第一〇話

元恋人は3ヶ月前、バーで一人で飲んでいた時、数人の男性に声を掛けられた。見た目は大人だったが、中身は明らかに子供の男性だった。しかもどこかの馬鹿金持ちのようで、身に着けているものは、自分達が成金主義だと言っている事に気づいていないようだった。したがって元恋人は、当然肘鉄砲であしらった。

しかし彼等は、想像以上に子供だった。元恋人がバーから出てくるところを見計らって襲い、元恋人を拉致した。彼等の隠れ家らしい所に連れてこられ、着ている服を破き

棄てられ、そして彼等の主犯格が鬼の首を取ったように、元恋人に言い放った。

「今日からお前は、俺達の性奴隷だ。」

その時の彼等を見て元恋人は、その態度はとても傲慢で、その顔はとても醜悪で、その言葉はとてもも幼稚に思えた。しかし同時に、そんな彼等に隙を見せてしまい、今こうして囚われの身になってしまった自分を不甲斐ないとも思った。

それから彼等は、慰めモノとして元恋人を雑にこき使った。始めは一人ずつ、それぞれの趣味や嗜好に無理矢理合わさせて、コスプレやSMや羞恥プレイをやり、やがて待つのが億劫になったのか二人三人同時にするようになった。しかし、いつの間にか主導権は、元恋人が奪っていた。自ら身体を使い、彼等の萎えたモノを奮い立たせて、休ませる事なく続けた。彼等も最初は、元恋人が自分の立場を受け入れ奉仕していると思い、その行動や言葉一つ一つを喜んでいたが、自分達の精気や体力を搾り取る事が元恋人の本当の目的と気づいた時には既に手遅れで、丸一日経った頃には、すっかり立場は逆転していた。

しかし元恋人の性の追求は、終わらなかった。彼等が泣いて謝罪をしても、喚き助けを求めても、決して休ませなかった。そのなかで元恋人は彼等に対し、

「アナタ達は、私にこうして欲しかったんじゃないの?」

と訊いてきた。その姿は、他者が見れば妖艶だったが、今の彼等から見れば恐怖でしかなかった。彼等の中の一人が、サキュバスと呟いた。それを聞いた元恋人は、妖しく微笑んだ。それが彼等にとどめを刺した。彼等の中の全てが崩壊し、崩壊したものは塵芥となって飛び散り、もう二度と戻らなくなった。

それを見届けた元恋人は、散らかし放しの彼等の衣類から着れるヤツを見繕い、その場を去った。そこに残されたのは、裸の廃人だけだった。

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