感覚

 押忍!! あ、ガクです。おはようございます。俺とサラの強さの距離はどうやって詰められるののでしょう?


 俺は【ステータス確認アプリ】を起動して、自分のステータスを確認する。


 う~ん。

 特にこれといって変化がない。


「何が……あ」


 称号の【親愛の女神の加護】の表記が変わっている。


~~称号~~


【親愛の女神の加護 lv 三】

 親愛者が増えるほどステータスが上昇。相思相愛であるほど上昇率が高いこの効果は相手にも適用される。


~~追加効果~~


lv 一、ステータスの同調。

lv 二、心の同調。

lv 三、共通化。


 加護にレベルが追加されて現在が三。

 レベルによって追加効果が付与されるのか。


 それぞれの内容はっと。


ステータスの同調。

・相思相愛である者同士にステータスの倍率上昇が加えられる。


心の同調。

・相思相愛である者同士に心的繋がりを得る。


共通化。

・相思相愛である者同士によって経験や記憶が共通される。


 ……神ちゃん。

 君は結構スゴイ神様だったんだね。


「ガクさん? どうでしたか?」

「ん~。どうやら親愛の女神の加護が強くなったからのようだ」


俺が疑問に思ってたのもついでに解決したしね。


「どのよな感じに強くなったんですか?」

「加護にレベルがついて現在が三レベル。レベルによって効果が追加される感じ」

「スゴイですね。ガクさん!」

「あ、これはサラにも適応されるから」

「はい!?」

「サラ! 運転! 前見て!!」


 馬車が揺れまくる。

 人とか轢いちゃうから!


 ルアンは全くお構いなく寝ている。

 随分と慣れてきてるね。


「ガクさん! そういう大事なことはさらっと言わないで下さい! 驚きます~」


 半泣きだ。

 まさかここまで驚くとは思わなかった。


「ごめん! サラも関係してる加護だから分かってると思ってた」

「……そう、ですね」


 忘れてたのか。

 まぁそうなるよな。


 使ったりしてれば忘れないけど、今まで加護とかあまり意識してなかったし。


「えっと。追加されたのは『ステータスの同調』『心の同調』『共通化』だね。内容は……」


 説明を一通り終える。


「こんな感じだね」

「よく分からなかったです」


 サラには分かりにくいか。


 ゲームとかやっていれば大体こんな感じがな~っていう予想とか立てられるけど、知らないとそうなっちゃうよね。


「最近、俺とサラって目で会話する事ってあるじゃん?」

「そうですね」

「あれって『心の同調』による効果もあったのかも」

「あ! そうですね!」


 でも、この加護の効果って誰かがいて本来の力を発揮するタイプ。

 しかも、お互いが両想いじゃないと相手に称号が付与されない。


 前提が両想いの称号か。

 中々に厳しいな。


 例えば、何かしらの攻撃力や付与の力をくれる称号は持っていたら効果があるって事だ。


 だが、この称号は両想いの相手がいないと効果がない。


 神ちゃんらしいスキルだな。


「加護の説明にあるステータスの上昇ってlv一の『ステータスの同調』だよね」

「でしょうね」


 という事は。


「サラが高レベルになりって経験を積んだ事が俺にも分かるようになった。と、考えると、俺がいきなり感覚が鋭利になったのはlv三の『共通化』かな?」

「う~ん。前にガクさんがおっしゃっていた経験値上昇? でしたっけ? あれと似てますけど、違うんですか?」


 あぁ、転生者の称号にある<成長速度上昇>の事を言ってるのかな?


 経験値は琥珀の指輪の効果だ。


「成長速度上昇のことかな?」

「そうです!」

「同じ事も含まれるね。けど、『共通化』の方が範囲が広いかな?」

「と、言うと?」

「成長速度上昇は何かのスキルや技術を上昇させるけど、共通化はお互いに別々の事をやっていたとしてもお互いにその経験とかが行くからこっちの方が効果としては凄い」


 ただ、説明文が短いから解釈の幅が大きく出来てしまう。


「う~ん?」

「ただ、効果としての高さが低そうだから今はあまり関係ないかな?」

「ならどうしてガクさんに効果が表れたのでしょう?」

「そんなの簡単だよ。俺とサラの強さの差が大きすぎるんだよ」


 言っていて心が痛い。


「なるほど。では私の目の能力に変化しているのもそれが原因なのですね」

「サラ!? 目に何かあったのか!?」


 ルアンは俺の膝から落ちて縛ってある樽に転がって当たった。

 だが、寝ている。


 疲れているんだな。


「落ち着いてください! 異常ではないので!」

「大丈夫? 本当に? 問題ない?」

「大丈夫です!」

「そっか……。良かった」

「すいません。ご心配おかけしました」

「俺こそごめん。はやとちりした」


 ルアンを拾って膝に置く。

 どうやら背中から樽に当たったようだ。


 結び目がクッションになってルアンにケガはないようだ。

 よかった。


「サラ。目の能力が変化ってどんな感じに?」

「なんと言えば良いのか。……ガクさん。私に二回ほど同じ言葉を言ってもらっていいですか?」

「いいよ。……好き。……好き。これで大丈夫?

「は、はい。私も好きです」

「あ、ありがとう」


 恥ずかしい。


「これで何が分かるの?」

「えっと。一回目はガクさんは愛情が八割。照れが一割。無が一割です。二回目は愛情が六割、照れが三割、無が一割です」

「ん?」


 どういう事?


「えっと。今まで私は嘘か本当のこと以外は分かりませんでした」

「うん」

「ですが、今では嘘以外にもその人の発した言葉の感情も分かります」

「マジで!? え、どんなふうに見えるの?」


 俺がどのくらいサラが好きかが伝わるって事か!


「色で分かります。青や赤、白や黒。様々です」

「へ~。共感覚ってヤツかな?」

「共感覚ですか?」

「うん。一つの感覚で他の感覚も使う事が出来る能力の事だよ。あ、スキルだからそんな感じじゃないか」


 風鈴の音を聞いて涼しく感じる事はあるだろうか。

 簡単にざっくりと言えばこれが共感覚だ。


 何か1つで複数の刺激を得る事が出来るものだ。

 風鈴は音で体感を変化させる。


 音と涼しさを得る。


 サラの場合は声で色が分かり、色で感情が分かる。

 共感覚だ。


「サラの目が便利になったって事だね」

「そうですね。ただ、便利になったと言われると私の覚悟が……」

「あ、ごめん。怒らせちゃったかな?」

「いえ、これを言ったらガクさんが何というか不安だったので……」


 改めて考えてみよう。


 俺がいう言葉の感情が伝わる。

 常にエロイ事を考えている事がバレるって事か?


「……エロい事を考えてるけど、嫌いにならないで……」

「フフフ。知ってますよ」


 バレていたか!


「そうか。俺の感情がよりサラに伝わるのか」

「そうです。……ガクさんが無意識に思ってる事もです」

「……便利だね?」

「やはり、そこに繋がるんですね」


 あ、無意識にエロイ事を考えてる事もあるよな。


「俺の無意識ってどんなのあるの?」

「様々ですよ? お腹が減ってる時は食欲だったり、眠い時は眠気でしたり」

「興奮してる時はエロい事を思ってるんだね?」

「そうです」


 あ、俺が恥ずかしがって欲しいって思ったから感情を抑えたな~。


「サラはエロい。サラはエロい。サラはエロい。サラはエロい。サラはエロい。サラはエロい。サラはエロい。サラはエロい。サラはエロい。サラはエロい」

「やめてくださ~い! 恥ずかしいですぅ~!」

「サラ、超絶可愛い!!」

「い~や~!!」


 可愛く悶絶している。

 どんな感情が含まれていたのかは分からない。


「楽しんですね~。ガクさん」

「うん。おもしろい」


 俺の感情はおそらくどれもサラを傷つけるモノじゃないはずだ。

 だが、周りは違うのだろう。


 より繊細に分かるってのは辛い事も多いはずだ。

 俺が支えないと……。


「お気遣いありがとうございます。ガクさん」

「なるほど。何もかも隠せないね」

「それでも動じないのはガクさんだけですけどね」

「そうかな?」

「そうですよ。あとルアンだけですね」

「うちの家族は正直者だからな」

「フフフ。そうですね」


 えっと。


「サラ? ギルド、まだ?」

「ガクさん。太陽って何で出来ているんですか?」

「道-」

「ガクさん。ルアンは大丈夫ですか?」


 ……耳まで赤いな。

 そうか。迷子かな?


 久々に〈地図スキル〉を使うかな?


「サラ。帰る時は言ってね」

「……はい」


 俺の感情がすべてサラに筒抜けだとしても俺のサラに対する感情は変わらない。


 すべては……エロの為に!

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