11話 魔法を習おう

「えー、最初の授業ですが皆さん何がいいですか?」ライリー先生が言う。


「魔法」「魔法」「魔法」「武術」「呪い方」「武術」「魔法」


やっぱりみんな魔法か武術になるのか……てか呪いってなんだよ!誰だよ言った奴は、ーーー目が据わってるよ……関わらんとこ。


「多いことですし、魔法にしましょう」

「やった!」「これで俺の最強伝説が……」


いや、夢見すぎだから……。でも魔法か、それこそ大魔導師とか言われる程まで行きたいとは思わないし無理だろう。そこそこに使えればいい、俺は剣が基本だし、魔法は補助的な意味で覚えておきたい。特にブーストは必須だろう。



「それでは、まず簡単な生活魔法から覚えましょう……まずはこれから」


ボッ、と先生の指先からライター位の火が出てきた。


「では、皆さんもやってみましょう。体の中の魔力を指先に集中させて火を出すイメージです」

イメージ?ーーーすると誰かが言った。

「イメージですか?」

「はい、魔法に必要なのは、イメージとそれに見合う魔力ですから」

ふむ、やってみるか……まずは魔力を感じる所から。

………なんか、体の中に温かい物があるような?これが魔力かな、まあいいか取り敢えず指先に集める感じで。ーーーイメージはライターの火を想像すれば……


「あ、出来た」

「あら、早いじゃない」

隣で見ていたミミルが少し驚いた様子で言ってくる。

「お前も出来てるじゃん」

「私は家庭教師がいたから」

「あー、なるほどね 」


「はい、皆さんある程度は出来てるみたいですので一旦止めて下さい。では、魔法とは何かを今から説明します。さっきも言った通り魔法に必要なのはイメージと魔力です、創造するイメージが強力な物程、魔力を消費します。極端な話、ファイアアローとさっき皆さんが使った生活魔法は同じ物なんです。ただ込めた魔力と形が違うだけ」


ふむ、イメージと魔力があれば何でも出来ると……まるで奇跡だな。


「勿論、強力な魔法はそれ相応の技術が必要になりますから簡単に出来る訳では無いんですけどね」

イメージと魔力があれば出来ると、透明にもなれるのか……確か光の屈折とかだっけ?景色と同化する感じで身体中に魔力を巡らせて……


「ちょっと、コウタだっけ?なにをして……て!?消えた!?」

お!消えたのか!やっぱ創造出来れば何でも出来るっぽいな。て……あれ?なんか身体がダルい様な……まさか魔力切れか?意識が………


「ちょっと、大丈夫!?」

「どうしましたか?」

「先生、実はーーー」

「魔力切れですね、保健室に運びましょう」



「う…ん?ここは……」

「起きた様ですね」

「あ、先生……もしかして魔力切れですか?」

「ええ、そうですよ。よくわかりましたね?」

「まぁ、それぐらいは」

「問題なのは君が使った魔法なのですがね……」

「あー……」

「あれは、どうやって?」

「いやーただ透明になれたらいいなーって……」

「本当に?」

「え、ええ……」

実際どういう理屈で透明になるかもわからない、ただ透明はこんな感じだろうみたいな適当さで出来てしまった。ーーーん、だから魔力の減りが凄かったのか?ただでさえ透明になるのに曖昧なイメージで更に消費が激しくなったんじゃ………。


「先生、曖昧なイメージで魔法を使うと魔力消費って多くなります?」

「ええ、発動しないか通常よりも魔力を消費して発動するのどちらかですね。大規模な物だと暴走する場合もあります」

「暴走ですか……」

「ええ、強力な物だと大きなクレーターを残したり。ーーーあの魔法はあまり使わない方がいいでしょう」

「えっと……」

「いろんな人から教えてくれと言われたりします、何よりまだ魔力が無いですから使うたびに倒れて保健室に行くんじゃ意味がありません」

「デスヨネー」

「では、私はもう行きます、出れそうだったら授業に来て下さい」

「あ、はい。ありがとうございます」

「では」


………ふぅ、学園生活中はあまり変な魔法は使えんな。ーーーふふふ……だがこれは思い通りの物を実現出来るという夢の世界ではないか!

家に帰ったらみんなを驚かせてやろう。

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