卑怯なコウモリ

 このタイトルの話を聞いたことがあるだろうか?


 哺乳類でありながら翼をもつコウモリは、獣と鳥の争いで戦況次第で寝返りを繰り返し、遂にはどちらの仲間からも除外されてしまったというお話だ。

 

 前回、女の子は可愛いという話を書いたが、現実はまた別の話だ。

 現実の女は、なぜだか理解できないが、群れたがる生き物だ。

 小学生の私は、連れションしたり何かと仲間意識を持ちたがる一般的な女の子の感性を持ち合わせていなかった。

 当時、クラスの女子たちは、二つのグループで分断されていた。

 特に敵対をしたりはしないが、互いのグループには決して干渉しない。それが暗黙の決まりだったように思える。

 私はどちらのグループにも所属せず、好きな時に好きな人と話していた。

 ある日学校へ行くと、誰一人として私と会話をしてくれなくなった。明らかに無視をしているのである。

 よく見ると、昨日まで真っ二つだったはずのグループが一つにまとまり、遠巻きに私を見て笑っていた。

 それから毎日が苦痛だった。直接的にいじめられることはなかったが、私には標的になる理由が全く分からなかったからだ。

 ズル休みをしようとして家に閉じこもっていると、学校から母に連絡がいき、休んでいることがバレた。正直にいじめられてつらい、休みたいと伝えたが、母は決して休ませてはくれなかった。

 学校側には伝え、担任は私と面談を行ったが、いじめと決定づける行動が何もないと言って取り合ってはくれなかった。

 このいじめは半年間ぐらい続いたのだろうか、気づくといつの間にかなくなっていた。多分、飽きたのだろう。


 コウモリは、悪だろうか。

 争いを起こす獣と鳥のほうが遥かに低俗で、何もせずに平和を貫くコウモリのほうが偉いと思ってしまうのは、私だけなのだろうか。

 私は未だに、私の行動が間違っていたとは思っていない。

 しかし、世の中で上手く生きるためには間違いなのだろう。

 それから私は、思っていることをうまく伝えられないようになった。このセリフを言ってもいいのか、その答えがわからなかったからである。

 私の想いは誰にもぶつけられないまま膨らんでいき、それが小説を書くことに繋がった。

 そう考えればこのクソみたいな経験も悪くなかったのかもしれない。

 と、思うようにしている。


 女は怖い生き物だ。

 成長するにつれて、私も次第に学習していった。

 当たり障りない言葉を選び、気を遣い、笑顔で接することが出来る。

 しかし根本的には私は女を信じ切れてないのかもしれない。

 高校生の時、友人の家でゲームをして遊んでいた時のこと。なぜだか私はそのゲームの滑稽な動きがツボに入り、腹がよじれるまで笑い転げた。

 ひとしきり笑い終わって疲れていると、友人はビックリしたような顔をして、

「アンタが笑ったところ初めて見た」

 と言った。

 そんなバカな。いつでも率先してくだらない冗談や行動をして笑わせて、にこにこを愛嬌を振りまいていたはずなのに。

 どうやら友人の目には、いつも気持ちは笑っていないように見えていたようなのだ。

 これには本気で自覚がなくて、心底驚いたものだ。


 女と付き合うなら二次元がいい。

 でも三次元の女も触りたい。

 世の童貞たちよ、この葛藤を打破するいい策はないか、共に考えようじゃないか。

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