第198話 吾輩『スマホ』を手に入れる

吾輩は目を覚ました。こうもりが話しかけてくる。

「旦那、お目覚めですか?」

「今何時?」

「19時ですけど」

「そろそろだな」


ピンポーン。


吾輩が扉を開けるとそこには屈強な兵士がいた。

佐川強便という、やくざをも撃退する兵士が配達する運送会社。

モリモリマッチョ。

吾輩がCQCを使えばイチコロだが、それは置いておこう。


「それではここにサインを」

「ハイハ~イ」

「では失礼しまっす」

「お疲れ様です♪」


吾輩は箱を抱えて部屋に戻った。


「ついに来たぞ!!セバスチャン!!」

「めずらしいっすね・・・何頼んだんですか?それよりお金はどうしたんですか?」

「これは完全0円配達。なんか、配達料金も送り主持ちみたいだ」

「えっ?」

「どうしても捨てたかったみたいだね」

「旦那、それ絶対危ないやつ!!爆弾とか入ってますよ!!」

「大丈夫だよ。人類にそんな悪い奴はいないよ」


吾輩は箱のガムテープをぺリぺり剥がす。

ちょこんと小さい機種が入っていた。

なんか、梱包用に紙もついている。文字は読めない。


「旦那、それお札ですやん!!」

「違うよ。きっとどっかの外国の文字だよ。おそらく、アラビアあたりかな」

「絶対、梵字とかそっちの類ですって!!」

「さて、起動するか・・・。紙は破いて捨てるか」

「やめてーーーーーーーー!!」

「おらっ」


吾輩は張り付いてる紙を破り捨て電源を長押しする。

画面が砂嵐のようになっている。

なんだろう・・・。


「故障かな・・・」

「旦那・・・なんか聞こえますぜ・・・女の笑い声が」

「うん・・・?」

「きっと来るって・・・なんか歌も聞こえますぜ」

「着メロかな?」

「旦那、画面!!画面!!」

「うん?」


吾輩が目をやると黒い線が飛び出している。

まるで髪の毛みたいだ・・・。


それは時間が経つごとに増えていく、そして何か白い着物をきた、貞子っぽいものが飛び出してくる。なんだろう・・・?


「旦那、呪いのスマホや――――――――――!!」

「3Dだろう、きっと。ちょっとウザいな・・・」


なんかうめき声もする?


「うぼぉおおおおお」

「押し込むか・・・」


吾輩は頭が飛び出してくるのがウザくて、思いっきり押し返した。

携帯が不思議な声を出した。


「ちょ、ちょ!!」

「音もでるのか!?うざい、タッチパネルや!!」


力いっぱい飛び出してきた黒いボタンを押し込む。これでもかというぐらい力を込めた。くぅううううううう、この無駄な機能を消す方法は長押しだな、きっと!!

ネットでみたことある。スマホで困ったら大抵長押しって。


「おらぁああああああああああああああああああああああ!!」

「乱暴しないでぇえええ!!」

「うるせぇえええええええええええええええええ!!」

「旦那、パワープレイ―――――――――!!」


ボタンを無事に押し戻すと、画面が明るくなった。


「旦那、やっちまいましたね・・・」

「いや、機械ごときに人間が負けるわけがない」

「・・・」

「さて、これでスマホで執筆活動できるぞ♪」

「旦那・・・キャリアと契約してないじゃないっすか?」

「いやいや、wifiがあるでしょ」

「えっ?」

「いや、ぼっちだから電話もしない。あくまで画面確認用だから♪0円って素敵ね」

「・・・」

「電話する相手もいない・・・くぅ・・・」

「ですね」


吾輩は眠りにつく。


≪つづく?≫

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