第15話

15話


件名:行きましょう。


お誘いありがとうございます(≧∇≦)


では、日程なのですが、いつになりますか?



ーーーーーーENDーーーーーーー



かわいいなぁ……………


と、この文面だけで昇天しかけていた。


あ、待て待て?まだ、死ねない。


僕は一人で勝手に興奮し、一人で抑えた。


僕は一旦この鼓動の早まりを抑えるために一度、ずっと握っていた携帯をベットに置くと


ふう……はぁ…ふう………………


と、深呼吸をし呼吸を整え僕は携帯をまた握った。


何て送ろうかな………


とりあえず日程だな。


ん?待てよ?さっきの文には日程という言葉はあったが、それに関する詳細はない。こっちで勝手に決めていいのか?いや、ダメだよな?うーん………


一応聞くのがスジってもんか?


友達とかにこうやって自分から『遊ぼう』なんて言って、誘ったことないからわかんねえや………


まあ、でもこのまま、うじうじしてても仕方ない。なら、空いてる日を訊こう。


こんな感じか?


件名:あの、質問なんですが……


空いてる日訊いても良いですか?


ーーーーENDーーーーー


どうだろうか?なんだか無難だな。


まあ、無難でいいか。


大抵こういうときに出てくるあの変な奴がこないな…………


なんでだ?なぜこない?


忙しいのかな………


僕は一人悩み、勝手に決めて勝手に送信した。


そして、暫くするとメールが届いた。


件名:予定は


私はいつでも空いているので、いつでもいいですよ!


ーーーーENDーーーーー


…………どうする?返信はいるのか?


了解メール的なものを送ったほうがいいのかな?それとも、送らないで決めてから、後日お知らせってほうがいいのかな?


うーん…


ここでむやみに「了解です」みたいな返信をして変なやつとか思われたら俺の人生おしまいだ。


かと言って、白崎さんからすると報告を待ってて、この話はなしなのかな?とか思わせて困らせたくはないし…………


どうすればいいんだ?


うん?待てよ?これってまとめると、要するに自己中心的な考えじゃないか?「了解メールを送る」のは傷つく可能性があるのは僕だけ。だが、「送らないで決めてから後日」だと白崎さんに迷惑をかけてしまう可能性があるじゃないか


なら、僕は自分を捨てるっ!!


だって、白崎さんのほうが大切だから


と、なんだか名言的なものを一人で言って、僕は決断した。


ってことで、返信を送ることにはなったのだが、なんで送るか………


件名:わかりました。


ーーーーENDーーーーー



あ……………



用件だけ入れるだけだと、件名しか埋まんないじゃねえかっ!!


うーんと…………


「楽しみにしててくださいね?」とかか?


でも、これはなんか上から目線みたいで嫌だな…………


でも、わかりました。だけじゃな……


なんか他のものは………


と、周りを見回していると


我が家の家訓でもある言葉が目に入ってきた。


………ほうれんそう?


報告、連絡、相談?


ん?連絡?


予定連絡してないじゃんっ!!


でも、まだわかんないから、後日連絡します。と入れればいいじゃないかっ!!


って、ことで


結果


件名:わかりました。


予定は後日連絡しますね。


ーーーーENDーーーーー


となった。


家訓は大切だなと、僕は心からそう思いながら、送信ボタンを押した。



ふぅ………


ってことはあと来てないのは井上先輩だけか。


ブーブーブー。


携帯のバイブが鳴った。


携帯を開くとそこには井上渚と書いてあった。


おお!ラストワン賞だ。


と、なんとなく思いつつ、メールを開いた。


件名:べ、別に……


海、行ってもいいわよ。


か、勘違いしないでよね!別にあんたと行きたいわけじゃないんだからねっ!!!!


ーーーーENDーーーーー


なんだこれ……


嫌われたのかな?


行ってもいいって言うんだし、いいのかな?


でも、僕のせいで不愉快な思いさせたくないし…………


でも、考えたらよくわかんなくなるしな。よし、返信打ちながら考えよう。


どうするか………


と、考えていると僕の頭脳にビビッと閃光のような閃きが舞い降りた。


件名:わかりました。


では、空いてる日を訊きたいのですが、いいですか?


で、みんな来るそうです。


ーーーーENDーーーーー


なんで普通の文を打ってるの?と思う方も多いだろうが、そう。井上渚先輩は、この金髪童女はツンデレなのだ。


ってことは、ツンデレの法則からすると、「べ、別に」とか「勘違いしないでよね!」とかはおきまりの言葉であって、定型文なのだ。


僕はこの考えに確証を持ち、自信満々にこの文を送った。


よし、メンツは揃った。あとは日程だ。


はやり、ここの第二ステップでも井上渚が遅れている。


れんはいつでもいい。白崎さんもいつでもいい。僕は当然いつでもいい。井上渚さんは…………不明だ。


僕はベッドに横たわるといまどき流行らないアナログ時計を見た。


もう、9時過ぎか……………


よい子ならもう眠りについている頃だな……


風呂入らないとな。


僕は風呂に入ってきた。


その時間10分。


まあまあだろう。


携帯は、っと………


僕は最近使うことの多くなった携帯を手に取り、開いた。


メール、着信なし。


使うことが多くはなったが、頻繁に使うわけではない。


まあ、こんなもんだろう。


僕は適当にテレビを見て暇をつぶし始めた。


面白くないな………


と、もう何もすることがなくなったそんな時


ガチャッ!!!


と、玄関のドアが開いたような音がした。


ん?誰だ?


「ただいまー。おにいちゃんいる?」


と、甘い可愛らしい声がした。


妹が帰ってきたらしい。


全く、最近の若者はこんなに遅くまで部活しているのか。


まあ、そんなことはいつも通りであるので、あまり気にせずに


「おかえり」


と、僕が答えるとそれを聞いた瞬間、ドタドタと廊下を駆けて妹が勢いよく扉を開けた。


「おにいちゃんっ!!!」


僕は少し眠いのもあったのか動きが鈍くて妹のダイブをかわせずもろに受けた。


兄に800のダメージ。


兄は倒れた。


妹はどうする?


たたかう

調べる

どうぐ

にげる


妹は様子を見ている。


兄は動かないようだ。


妹は油性ペンを手に取った。


「………………いってて…」


「おにいちゃん起きた?」


目を開けると妹の顔があった。正確に言うと、その部分の鼻と思われる部分があった。まるで、顕微鏡で倍率を上げたときみたいに暗くてくっきり見えていた。


「近い近い」


僕はここで興奮してなんか言うと面白がられるただのおもちゃにされかねなかったので、冷静にそう言った。


「なんだ。つまんないの」


妹がそう言った。


よしっ!僕の読みは完璧だ。


だが、妹にもう、おもちゃにされていたようだ。


妹はなぜが僕をチラチラと見ては笑っているのだ。


なんだ?なんであいつは笑ってるんだろう?


僕は歩いて洗面台に向かうと、鏡を見た。


そこには僕?と思われる人物の顔があった。


「なんだこれ!?」


よくテレビとかでゲームなどに負けて、顔に何かを書かれてしまった芸人みたいな顔になっていた。


僕は衝撃のあまり動けなくなった。


そんな時、妹が僕の前にある鏡に映った。


「おにーちゃん。いい顔してるね」


と、笑いながら妹はそう言った。


「いい顔してるね。じゃねえよっ!!!ふざけんなっ!!」


と、僕が怒鳴ってはみたが、妹には意味がなかったようだ。


そんな僕を弾けるような笑顔で僕を見つめて


「安心してください。油性ですよ」


と、どどめを刺すかのように、そう言い放った。


明日は………なんもないか………よかった……

じゃねえよっ!!!


「なに油性で書いてんだよっ!!」


と、さっきより気持ち強めに言った。


でも、わかっていたことだが、無意味だ。


「ごめんねぇぇ。許してぇおにいちゃぁぁん」


と、上目遣いを巧みに使い、すっごい可愛く、甘く、そう言ってきた。


「だ、ダメだ」


うわぁ……やっちまった。妹だってわかってるけど、顔が歪んでしまう……


可愛すぎんだろ……


いくら妹だって反則だろ。


「うわぁ。おにいちゃん。なに?どうしてそんなに顔が赤くなってるの?それになんか顔がニタァってなってるよ?」


ニタァってなんだよっ!!


「う、うるさいっ!てか、これどうするだよっ!!」


「しっらな~い」


と、言って妹はリビングに戻っていった。、


やっといて無責任だな。とは思ったがなぜかイライラはしなかった。


バシャバシャッ!!!


クッソ全然落ちねえ……


でも、少しは薄くなったか。


多分明日風呂でも入れば落ちるかな?


なら、いいか。


僕はとりあえず今日のところはひとまず退却し、もう遅いので寝ることにした。


自分の部屋に向かった。


今日は色々あったな……さすがに疲れた……


ベットに横たわるとゲーム機が目に入った。


そういえば、最近リア充爆破second2やってないな……


まあ、今日はいいかな?


僕は自分に布団をかけて横になった。


そのまま死んだように眠った。


翌日、僕は目覚ましよりも早く起きた。


………起きたのはいいが、何するか…


暇だな、


僕はなんとなく携帯を開いた。


そうすると、着信メールが1件届いていた。


おっ!!メール来てたのか。

差出人は…………


井上渚からのメールが来ていた。


件名:了解。日程は



わかった。


日程なんだけど私はいつでも空いているから他の人に合わせて行くわ。


ーーーーーENDーーーーー



うん?


井上先輩もいつでもいいのか。


お?ってことはいつでもいいってことか!?


いや、だが待て。


考えるんだ。今は夏。ならば………人がいっぱいいるに決まってるっ!!


多分ほとんどは、きゃっきゃウフフするリア充共だ。


ならば、ここは逆手にとって土日ってのもアリなんじゃないか?


ファミリーに重なるのとリア充に重なるのを選ぶのは容易だった。当然、断然的にファミリーと被ったほうがいい。当たり前だ。


………次の土曜でいいかな?


そうしようか。


そうと決まったらもうやることは決まっている。


僕はメールを打ち始めた。


件名:予定ですが。


次の土曜日に市民プールで集合してそのまま遊ぶって感じでいいですか?


ーーーーーENDーーーーー


僕はなんの迷いもなく、さっと、まるで慣れているかのようにれん、白崎さん、井上先輩に送信した。


多分、れんはあいつ、そう火憐も呼ぶだろう。


だからその時にしっかりと区切りをつけよう。そして、白崎さんに告白だっ!!


心では決心していてもやっぱり告白って考えると怖いな…………



でも、暇だな………


今日は何しようかな。


久しぶりにリア充爆破second2でもやるか。


僕はゲーム機の電源を入れてゲームを開始した。


続きからを選択し僕はこの世の中からリア充をほとんど消した世界に来た。


な、なんで平和なんだっ!!こんな胸糞悪い現世とはまるで違う。


ふぁ………


安心するな。


僕はその街を徘徊していた。


リア充が一人も、どこに行ってもいない………


でも、それは一見良さそうに見えて、最悪。リア充がいないってことはそう、僕も含めてみんなボッチだということだ。


なんだそれはっ!!


そんなの意味無いじゃねえかっ!!


昔はそれでいい。てか、むしろそっちのほうがいいと思っていた。だが、今は違う。周りじゃ無いんだ。自分なんだ。リア充がうざいんじゃない。ただ羨ましいんだ。妬ましいんだ。そんな感情を僕が勝手に勘違いして、うざいなどと思っていたのか………


僕は廃人化するくらいにやり込んでいたゲームソフトから、やっと、本当にこのゲームの言いたかった事を学んだ。


するとその時、画面が急に変わり、真っ白で何もない画面になった。


なんだこれ………


古いし、バグったのか?


僕は機械に手を伸ばし電源を落とそうとした。その時に画面に何かが映り始めた。


最初はぼんやりでよくわからないが、英語だってことはわかった。


そして、どんどんくっきりとわかり始めた。


「Congratulations」と表示された。


な、なにっ!!


おめでとう……?


なんだ?これ?


と、僕が混乱する寸前のところで


プチっ!!


っと、テレビが消えた。


…………………は?


なんなんだよっ!!!


一種の怪奇現象か?


と、思ったらまたテレビがついた。


すると、何かが始まった。


「名前を入力してねっ!!」


と、テレビから声が流れる。


コレは………


なにかの初期設定だな。


やらない事にはなにも始まらないと思い、僕は名前を入れた。


「二宮 士郎さんですね?」


という問いが出てきた。


選択肢としてまた、何かが出てきた。


はいっ!!


違います。


僕は当然のように「はいっ!!」を選び進んだ。


そのあとも少しばかり質問をされた。


やっと………


「それじゃ、ゲームを開始するねっ!!」


そこから軽くローディングがあったが、ゲームが始まった。


………………女の人が出てきては選択肢が出てくるよくわからないゲームだ。


何これ?


みんなよくわかんないけど、去っていくんですけどっ!!


どうなってんの!?


あそこまで意味もなく使ってるのに…


ふぅ………


このまだ題名も出てきてないゲームをやり始めて2時間。


みんな逃げるんだけど……


どうなってんだよっ!!


しっかり選択肢から選んでるじゃん。


全く、どうなってんだよ。


糞ゲーだな。


これまで90人にフられてきた。


あと、10人だ。あと10人にフられたらやめよう。


と、僕は決心しゲームをやり続けた。


「ごめんなさいっ!!」


「ちょっと待ってぇぇぇぇ!!!」


………はぁ。


また、逃げられた。


これで99人目だ。


次で終わろう。


そして、暫くすると100人目の女の子が出てきた。


その少女は…………


白い髪を持つ、すごいスタイルのいいまるで天使のような女の子だった。


この人…………まさか………


「こんにちは。白崎 鹿と申します。」


そのまさかだったぁぁぁ!!!


ほ、本当に白崎さんなのか?てかこれゲームだぞ!?


ど、どどどうしよう!?


やばいって!!!


なんでゲームの中に白崎さんが居るんだ!?


と、混乱している時なんて関係なく選択肢は現れた。


1、「僕は二宮 士郎です。」と、自己紹介する。


2、「君、かわぅぃぃね。何歳?」などとナンパして、そのままデートに持ち込む。


2、選ぶとかどこの不良だよっ!!


とか、軽くツッコミを入れると僕は1を選択した。


「僕は二宮 士郎です。」


待て待て。焦りすぎだ。


一旦落ち着こうではないか。


まず、整理するぞ。


リア充爆破second2と言うゲームソフトが急にあるはずのないエンドロールを迎え、他のゲームに変わった。


意味がわからない。


まあ、これは千歩譲っていいとしよう。


だけど、その内容が全て変わったゲーム内に知り合いと同姓同名の全く同じ女の子が出てくるものだろうか?


いやいや、現実を見ろ。ありえない。これはゲームだ。現実とは全く関係ないんだ。多分、製作者が勝手にこんな子いればいいなとか言って作ったんだろ?


まあ、あんな美人。そうそういないしな。


と、この制作者と、こころが通った気がした。


ふぅ………


ちょっと心が落ち着いたな。


よし、とりあえず仲良くなって告白まで行こう。


僕はこのゲーム内の白崎さんに告白しようと思う。


直感でなんとなくだが、ここで失敗したら、リアルでの成功もないと思えよっ!!僕っ!!


と、気を引き締めてこの告白旅行練習を始めた。

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