好きだが、ソッチの趣味は無い。
再び内視鏡が突き刺さった理由だが、実は前回に於いて、既に説明済みだったりする。
要するに、尿道が狭すぎたからなのだ。
今回の場合、狭かったのは膀胱から外への尿路の方、つまり「竿」である。
拡張チューブは、腎臓から膀胱中までしか通っていなかった。
更に、一回目の手術が失敗した時に傷つけていた竿の中身が、その影響で未だ腫れて狭まっていた事もあり、医者がうっかり誤判断してしまったのだ。
再び、鮮血を吹く親不孝者。
それをみたヲタは、どこぞの漫画に出てくるオットセイが白いゲロではなく血を吐いている姿を想像していた。
「仕方がない。今度は、尿路のほうも確保する必要があるな。『拡張手術』するか」
とうとう、この話において最大にして最凶のネタ、拡張手術を語る時が来たようである。
医師は血を吐く親不孝者を何とかせんと、再び尿路にドレーンなるゴム製のチューブを差し込んだ。
固まった血液で尿路が閉じるのを避ける為なのだが、これがまた拷問に近い代物だった。
『奴』の口先から膀胱内にドレーンを通しているのだが、あの親不孝者を発動(笑)させてはならなかったからだ。
理由は言わなくても判ると思うが、簡単に言うと、抜けてしまうからである。
しかし幸いにして、その心配は無用だった。拡張手術するまでの一週間、尿路に差し込まれたドレーンは、鬼畜を肉体・精神面の両方から苦しめ、発動させる余裕を与えなかった。
即ち、ドレーンは僅かな振動でも尿路の傷を刺激して腫れ上がらせ、一日中絶え間ない痛みと失血の苦しみを、ヲタクに与えていたのである。
特に顕著だったのが、初日である。
散々な目に遭って病院を後にしたヲタは、朦朧とする意識の中、漸く近くの駅に着いた時、突然、警官から呼び止められた。
「どうしたんだよ、その股間は?」
奇遇にも警官はヲタの知人であった。顔見知りが股間を心配そうに指すので、ヲタは
「やべぇ、失血でラリって、モッコリしていたか?」
と虚ろげな面を下ろした。
次の瞬間、ヲタは蒼白する。
何と、履いていたGパンの股間の辺りが真っ赤になっていたのだ。尿道から、血が溢れ出ていたのである。
慌てたヲタは交番の中に駆け込み、血塗れのパンツを脱いで、Gパンに付いた血を濡れティッシュで拭き取ったりと、そりゃもう、大騒ぎさ!
その日から一週間は、痛みと出血との激闘の日々であった。
いちいち小便をたれるのに、ズボンを下ろし、腰溜めにしている、象の鼻を想わせる尿道に突き刺さったドレーンを引っぱり出す。
ドレーンの先に差す栓を外して(小便するのに栓が必要なんて、健康な人間には全く想像外の世界だろう)便器に黄金水を注ぐ無様な姿は、今尚、悪夢の一つとして、ヲタのどす黒い心に深く遺されてしまったのだった。
お陰であれ以来、「クレヨンしんちゃん」でぞうさんネタが出ると、無性に腹が立つ様になってしまったのだが、それはそれ。
その一週間、不断通り出社して平気な面して仕事をしていたヲタを、担当医師は、「化け物」呼ばわりした。
確かにあれだけ流血していて、不断通りの生活をしていた事自体、奇跡と言われて当然だが、もっと他に言い方はなかったのだろうか……。あの時の生暖かい眼差しは、一生忘れんぞ(殺意の波動を放ちながら)
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