異常

 押忍!!男の中の漢。名前は学。三十六歳。レベルアップをこれほどまでにメンドイと思った者はいたでしょうか。本来、嬉しいはずなんですがね(笑)


「後の二つは【ステータス確認アプリ】、【取得可能スキル一覧アプリ】があります」

「どっちも良く分からんが……。サラク。お茶を頼む」

「はい。只今お持ちします。ガクさんはどういたしますか?」

「俺もお願いします」

「分かりました」


 サラの笑顔に癒される~。


「その【ステータス確認アプリ】ってのはなんだ?」

「アチィ。…………ぇッと。自分の強さが数字化された物が見れます。あと【取得可能スキル一覧アプリ】で取得したスキルを装備したり変えたりできします」

「熱いので気を付けてください!」

「ありがとう」

「ガク。…………スキルを変えるってのは何だ?任意で変更できるのか?」

「できますよ?」

「……。ガクさん。それはもはや異常ですよ?」

「……。チラ」

「俺を見るな。スキルを取得するのはさほど難しくはない。だが、一度覚えたスキルは消えない。そして人が覚えられるスキル数の上限は決まっている」

「なるほど……」

「まぁ。……見てみろ」


 俺は【ステータス確認アプリ】を起動。中身を確認する。


 ……なんというか。レベルアップしたのは間違いないな。


「どうだ?」

「……。スキルを装備できる欄が一つ増えました。後、パーティ編成が可能になりました。……地味かな?」

「……。お前はバカか?さっき言っただろう。人が覚えられるスキルには限界がある。それが増えた。十分異常な事だぞ」

「なるほど。……これで五つのスキルが付けられる。どれ付けようかな~?」

「……。お前はスキルを5つも覚えられるのか?」

「……ガクさん」

「普通の奴は二つが限界だぞ?稀に三つ覚えられる奴はいるが」

「スミスさんは?」

「俺か?俺は一つだ」

「え!!」

「何でサラが驚くの?」

「スミスさんの強さは人外です。それを一つのスキルで……」

「サラク。逆だ。一つしか覚えられなかったことで一つを高めることが出来た」


 一つっていうと。神様が言っていた虹色抜刀術の事かな?アレってスキルなのかな?


「虹色抜刀術でしたっけ?」

「そうだ。最速と最短と変化を取り入れた剣術だ」

「…………カッコイイ」

「フッフッフッフ。お前は見えなかっただろう?」

「全く見えませんでした」

「だろうな」


 スキルを一つしか覚えなくても強くなれる。確かにそうだよな。たくさん覚えたからって必ずしも強くなれるわけじゃないし、器用貧乏になるだけ。突出した物を持った方が強い場合もある。


「パーティ編成?ってのはどうなんだ?」

「……。あ、これは俺からパーティーを組む人を指定するらしいですね」

「私とサラクを指定できるか?」

「やってみます」


 パーティ編成。周辺の人間を指定。おぉ。サラとスミスさんの名前がある。


 サラとスミスさんの名前をタップ。決定。……これで終了かな?


「何か起こりましたか?」

「何も起こらんな」

「私もです」

「あれ?……どうやるんだ?これ」


 ……。画面にパーティに入るか確認してくださいって書いてある。聞くのかよ!!


「スミスさん。サラ。パーティに入りますか?はい。と答えてください」

「「はい」」


 画面が変わった。


「え~と。認証を確認しました。パーティを編成しました。って書いてあります。何か変わりましたか?」

「……少しばかり体が軽くなったか?」

「私は体から力が溢れてきました」

「俺も……だ。…………。うっわ~」

「どうした?」

「……二人のスキルを付け替える事が出来るみたいです」

「「…………」」


 二人の目から光が消えた。


「少し休憩しますか?」

「もう少し続けよう」

「分かりました」


 スミスさんの設定画面を開く。


「今、スミスさんの画面を開きました。………<剣豪スキル(高)LV九十一><指導スキル(中)LV五十>?スミスさんの覚えてるスキルは二個ありますよ?」

「本当か?」

「はい」

「…………指導。…………フフフ。あの時か。なるほど合点がいった」

「スミスさん?」

「イヤ。かまわん。レベルってのか何だか分かるか?」

「……多分スキルの強さですね」

「そうか。限界がいくつか分かるか?」

「分かりませんね。多分九十一が限界ではないですね」


 こんな半端な数が限界じゃないだろう。さすがに。


「…………。滾るな」

「スミスさん?」

「すまん。他には何かあるか?」

「称号がありますね。称号は・剣技・剣術・剣士と・先生がありますね」

「称号。知らんな」

「称号は多分ですがスキルを上げていくと獲得できる物だと思いますよ?<剣豪スキル>で剣の称号。<指導スキル>で教える感じの称号。正確には分かりませんが」

「イヤ。多分そうなんだろうな」

「次はサラの画面を。…………。サラ」

「はい!!どうですか?」

「君は天才…………イヤ。チートだな」


 オイ。稀に三つだったな。何でサラも五つ覚えられるんだ!!


「チート?って何ですか?」

「ごめん。なんでもない」

「サラクがどうした」

「スキルを五つ覚えてまいす」

「「…………」」


 また、俺も含め目から光が消える。


「嘘ですよね?」

「本当だ」

「……嘘じゃない。…………五つ」

「サラクは天才だったか」


 サラの覚えているスキルは<看破の真眼><料理スキル><杖術スキル><魔道スキル><魔法スキル>の5つ。


「<看破の真眼><料理スキル(中)LV六十八><杖術スキル(中)LV五十三><魔道スキル(少)LV二十三><魔法スキル(高)LV五十(上限到達)>って書いてある」

「…………。スゴイな」

「ですね。私はこんなに力があったんですね」


 俺の何倍強いんだろうか。何十倍か何百倍かな?


 料理スキルは高いな。あの料理はスキル意外にも気持ちが入っているから美味しいのだ。そこは間違えてはいけないな!!


「さて、次に称号かな?」

「そうですね」

「称号は…………。・魔女っ娘・魔法少女・魔法使い。なんだコレ?」

「真面目にやってますか?」

「や、やってるよ?そう書いてあるんだ!!」

「嘘はついていませんね~?」

「つ、ついてなよ?」

「…………。続きをお願いします」

「後は…………」

「どうしましたか?」

「どうした。そんな怒った顔して」


 これは、流石に怒るぞ。何なんだ。この称号は!!


「…………称号・不憫な目を持った者」

「ガクさん。そんなに怒らないでください。私は大丈夫です」

「…………分かった。…………フゥーーー」


 落ち着こう。怒ってもしょうがない。


「<看破の真眼>はこの称号があるために使えるそうです」

「そう……ですか」


 レベルが存在しないのはスキルじゃなくて称号だからかな?


「<看破の真眼>を外せますか?」

「やってみる。…………。出来た」

「・・・・・・。ガクさん。ウソをついてください」

「…………俺はサラよりパッチちゃんの方が実は好きだったりする」

「……お前。それ本当じゃないだろうな?」

「イヤイヤイヤ。ウソですよ!!誰にもわかるウソですよ!!」

「分からない。……発動しない」


 サラは驚きを隠せないくらいに驚いている。


「どうだ?ウソも本当も分からない世界は」

「……怖いです。……あんなにいらないと思っていた物がなくなったらこんなに怖いなんて」

「それが普通だ。分かっていた物が分からなくなる。そうなったら誰しも怖いだろう」


 目が見えていた人が急に見えなくなる。聞こえていた音が急に聞こえなくなる。具体的な例を挙げるならこんな所かな?


 怖いなんてもんじゃないだろう。生活に支障が出るレベルだ。


「はい。……ガクさん。元に戻してください」

「分かった。……戻したよ」

「ありがとうごさいます。……ガクさん。さっき言ってたのはウソなんですよね?」

「もちろん」

「……この目を持っていてよかった。なんて思う日が来るなんて夢にも思わなかったです」

「人生なんてそんなもんだ。無くなって初めてわかる事ばかりだ」


 一瞬、俺って嘘ついてないよな?サラに嫌われたか?と思ってしまった。全身から嫌な汗が噴き出たよ。


「次は、【取得可能スキル一覧アプリ】に行きますか?」

「その前にお前のスキルを話せ。お前だけ話さないのはダメだろう」

「そうです!!」

「俺?俺のスキルは<鑑定スキル><地図スキル><防御力上昇スキル><素早さ上昇スキル>を付けてますよ?レベルはどれも高くないです」

「「………」」


 どうしたんだろうか。何かマズイ事言ったかな?


「…………スキルのランクってのがある」

「??」

「よく聞け。お前が覚えたスキルのランクは<地図スキル>以外はAだ」

「<地図スキル>は?」

「ランク外だな」


 俺はお前を見捨てないよ!!


「ランクAってのは良いんですよね?」

「もちろんだ。鍛えればの話だがな」


 まぁ、持って最強とかないだろう。この世界も現実なのだから。


「何覚えようかな~」

「次は何だったか?」

「【取得可能スキル一覧アプリ】ですね」

「見てみろ」

「はい。…………スキルの最初のレベルが一からじゃなくて五からスタートになりました」

「まぁ、今までに比べればそれほどではないな」

「そうですね」

「確かに。五レべルぐらいなら一時間もしないで上げられますしね」

「「………チラ?」」


 お前、それガチで言ってる?ねぇ~いい加減にしてくんない?って顔が言葉を発しているようだ。


「また、何か余計な事言いましたか?」

「スキルにレベルがある事はさっき知ったが、スキルを持ったばかりのヤツの成長速度は経験則で分かるが・・・・・・今のお前が剣のスキルを取得した場合・・・・・・」

「多分ですが、四十五分くらじゃないですか?スキルによりますけど」

「ガクさん、それはおかしいですよ?」

「マジで?!」

「例だが、剣を握った事の無い素人がレベル一なのだろうが一端に剣を振るまでに数週間程度はかかる。レベルは分からんがな。だが、お前はこれよりも大分早い。これがどれほどおかしいのか分かるな?」

「分かりマスタ」

「なぜそんなに早いのでしょうか?」

「…………あ!!称号に転生者があったんだった!!」

「何だそれは」

「成長速度上昇!!」

「「…………」」


 かわいそうになって来た。ごめんね。二人とも!!


「じょ、上昇し過ぎだね」

「ガク。…………お前はおかしな奴だな」

「…………そういえば選択報酬がありましたよね?」

「あ、そうだった」

「何だったか?」

「えっと。【ガチャガチャアプリ】、<魔法スキル>、・ランダム称号ですね」

「<魔法スキル>は人を選ぶぞ」

「そうなんですか?」

「はい。スキルの中でも向き不向きが大きいので取得できても使いこなせない人が多いですね」

「うわぁ。この<魔法スキル>夢があっていいんだけどな~」

「別に外せるならそれでもいいんじゃないか?」

「【ガチャガチャアプリ】と・ランダム称号は何でしょう?」

「【ガチャガチャアプリ】はスマホの機能が増えるタイプで内容はくじを引いてその引いたくじで景品がもらえるってやつだね」


 参加賞でもらえるやつだったな。これ、欲しかったんだよな~。ガチャ運全くなかったけどね。


「そして・ランダム称号は何かしらの称号が付くって事ですね」

「ガチャ?の景品は何なんだ?」

「ん~~。分かんないんですよね~。多分ですが武器や道具、お金や素材。この世界にある物が景品になると思いますよ?」

「迷うな」

「迷いますね」

「迷うよね~」

「「「ズズ~~」」」


 どうしよう。決まんない!!

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