10話 学園に行こう

ーーー「行ってきまーす」

今日から初登校日だ。

「ウォン」

「ごめんな、散歩じゃ無いんだよ」

「クゥン……」

「帰ったら遊ぼうな?」

「ワン……」

連れて行っても……、いやいや!流石に魔物を連れていったらどうなるか。

「ーー行ってきます」



ーーー学園の前まで行くと見知った顔を見つけた。

「おっす、ヘリック」

「?やぁ、おはようコウタ」

「クラスってもう決まってたっけ?」

「ううん、まだかな」

「どんな分け方なのか……」

「一応、バランスが取れる様に分けられるらしいよ」

「バランス?なんで?」

「クラス対抗戦とかあるらしいからね」

「はー…そりゃまた」

「一緒だと良いんだけどね」

「だな」




「新入生の人達は闘技場の方に集まってくれ!」


闘技場?あぁ、学園長とかの話かな?

「行くか」

「そうだね」





「えー、ゴホン……私が学園長のナナリー・ケイノスと申します」

そう言って自分たちの前に出てきたは、服装は魔女らしい黒の服に、長いつばの帽子。そして腰まである朱色の髪、出るとこは出て締まるとこ締まった理想的な体型の綺麗な女性が出てきた。



「えー皆さんご入学おめでとうございますーーーー」



「ーーーーで、以上です」

「はい、ありがとうございます、それでは新入生代表ヘリック・ギルバルドさん前に」

「はい」

ヘリック優等生かよ……そりゃそっか。

みんなに応援されながら、前に行く。


「皆さん初めまして、ヘリック・ギルバルドです。私が何故王都の学園ではなくこの街の学園に来た理由ですが、まずナナリーさんが居るのが一つ、王都以外の学園に通いたかったと言うのが一番の理由ですここなら貴族やらのしがらみが少なそうですからね」


はぁー、そんな理由だったのか。てか、学園長ナナリーさんそんな凄い人なのか。


「そういう事なので皆さん、気軽に話しかけて下さいね?ーーー以上です」

「はい、ありがとうございます。それでは入学式はこれまでとします」

あー、やっと終わった終わった。この後はクラスで集まるのかな?


「今からクラス表の紙を配るぞー!」

ーーーおっ、とうとう来たか。えっと、Cクラスか……

「ヘリックお前クラスは?」

「僕はAみたいだコウタは?」

「俺はCだよ、別々かぁ~」

「うーん、残念……」

「だなぁ、昼飯の時は一緒に食うか?」

「うん、助かるよ」

「助かるって、大袈裟な」

「もしクラスの友達が出来なかったらボッチ飯になっちゃうからね」

「お前に関してはそれは無い」

男はともかく女の方が黙ってはいないだろう。

「ほらー!自分のクラスがわかった奴は教室に行けー!」

「ふぅ、じゃあまた昼な」

「うん、また後で」



ーーー 3組の教室は1組に比べると天と地の差が……なんて事にはならなかった、設備的にはどのクラスも一緒だった。

取り敢えず窓側の席を確保し担任が来るのを待つ。しばらく経つと担任らしき男が入ってきた。

「えー……みんな席について下さい。ーーーはい、私はこのクラスの担任のライリーと申します。これから宜しくお願いしますね」


ライリーと名乗ったその先生は、深緑の髪にメガネの研究者っぽい格好をした人だ。


「さぁ、普通ならここで皆さんにも自己紹介等をやって貰うのですが………時間の無駄なのでやめときます」


ずいぶん適当な先生だな、まぁ……自己紹介なんて恥ずかしくてやってられないから助かるけど。

「それでは、10分後に授業を始めますのでそれまでに席について下さいね」

そういってライリー先生は教室を出ていった。


「ねぇ」

「ん?」

突然、隣の女子が話し掛けてきた 。

「なに?」

「貴方ってヘリック様の近くに居たわよね、どういう関係?」

「いや、ただの友達だけど」

「うそー、従者でしょ?」

なに、そのどや顔。友達だって言ってるのに。

「だから、友達だってーーー」「コウタ、居るかい?」

なんと、タイミングの良い。

「へ、ヘリック様?」

「おう、ヘリックこっちだ!」

「な!?貴方!」

な、なんだよ、何故にそんな睨む……


「はは、コウタはもう友達が出来たのかい?」

「違う、違う。コイツは俺とお前の関係が気になるみたいでな」

「ふむ、関係か……友達じゃないのかい?」

「まぁ、そんなんだけどさ。どうやら従者だと勘違いされてな」

「ちょっ!あの……違うんですヘリック様!」

な、何をそんな焦ってるんだ、周りもざわつき始めたし。

「なぁ、そんなに焦んなくてもいいだろ?俺は平民なんだから従者だと間違えられてもおかしくは無いと思うし」

「コウタはそれで良いのかい?」

「え?良いも何もただ従者だと勘違いしただけだろ?」

「まぁ、そうだね……君、名前は?」

「っ、ミミル……ミミル・ランドールです!」

「そうか、君はランドール伯爵の」

「は、はい……」

「ふふ、そうかこれから宜しくね」

「へ?……は、はい」


なんだこれ、流れがいつの間にか変わって目の前で頬を染めながらヘリックと握手してるし。………トラブルになる前に収まったから良しとするか。

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