第3話

 その部屋では6、7人が同じく過ごした。その部屋が5部屋程。正確な数は覚えていない。

 集団生活の棟に移った。

 その部屋は木とガラスの引き戸だったが、窓の格子は変わらない。

 食堂とよばれる普段使いの部屋で概ね過ごし、互いに監視しあい、不正行為とよばれる規則違反があれば管理者に密告し、発覚すれば施設から出る日が延期になる。

 平日は日課と呼ばれる、社会復帰後の職業訓練などが課され、夜になれば1人を囲んでみんなで「生活を正す」よう様々な指摘がなされる。

 その棟の出入り口は、やはり鉄扉でこちら側にノブはなく、鍵で開錠される。

 まだ寒い季節。その棟に移ったとはいえ、出るのは次の冬の入り口だろう。

 日々の日記、書き物を課されていたが、その中でよく私は思考の迷路に迷い込むことがあった。

 管理者の1人が、その傾向を指摘したことを気にはしていなかったが、のちの人生で、その気質故に度々ノブのない部屋の世話になるとは、その当時の私は知る由もない。

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