報酬
押忍!! ガクです。宝くじは夢を買うモノ。コレは誰が言ったのでしょうね。まぁ宝くじの高額に当選した大半は散財して終わるそうですがね。
事件は俺とルアンとサラで朝食を食べていた時だった。
宿屋のドアが開き、バファルとシャルルが入ってきた。
「おはよう。諸君」
「「……」」
朝から暑苦しい人の笑顔なんか見たくなかった。
「おはよう」
「おはようございます、シャルル」
「シャルル、おはよう」
シャルルが挨拶してくれたので挨拶を返した。
残念な事にシャルルはメイルをしていて顔が見れない。
仕方ないか。
ルアンは食事に夢中。
ちゃんと噛んで食べるんだぞ~。
「おいおい、つれないな~。はっはっは」
「何で朝からそんなに元気なんだよ。引くわ」
「ガクさん。声に出してますよ」
おっと。
寝ぼけてたからかな?
すまん、すまん。
反省すよ。
「ガクくんは朝は元気がないのか」
「いえ、まぁ。……そうですね」
顔が近い。
ウザい。
あ、なんかいい匂い。ドキッ!
なんつって。
「それでこんな朝早くどうしたんですか?」
「ここではなんだ。君たちの部屋に案内してくれないかな?」
「……えぇ~」
オッサンを部屋に入れるのはな~。
まぁ、シャルルがいるからいいか。
「君は正直だな。まぁ、食事が終わるまで私たちはここで待機させてもらう」
隣のテーブルに腰を下ろし、飲み物を注文している。
酒かよ。
「教官。お酒は……」
「いや、コレは水だ」
「ですが」
「水だ」
「……はい」
うわ~。
見てはいけない現場を見てしまった。
その後、食事を終えて部屋に移動した。
「それで? どうしたんですか?」
二人には椅子に座ってもらい、俺とサラはベットに座っている。
ルアンはサラの膝の上に乗っている。
「まず、シャルル」
「はい」
シャルルは腰に取り付けていたコンパスのようなモノを外し、手で持った。
すると、突如コンパスのようなモノが光り出し、三十センチ程の空間が割れた。
俺はビビりまくりだがルアンは目をキラキラさせ、サラは普通。
何の道具だ?
「この道具は魔具の一種で、空間に物を入れる事が出来るんだ」
「へぇ~。コレが」
俺のスマホのやり方と全く違うんだな。
シャルルは手を突っ込み、大きな袋を一つ取り出した。
「どうぞ」
サラの膝の上にはルアンがいる為、俺に渡してきた。
反射的に受け取る。
「重!? 痛い!!」
シャルルが手を放した瞬間にあまりの重さで俺の足に直撃した。
ルアンは爆笑している。
もちろんサラも。
「何これ。……金貨か」
中を見てビックリ、ピカピカな金貨がたくさん入っていた。
何これ怖い。
「決闘でダルダさんが賭けていたモノだ。まずは金貨二百枚。たしかに渡したぞ」
「ありがとうございます」
わざわざ届けに来てくれたのか。
「以前は決闘した者同士が直接渡していたのだが、遺恨が残る者がいてな。私なりに気を使ったんだ」
「すいません。ありがとうございます」
「うむ」
なんか嬉しそうだな。
「で、次が―」
「はい。この帝都で使える奴隷を購入する用紙よ。一人二体までの購入が出来るわ。三ヵ月以内の転売は捕まる可能性があるから気を付けてね。期限は特にないけど、紛失には気を付けてね。再発行は出来ないから」
「あ、はい」
用紙の入った封筒を渡された。
奴隷を買うのかと聞かれたら買うかどうかは流れ次第って感じかな?
……可愛い子が良いな~。
オッサンはヤダな。
女の子に囲まれたい。グフッ!
「で、次が―」
「はい。服を購入した時にこのカードを渡せば全ての支払いはダルダさんの方に行くわ。注意点としてこのカードが使える場所と使えない場所があるのよ。無いとは思うけど、洋服の転売である程度稼ぐとこのカードを没収されるから気を付けてね。詳しくはコレを見てね」
「は、はい」
カードとさっきと同じような封筒を渡された。
後で読むか。
「で、つ―」
「はい。コレが家の購入の権利書よ。代金はさっきと同じようにダルダさんのいくわ。コレは半年の期限があるから気を付けてね。購入できる家は中の紙に色々あるから選ぶと良いわ。家も半年以内で転売すると捕まる可能性があるから気を付けてね」
「あ、はい」
また俺に渡された。
ベットに上に置いておくか。
お金だけは手元に置いておくのは貧乏性だからかな?
なくならないとは分かっていても目を離すのが怖い。
宝くじが当たった時の当選くじを手放せないのと一緒かな。
「で―」
「はい。これで色々買い物が出来るカードよ。さっきの服と一緒で使えない場所があるけど、中に封筒に紙が入っていてお店の人に書いてもらえばお金が返却される仕組みよ。まぁコレがあれば何でも買えるわ」
また、封筒とカードを渡された。
たしか、コレだけかな?
「はい。コレが詫びの品よ」
「詫び?」
何やら紙を渡された。
なんだコレ?
「その紙を商会ギルドに持って行きなさい。物と交換してくれるわ」
「詫びの品って何?」
俺がシャルルに聞いた。
「うむ。詫びの品とは負けた側が負けた事を周りに言わないでくれという、言うなれば口止め料だな」
「あ、そういう事か」
で、なんでアンタが答えるんだよ。
シャルルに聞いたのに。
「何か質問はある?」
「俺は特にないかな?」
よく分かって無いってのが本音だけど。
「サラは?」
隣に座っているサラに話を振ると、サラはルアンと遊んでいた。
「はい?」
「あ、うん。何でもない。どうぞ、どうぞ」
「あ、はい」
遊びを中断させて申し訳なかった。
後で俺も参加させてもらおう。
「その他注意事項としては決闘は両者の尊厳と主張で行われ、結果は出た。これ以上引きずる事の無いようにな。後、ダルダ側から君達に接触は出来ないが、君達からダルダにあるのは問題はない」
俺たちからあいつに会うとか冗談だろ?
「渡す者は渡したわね。あ、これをサラに渡しといて」
「手紙?」
「アナタが読んだら、分かってるわね?」
「も、もちろんだとも!」
メイルから見える目が怖い。
「では、邪魔したな。帰ろうシャル」
「はい」
俺は二人を宿屋の前まで送り、部屋に戻った。
「お疲れ様です」
「いえいえ。俺も混ぜて~」
ひゃっほ~。
遊ぼう!
「その前に商業ギルドに行きましょう」
「……グスン。了解」
マジかよ。
俺は遊ばせてもらえないの?
「だ、大丈夫ですよ! 今日は装備や武器を買ったりしたら遊びましょう、ね?」
「うん」
まぁ、そこまで悲しんではいないのだがな。
さて、シャルルに預かった手紙を……。
「サラクにおてがみ~」
「ありがとうございます。ルアン」
「えへへ~」
あ、ベットに置いたままだったか。
えっと。
お金と奴隷の書類、服の書類、家の書類、便利カードと書類。
あ、後は引換券か。
全部あるな。
めんどいから【アイテム収納アプリ】に入れた。
その間、サラは手紙を読んでいた。
俺はルアンと遊んでいた。
最近のルアンとの遊びは俺が悪役でルアンが正義の味方で戦って俺が死ぬってヤツだ。
毎回俺は死んでいる。
何回か勝とうとしたが、その度にルアンにガチギレされた。
今では可愛い怒った顔を見たいが為、怒らせている気がする。
あまり怒らせると遊んでくれないから気を付けないと。
「なるほど」
「どうかした?」
「いえ……。女の子秘密です」
「ひみつ~」
疎外感が半端ない。
遠い目をしてしまうよ。
「では、商業ギルドに行きましょう」
「は~い」
「分かった」
朝ということで馬車の通りが多く、少し時間がかかってしまったが商業ギルドに到着した。
「らっしゃい。あぁ、お前らか。付いてきな」
いきなり裏に通された。
「なんでも決闘したんだって?」
「えぇまぁ……」
「まったく。若いってのは無謀というか、無茶というか」
ニヤニヤするな。
こっちはイライラする。
話の途中だったが、目的の場所に到着したようだ。
「ここだ」
そう言って開けた部屋には何もなかった。
コンビニくらいの大きさの何もない部屋だな。
「ここにどんどん入れてくれ。一杯になったら別の部屋もあるあからその時は言ってくれ」
そう言って戻ってしまった。
「見られたくないモノがあると分かっているのでしょう」
「俺のスマホの事が?」
「いえ、魔具は多種多様な形をしていますからどれが道具か分からないんですよ。今朝、シャルルが見せてくれたあの道具もあまり見せられ物です」
「あのコンパスのような物がね~」
確かに普通は方位確認の道具だと思うしね。
「じゃ~。置いて行くか。サラ、何個出すの? 百ぐらい?」
「あれ? 以前、全部で百ぐらいだと聞いたのですが……」
「詳細な数は百五十とちょっとだよ?」
「……」
あ、この硬直は『そう言えばそうだった』的なヤツだ。
「……全部出してしまいましょう」
「了解」
ルアン?
馬車の一定のリズムを聞いて眠くなって寝てしまった。
何で乗り物に乗ると眠くなるんだろうね。
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