第8話 勇気がない
そう、勇気がない。
私にはいつも勇気がない。
飛び出す勇気がない。
そういうふうに見えないってめっちゃ知ってるけど、
私にはここぞってとこで「えぃやっ!」って飛べない勇気がない。
いつもたびたび思い出すんだけど、
ベトナムをバックパッカーしてた時、
テキトーなバイタクの人に騙されて?行きたくないホテルに連れていかれた。
そんで私は怒ったんだけど、ホテルのフロントの人も
「あなたの行きたいホテルはここじゃないわ〜。
でも彼が連れてきたのはここだわ〜。
だから仕方ないわ〜。」
とかって感じで、私はフンヌー!ってなった。
でも、そのフロントのお姉さんが、
「OK, しょうがないからあなたが目指してるホテルまで私が連れてってあげる。
バイクの後ろにのって」
みたいな感じで、ロングヘアの、眼鏡の、美人の、いいにおいのするお姉さんのバイクの後ろにのって、2ケツでベトナムのあの町の夜、街灯が連なってきれいで、夜の深さは濃くて、ブンブン車が通る大きな道を、ノーヘルで、跳ばした。
その時おねえさんが言ったのだ。
「どれくらいここ(ベトナム)に来てるの?」
「えーと、2 weeks?」
「あなた、ひとりで来てるの!?」
「うん、そう。」
「ワォ、 You must be brave!」
私はそんな勇気なんてないのに全然ないのに
あのおねさんが私をbrraveだと言った。
私よりもっとハードな旅をしてる人なんて山程いるだろう女の子でも男の子でも仕事でもプライベートでも。バックパッカーでもビジネスでも転勤で引っ越しでも出張だらけの仕事でも、人は、みんな、移動をしている。し、その度に違う町や人にふれて、怖じ気づいたりドキドキしたり色々いまくいかなかったり苛立ったり、する。
異文化や馴染んでいくことが素敵だって思てるのは、まだ、少し、先なのだ。私もそういう経験たくさんあるからわかるよ。とにかく、ハードな人生の旅を続けているひとは山程いる。私なんか足下にもおよばないぐらい。
でも、
あのお姉さんが、
「You are so brave!」と言ったのを今でもよく思い出す。
思い出すたびに、
「そんなことないよ」とお姉さんに返している自分と、
「そうでしょ?なかなかすごいでしょ私」と思う自分がいて、
でもとにかく、他の人から「brave」という称号をもらったのが、
とても、嬉しかった。
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