十一 下町キャンパス

 『狩宿(かりやど)市下町キャンパス事業 発足記念式典』


 会場である結婚式場の門には華々しい看板が掲げられた。

 主催は狩宿市下町キャンパス事業体、共催は市と商工会議所。

 商工会議所の職員総出で今日の式典を運営している。手慣れているのか、彼らの動きはきびきびしている。

「平野さんは主催者席にかけていてください」

 飯島すら会場設営で走り回っているのに、仁(ひとし)は自分だけ座っているのが少し気まずかった。

 来賓は、国会議員と県会議員。

 製造業や商店街の組合、青年会議所や法人会など経営者団体のお歴々が招待された。

 仁にとって政治家は、国会議員は選挙のポスターか、自宅に届く政策報告の葉書で顔を知るだけの遠い存在だ。

 県会議員は、名前も顔もよく知らない。

 地元の組合や青年会議所、法人会に至っては、どんな団体かも分からない。


 地元ケーブルテレビ、地元紙、地域経済新聞、愛知県で圧倒的なシェアを誇る一般紙、経済新聞では業界トップ紙、さらに民放までもが取材に来た。

 ケーブルテレビとは多チャンネル放送のサービスを提供するだけと思っていたのだが、自局用のチャンネルもあり、そこで地元の話題を放送しているとのことだ。

 アニメ専門チャンネルや海外ドラマ専門チャンネルの番組を視るだけの仁には新たな発見だ。

 愛知県で圧倒的なシェアを持つ中目新聞や全国的な朝陽新聞や経済新聞の他に、地元だけの小さな新聞があることも今日、知った。

 仁は思う。岡崎市にもローカル紙があるのだろうか?


「市長のマニフェストの一つがこうしてスタートラインに立てたのは、市と商工会議所の連携の賜です。

 またご指導いただいた県の産業部、国の中部産業局にもお礼申し上げます。……」

 開会前、市企画部でこのプロジェクトの立ち上げに携わった鈴木は晴れがましく取材に応じていた。

「江崎さん、こちらが管理者の平野仁さんです」

 飯島が年配の男性を仁の隣の席に案内し、仁を紹介した。

 名前だけ聞いていた下町キャンパスのコーディネーター、江崎正男だ。

 この事業に大所高所から助言する立場である。

 狩宿市に本社を置く自動車部品メーカー、ジソーを五年前に退職した人物で、市の評価委員会の委員だったことから、企画部の鈴木と面識があり、鈴木が推挙した。

 エンジニア出身でジソーの子会社社長で退職した。

 ジソーをはじめ、母体となる自動車メーカーグループ各社との繫がりもあり、コーディネーターに相応しい人材というのが鈴木の推薦理由である。


「やっと会えましたね平野さん。これ、今しがた渡された名刺です」

 そういって、江崎は仁と名刺交換した。

 紺色のダークスーツを着ていても小太りで顔も丸みを帯びているせいか、柔和な印象のまじめそうな紳士だ。

 ずっと年下の仁にも笑みを絶やさない。性格も温和なのだろう。

「ジソーの方だったと伺っています。

 機械系に疎いので、いろいろ教えてください」

「こちらこそ。メールしかできないパソコン音痴なので、個人指導を頼みたいくらいですよ」

 初対面なので気さくな性格を装っているのかな、仁はそう思った。

 コーディネーターの江崎は週一日の非常勤職員という身分だ。

 事務局は商工会議所に置かれ、下町キャンパスを立ち上げた飯島がその責任者だ。

 江崎のアシストは飯島の部下がつく。

 狩宿市下町キャンパスは市と商工会議所が運営母体である。

 市、といっても企画部の鈴木が丸投げしたので、実質は商工会議所が管理している。


「ご来場の皆様……」

 女性の美声が会場に響いた。

 司会の女性が開会を告げ、商工会議所会頭が演壇で開会の挨拶を始めた。

 どうしても白スーツの司会者に目がいってしまう仁は、それを飯島や江崎に悟られまいとしていた。

「あの司会者、なかなかの美人ですね」

 江崎が話しかけてきた。

「そうですね。ダークスーツばかりの中で白い服は人目を引きますね」

 仁は視点を逸らした受け答えをする。

「結婚式の司会とかしている人ですかね」

「さぁ、飯島さんに聞けば分かると思いますけど」

 来賓の挨拶が始まった。


 まず地元選出の衆議院議員だ。

「私、あの人のこと、よく存じないのですが、東大出の元官僚だとか」

 江崎は小声で話しかけてくるので、仁は仕方なく応じた。

「私が聞いた話では、地元の面倒見がいい方だそうですよ。

 町工場が移転して、工場への道路が認められないとか、何とかで困っていたら、あの方の口利きですぐに道路が作れたとか、聞きました」

 仁の話は飯島の受け売りだ。

「よく聞く話ですが、エリート官僚にしては地元の細かいことにまで手が回るのですね」

「落下傘候補じゃないですから。

 地元の方ですよ。だから地盤というものがしっかりしているんじゃないですか」

 世間話が苦手な仁は、私語を慎むべき式典中の雑談は苦痛だ。

 式典が終わった。

 江崎は商工会議所で所用があるからと別れた。

 後片付けは手伝わなくていいのでキャンパスに戻ってくれと飯島に言われた。


「お疲れ様」

 下町キャンパスの管理棟に戻ると、相変わらず祥(しょう)馬(ま)がパソコンで作業をしていた。

 彩智(さち)は営業に出ている。

 彩智の報告書からは、今のところ名古屋の会社を集中的に廻っているようだ。

「相原さん、今日も名古屋ですね」

 祥馬が移動式のホワイトボードを向きながら話しかけた。


 仁は、式典のために管理棟へ寄らず、会場へ直行したが、彩智の行動は彼女からメールが入るので把握している。

 名古屋~十七時帰社、との彩智の走り書きがある。

「名古屋の会社から三河の会社を紹介してもらえるみたいだ」

「そういえば入居2号ってまだですか?」

「有望な人はいるけど、押しが足りないんだ」

「それこそ、相原さんがフォローする案件ですよね」

「そうだな」

「先輩、自立化しなきゃいけないんでしょ?」

「まだ三年あるさ」

 余計なお世話とばかりに、少しきつい口調で祥馬に返した。

 三年後に国の補助金が打ち切られるので、それまでに民間事業者として成り立つように、一緒に考えてくれと飯島から頼まれている。

 彩智とはこの件を含めて話す機会がないのが苛つく。

 ランチを一緒にとは言わなくても、コーヒー飲むくらいの時間を割いてくれなければ、彼女が実際に何をしているのか、よく分からない。

 彼女のことをもう少し知りたいし、彼女だって下町キャンパスのことをもっと理解する必要があるはずだ。


 仁の想いを知らない彩智は、楽しみながら仕事している。

 一つの会社を訪問しては珈琲店で休み、また訪問する。

 こんな、休み休みの営業は、青葉市場のエージェント時代とは真逆のスタイルだ。

 学生時代に世話になった名古屋市内の中小企業経営者と会うのは、懐かしくもあり、楽しみであり、少しパワーを貰える。

 キャラメルソースをトッピングしたアツアツのラテを一口飲むと睡魔に包まれる。

 五分熟睡して目が覚める。

 ほどよく冷めたラテを半分飲んでまた熟睡。

 これで睡魔から解放される。

 飲み干したら次の会社へ向かう。

 このところ、寝つけられない夜が続いている。

 その反動が昼間に来る。

 東京でのダメージがボディーブローのように蝕んできたと彩智は思っている。

 こんな姿は仁や飯島に見せられない。

 だから、一日中外出している。

 午後のつかの間の熟睡から醒めたら、仁からのメールが届いていた。

『明日、入居候補者のフォローをお願いします』


 帰社して、仁から訪問先の資料を受け取った。

 仁は明日、通院で午前中の半日休暇を取るので、彩智一人でいく。

 明日はお昼寝厳禁だ。


「横になって下さい」

 翌日、仁はかかりつけ医の診察を受けた。

 腹部の触診のためにベッドで仰臥する。

 診療用のベッドなのでマットレスはなく、薄いクッション材があるだけなのだが、なぜか体が楽になる。

 まさに癒やされるのだ。

 スプリングのしっかりしたマットレスを使っている自分のベッドの方が寝心地はいいはずなのだが、この体が楽になる感覚は、この内科クリニックでしか味わえない。

 仁の診察時間は短い。

 体調に変化はないか?

 便の状態はどうか?

 血圧を測って、聴診器を当てられ、ベッドで触診。

 岡崎市の実家に帰ってきて、このクリニックを受診するのも六回目。

 二週間おきだった診察も先月から月一回になった。

 変わりはないので、いつもの薬を処方してもらう。


 彩智が仁から渡された訪問先の資料には、ベンチャーと手書きしてあった。

 青葉市場のエージェント時代、ベンチャー企業と自負する幾つもの会社を訪問した。

 始めて訪問したとき、社長の浅倉が同伴した。

 文系の彩智に技術のことが分かるはずもない。

「だからベンチャー企業の訪問は厭です」

 浅倉は最初の一社だけ同伴すると言ってくれた。

「俺だって文系だ。技術のことは分からない」

「それで勤まるのですか?」

「俺たちの仕事は金を集める手伝いをすることで、技術の手伝いじゃない」

 駆け出しの彩智には青葉市場の説明もおぼつかなかったが、技術が分からないことに引け目を感じたら負けだと教えられた。

「ハイテクは金を集めるためのアドバルーン広告くらいに思え」

 浅倉の口癖だった。


 浅倉が同伴してくれたハイテク企業へ、二度目は彩智一人で訪問すると、先方の社長から強烈な反撃を喰らった。

「ベンチャービジネスって、ハイテクを使うか、作るビジネスを指すんじゃないかな。

 少なくとも、(営業しているだけの)おたくの会社は違う。

 あの社長に言っておいて」

 最初の訪問で、青葉市場を開拓する弊社もベンチャー企業です、との浅倉の一言に憤っていたのだ。

 浅倉なりにベンチャー・ビジネスの自負はある。

 中小企業の株式を流通させる証券市場、青葉市場は挑戦的な存在だ。

 そのエージェントをしている自分たちは、ベンチャー・ビジネスの前線にいると信じている。

 だからベンチャー企業なのだというのが浅倉の論理だ。


 三度目の訪問では、浅倉に対する社長の本音が出た。

「安っぽいんだよ、おたくの社長」

「安っぽい?」

 初回も、二回目も、今回も、社長は青いツナギ姿だ。

 ツナギ姿の社長に浅倉の外見を悪く言われ、彩智は少し手が震えた。

「これ見よがしに高そうな腕時計をしているし、車はBMWだし、……エリート気取りというか、できるビジネスパーソンを演出しているっていうか、だから薄っぺらというべきかな」

「薄っぺら?」

「だって、早口で専門用語を並べ立て、頭の回転の速さをアピールしたいのだろうけど、僕に言わせれば、逆だね」

 彩智は浅倉のマシンガントークと押しの強さに惹かれたのだが、目の前のツナギ社長はそれを忌み嫌う。

「相原さん、だっけ。あなたの方がずっと説得力がある」

 外見でこの社長を若干侮蔑気味に見ていただけに、フェイントをかけられた格好だ。

「ありがとうございます。駆け出しで、うまく喋れなくて、上司から叱られてばかりです」

「おたくの社長よりずっと上手だよ」


「ところで社長の左腕のワッペンはホイールの図面を模したものですか?」

 円の中に対称的な幾何学模様がある。

 会社のホームページにも似たような図形が背景画像に使われていた。

 もしやと思ったホイールが正解だった。

「よく気がついたね。

 これは新製品のホイールなんだ。気がついてくれた女性は相原さんで三人目かな?」

「たった、それだけですか?」

「二人は特別だよ。レーサーだから」

「私は車、持っていませんけど、学生の頃、父の車を借りて運転していました。

 父は車をいじるのが好きで、アルミホイールも変えたりしていました」

「なかなか数寄者のお父さんだね。

 若い頃にホイールにこだわっても、年取ってくるとタイヤやホイールへの関心は薄くなるんだ。車に興味があってもね」

「そうなのですか?」

「普通、新車のホイールをそのまま使い続けるんだ。

 最近は夏タイヤ、冬タイヤをホイールごと変えることが流行っているけど」

「私、こちらで始めてマグネシウムホイールを見ました!」

 彩智はホイールを見てもその材質が何か判別できないが、ホームページに並んでいるホイールの商品画像からマグネシウムホイールなるものを知った。


「ウチは量産品を作ってないからね。

 自動車用品店やタイヤ店に置いてないんだ」

「設計製造ということは、ホイールのデザインもされているのですか?」

「ウチのような中小企業でホイールの設計製造しているのは珍しくない。

 でもマグネシウムホイールを扱っているのは稀少だよ」

「だから、その成長性を見込んで、訪問させてもらっています」

「成長性はどうかなぁ?」

 まんざらでもない表情だが、こういう会社は成長を意識する余裕がないことが多い。

 彩智は話題を変えた。

「マグネシウム合金から作られているとか」

 マグネシウム合金とホームページに書いてあった。合金がどういう物か、彩智は知らない。

「ちゃんと調べているんだね」

「それくらいは頭に入ってます」

 会社のホームページは訪問前に見ておく。

 三度目の訪問となれば何度、ホームページを見たことか。

 書いてあることは覚えたつもりだ。


「知ってると思うけど、ウチの親会社はマグネシウム合金を作っている。

 そこからホイールに特化したのが我が社だ。

 レーシングチームが顧客だよ。それと数寄者のレースマニア」

「レースマニア?」

「プロのレースには出ないけど、サーキット走行を楽しむ人達さ。

 タイムトライアルで少しでも速く走るためにホイールも軽くするから、マグネシウムホイールを使うんだ」

「なるほど」

「マグネシウム合金だって日々改良している。

 ホイール用途で幾つか特許も持っているし」

「では、ハイテクベンチャーですね」

「ウチはハイテクじゃないよ。

 ウチのマグネシウム合金は確立した技術だ。

 ホイールの設計だって、軽量化や空力特性を考えるけど、見た目のインパクトを重視するから流行り廃りを考えているだけだし」

「でも、業界の先頭を走っている。

 これはリスクのあることですよね。だからベンチャーなのです」


 このホイール製造会社は青葉市場の検討すらしてくれなかった。

 資金繰りには四苦八苦しているが、見ず知らずの株主に指図されるよりましという。

 それでも彩智には、ベンチャー企業を真正面から考えるきっかけとなった。


 今から訪問する会社も難しい用語が並んでいる。

 事業欄にデジタル・アナログ電子機器とかコンピュータ制御システムとか書かれている。

 ホームページを読んでも彩智にはちんぷんかんぷんだ。

「我が社は典型的なビー・ツー・ビー・ビジネスです」

 作業服姿の社長はこう切り出した。

「もう古い話題になってしまいますが、分析機器メーカー勤務の方がノーベル化学賞を取られたの、ご存知ですか?」

「日本人のノーベール賞といっても最近のことしか知らなくて、お恥ずかしい次第です」

「文系の方にとって、物理、化学、医学のノーベル賞はその年の話題、流行語大賞くらいの価値しかないのかな?

 日本人が受賞すれば別だろうけど。

 でもあの会社は研究開発や技術系の人間にはよく知られていたのですが、ノーベル賞をきっかけに計測器と無縁の人にも知られるようになったんです」

 でも、政治に興味ない人は、地元出身の総理大臣が誕生すれば首相の言動を気にするだろうし、株に興味ない人でも株主優待品の、アイドルのコンサートチケットがオークションサイトに出品されているか気にするはずだ、と反論したいのを彩智は堪えた。


「あの会社とは製品分野が違うのですが、計測器メーカーに部品を納めているんです」

「電子機器とかですか」

「得意とするのは回転角センサーです」

「回転、ですか?」

「分かりやすい例ですと、インホイールモーターを搭載した四輪駆動車、四輪とは限らないのでオールホイールコントロールというのが今風のいい方ですが、自動車の車輪全てにモーターがある、そんな電気自動車を想像してください」

「はい。インホイールって、アルミホイールの、あのホイールの中ってことですか?」

「ホイールの内側と考えてもらった方がいいけど。

 車輪の数だけモーターがあるのですが、それぞれのモーターの回転数は、特にコーナーリングでは、回転数が違うのです」

 彩智が理解していないと察して説明を加えた。

「例えば、こう曲がるときの内側と外側では、内側は回転数を若干低め、外側は高めにするんです」

 右手の手のひらを車輌に見立てて、弧を描き、左手で親指側と小指側を指しながら、説明した。

「なるほど。素人の私でもとても解りやすい説明です」

「タイヤの回転数はモーターの回転数そのものだから、内側のモーターと外側のモーターの回転数を変える。この回転数を制御するのに使うのが我が社の製品群です」

「つまり、電気自動車で使われていると……」

「それもインホイールモーターの四輪駆動車です」

 彩智には分からないが、とても価値のあることなのだろう。

「あの、下町キャンパスでは、どのようなことに取り組まれるのですか?」


 キャンパスの相談窓口は仁、それを大所高所から助言支援するのがコーディネーターの江崎である。

 世界でもトップクラスのシェアを持つ自動車部品メーカー、ジソーでは技術畑一筋だった。

 江崎は石川ラボに興味津々で、祥馬によく話しかける。

「私の会社にもドクターが何人かいてね。

 あなたのようにドクターを取って就職する人もいれば、研究所で論文を書いてドクターを取った人もいるし、留学制度で大学院に入って取得した人もいる」

 五年も経ってるのに、私の会社?

 祥馬は眉をひそめた。

 ジャケットの襟にはOBに配られる社章がこれみよがしに留めてある。

「僕は航空工学でドクターを取りました」

「ほぉ、航空機かね。高校の同期でいたね。

 同じ大学に進んだけど、航空機を専攻したヤツが」

「私は、もっぱらコンピュータを使ってばかりですから」

「私の若い頃のコンピュータといえば、手回し計算機だったよ」

「実物を見たことがありませんが、知ってます」

 一事が万事、こんな調子である。

 初対面の頃、祥馬は江崎に一目置いていた。

 世界的なグローバル企業のエンジニアだった人物だ。

 まともに会社勤めしてない分、祥馬は江崎に引け目があった。

 江崎は自動車部品の中でもオートマチックトランスミッションのオイルポンプの専門という。


 専門分野が違っては話の接点がない。

 そのうえ、昔話だ。祥馬は江崎に苦手意識を抱いた。

 一度苦手意識を持ってしまうと、祥馬は江﨑との世間話が苦痛になってきた。

 江﨑は祥馬の仕事を邪魔するつもりはない。

 ただ、挨拶ついでの世間話だ。

 丁度、「おはようございます。いい天気ですね」という具合に。

 情けないが、仁や彩智がこの場にいてくれたらと思う。

 特に彩智なら……、営業職の彼女は人あしらいが上手い。

 江﨑の相手を任せたい。

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