第3話





スインベルン・オンラインの最初の街[スタートルの街]は中々の規模を誇る。と言ってもまだこの街と次の村、フィールド、フィールドダンジョン、そしてインスタンスダンジョンまでしか解放されていない。

現在のレベルキャップは30。

現在は1アカウント1キャラ、1人1キャラクターしか持てない仕様になっている。今後この部分の変更はあるかも知れないが今のところ話にも出ていない。


スタートルの街にあるのは本の露店、鍛冶屋、雑貨屋、宿屋、レストラン、教会。


本露店は基本的なシステムを記入した本の貸し出しをしている。


鍛冶屋は武器、防具の販売と生産、メンテナンス&強化。不要な武具をNPCに売る場合は鍛冶屋NPCに売ると多少だが高く買い取ってもらえる。


雑貨屋は文字通り。ポーションなどの消耗品を売るNPCショップで、不要なポーション類は雑貨屋へ売ると多少高く買い取ってもらえる。


宿屋はHP、MP、デバフ、プレイヤーのステータスを全回復させて状態異常を消してくれる効果がある。と言っても今現在は安置ーー 街へ入ればデバフは消えるのでHP、MPを素早く回復させるために宿泊する。1人1泊80vで部屋を借りベッドで横になると数秒でHP、MPは全回復する。これで宿泊は終了するが、ログアウトせずでもどこかで休みたいプレイヤーは宿屋に行けばいい。宿屋の部屋は部屋へ入るーー マップ移動で部屋へ移動するのでほぼ無限にある。パーティを組んでその宿屋へ行き〈パーティ部屋へ〉を選べばパーティメンバー同じ部屋に入れる。金額はパーティでも1人1泊80v必要になる。パーティ部屋へ宿泊すれば自動的にパーティ部屋へ案内されるのでシステム的な窮屈感はない。メンタル的窮屈感はプレイヤーそれぞれ。


レストランも文字通り。食事をとる場所。VRのオンラインゲームにはほぼこの食事機能がある。空腹感が産まれれば妙な感覚...落ち着かない気持ちになってしまう。雑貨屋で食品アイテムを買うもよし、ドロップした食材を調理するもよし、レストランで料理を注文するもよし。高ランクの料理にはバフ効果があり、それを利用する事で経験値やドロップ率、LUKを上昇させる事が出来る。今言える注意点は買い込んだ食品やドロップした食材はフォンポーチでも倉庫でも耐久値が減るという点だ。腐ったモノを食べればデバフの対象なので注意。


倉庫は街や村の広場、宿屋とレストランに基本的設置されていて、大きな木箱から伸びるコードプラグをフォンへプラグインすれば倉庫に繋がる。


最後に教会。

これは街だけじゃなくフィールドにもある。軽い症状のPKを行ってしまったプレイヤーは教会で面倒なクエストをこなせば救われる。あくまでも軽い症状時点ならば、だ。

レッドオーラがムンムン溢れるプレイヤーは残念ながら神でも救えない。このシステムについてはまたその時にでも。今教会で重要なシステムは “50万vを教会へ寄付しお祈りすればステータス、スキルをリセットしてもらえる” というケアシステムだ。50万vを貯めるのは正直大変だが、グズグズのステスキル振りのまま戦闘しロスト なんて事になるくらいなら50万vを寄付して理想のビルドを組もう。

現時点ではインスタンスダンジョンにさえ入らなければロストーー 戦闘で負ける危険はない。



最初も今も言ったこのインスタンスダンジョン。これがこのゲーム、スインベルン・オンラインの一番のポイントでプレイヤー達はこのインダンダンジョンーー インダンを攻略する事を目指すだろう。

ストーリークエストが存在しないスインベルン・オンラインでは現在キャップにあったインスタンスダンジョンが存在する。

このダンジョンを攻略しなければ次の街へ進む事が出来ない。


ストーリークエストは存在しないがグランドクエストは存在する。と言っても受注するタイプではない。プレイヤー達がさらに強さを求めるならば、現時点で実装済みのインスタンスダンジョンを完全攻略する事で全プレイヤーが次へ進む事が可能になる。ここで初めて大型アップデートが入り、キャップ解放、武具追加、新マップ新ダンジョンが実装される。キャップが解放されればスキルもツリーの先も派生する。


現在のレベルキャップは30。このキャップで実装されているインスタンスダンジョンは二ヶ所。インスタンスダンジョンをクリアすれば次の街への道が解放され、その街へプレイヤーが到着した瞬間、街にある教会と教会とが繋がり、街の教会たげに設置された大きな扉が解放される。ここからその街へ移動、ワープする事が可能になるが、レベルが低い状態ならば観光気分で街だけを見に行こう。


プレイスタイルは人それぞれだが、自分強化、攻略を目指すプレイヤーがやる事はシンプルだ。


①レベルを上げフィールドダンジョンのフィールドボスを倒す。


②フィールドボスを倒した瞬間に解放されるインスタンスダンジョンを攻略する


たったこれだけだ。勿論この過程には色々な準備が必要となる。フィールドボスはレベル1でも挑む事が可能。しかしインスタンスダンジョンは決められたレベル以下のプレイヤーは入る事が出来ない。

レベル=インダンへ入る免許、とでも思っておけばいい。


とりあえず、わたしは街でクエストを受注しレインのレベルを最低15まで上げる事で最初の〈インスタンスダンジョンLv15〉に入る事が許される。


とにかくレベリングして装備を新調しなくては始まらない。


運営プレイヤーなんだから装備くらい欲しいものだ。と最初は思ったがそれでは面白味が7割減してしまう。

装備を集めて、装備を強化して、強くなっていく事がMMOの楽しい部分でもあり、楽しくない部分でもある。


レベルをあげまくってステータスとスキルを完璧にしても、装備品が粗末だとインスタンスダンジョンでは苦痛を舐める事になる。


レベル15でインダンLv15へ行く場合はアイテム、装備をしっかり揃えれば充分に攻略。勿論インダンのボスモンスターはソロでは無謀すぎるが。


わたしは雑貨屋へプリンの素材を売却し、クエストを受注する前に一度ログアウトする事にした。

3月15日、土曜20時。

この時間からちらほらとMMOに慣れていて、効率のいい育成、攻略方法を見つけ出すプレイヤーが増える。


このプレイヤー達の存在は攻略には必要不可欠。ゲーム運営するにあたってハイレベルプレイヤーが存在すればするほど、運営も更新への意欲も上がる。と同時に底意地、性格の悪さも出てくる。攻略してもらいたいが、簡単に攻略させるつもりはない。と。


ゲームが更新されればされるほど、そのゲームは成長し、成長すれば宣伝出来る材料も増え、覗いてみようと思う新規プレイヤーも増える。

ネットでプレイ動画やプレイブログ、攻略情報をアップしているプレイヤーがいれば、更に新規プレイヤーも増える。



インスタンスダンジョンが攻略されれば運営チームは今以上に忙しくなる。


そうなれば...楽しくなりそうだ!


運営チームも楽じゃない!







フォンを操作し〈ログアウト〉をタップすると〈ログアウトしますか? [YES] [NO] 〉と画面に文字が表示される。

ログアウトしない場合は[NO]、する場合は[YES] ボタンを叩けばいい。

どこでもログアウト可能だが、ログアウト後どこでもすぐキャラクターアバターが消えるわけではないのが厄介な点。安置ーー 街やフィールド、ダンジョンの安全地帯ならばログアウト後すぐにキャラクターアバターは消えるが、そうではない場所では約1分間、キャラクターアバターがその場に残る。

この時このキャラクターアバターは攻撃対象でもあり、スナッチーー 盗みなどの対象でもあるので注意。わたしは街のベンチでログアウトする。

ここでログアウトしてもログイン時、ログインポイントと呼ばれるプレイヤーがポップする場所が各マップに設置されているので、突然目の前にプレイヤーがポップする事はない。わたしは〈ログアウトしますか? [YES] [NO] 〉の表示を見て[YES]をタップ、アバターが青白い光に包まれるのを確認し、別に必要ないが両目を閉じ、仮想世界から現実世界へと戻る。


「...、~っ、ふぅ」


curiosity社のスインベルン・オンライン開発運営チームのプレイリングルームで目を覚ますわたし、れいんは一度伸びをしプレイリングソファーから立ち上がる。自宅のベッドなどでログインしても問題ないが、さすがゲーム会社。身体にストレスを与えない様に作られた専用のソファーはふわふわで気持ちいい。

ウォーターサーバーから冷たい水をコップへ注ぎ入れ、仕事終わりーー でもないが一杯水を飲んだタイミングでスピーカーから声が流れる。


『れいんお疲れさまー、何も問題なかった?』


NPCから任意で受注するクエストーー ノーマルクエスト関係を調整管理しているチームの優しい紳士、青葉さんが毎回こうやってログアウト後に声をかけてくれる。


「おつありさまー。うん、今の全然問題なかった!」


『うん、相変わらずのタメ口!それじゃ一旦戻ってきてね』


運営チームに所属する事になった日、わたしは言われた。敬語を使うのはcuriosityのボスに対してだけでいい、同チーム内なら砕いて気を使わず意見を言い合おう。良くするための口論なら大歓迎。と。

最初は戸惑いしかなかったものの、今となってはこの環境が凄く居心地がいい。癖の様に敬語を使う人や、特定の人に対して敬語を使う人もいるが、それはそれで別に問題ない。

わたしは言われた通り一度プレイリングルームを出て、管理ルーム...と言えば格好いい感じだがスインベルン・オンラインのシステムリソース状況を確認したりする大きな部屋へ向かった。この部屋で何度も何十回も意見を言い合い、試しては失敗してを繰り返し、スインベルン・オンラインが今の形を持ち正式にサービスが開始された。レインではなく、れいんにとってのスタートルの街はこの部屋だ。


ドアの横に設置されている機械に手を乗せると認証が始まり、ロックが解放されドアは自動で開く。昔見た映画に登場する宇宙人の秘密基地みたいでワクワクする。と思ったのは最初だけで、今となってはこれがわたしの日常だ。


ドアが開かれるとそこには運営チームのお偉いさん達ーー ゲームで言えばフィールドボスやレアモンスター、ギルドマスターやサブマスターと言ったところか。がわたしを待っていた。


ついさっきわたしへ声をかけてくれた、青葉さん、GMアバターでログインする前に話していた滝口さんと愛ちゃん、他にもイラストレーターやBGM、SEといった音響部隊やNPC会話などのゲーム内文を作る部隊の隊長、新マップの地形やモンスター設置部分を担当する隊長などなど、各チームのお偉いさん達が集まったこの集団がスインベルン・オンラインのメイン運営チーム。幹部クラスと言うわけだ。


「お疲れ、早速だけどれいん。出番だよ」


わたし達のボスであるスインベルン・オンライン代表の赤城さんがそう言い、巨大モニターに散りばめられた数字や英語のデータから1つ選び拡大した。スタートル平原のモンスターポップなどを英数字データで表す...難しいデータ表を見せられるも、さっぱりわからない。するとマップデータを拡大し、マップの端を更に拡大する。


「スタートル平原に橋があるよね?その近くに巨大な岩がある。そこでモンスターをトレインして隠れているプレイヤーがいる」


スタートル平原には川があり、岩があり、放置された様に伸びきった茂みもあり、色々と楽しめる様に様々な自然的オブジェやシーンが存在する。その岩オブジェ付近でモンスターをトレインーー 複数体のモンスターを1人のプレイヤーがターゲットし、連れ回す行為、をしているプレイヤーがいると。

スタートル平原にはアクティブーー モンスター側からプレイヤーをターゲットしてくる好戦的AIを持つモンスターは存在しない。意識的にプレイヤーがターゲティングし、ターゲットを自分へ固定しなければトレインは起こらない。


「リポップしない状況に困ってるプレイヤーも存在し、何よりこのトレインプレイヤーがマップ移動や突然ログアウトした時、トレインされたモンスターは持ち場に戻る。その時AIが状況を処理しつつ移動するため、アクティブ状態で移動する時間が、数秒だが発生してしまう」


...雑魚モンスターのプリンだから問題ないんじゃ?と思ったが、問題はそこじゃない。

これを認める、または雑魚モンスターのマップだからと見逃せば、アリなんだ。と思い別のマップで行うプレイヤーも現れる。そこから思考回路がMPKーー モンスターを使ったプレイヤーキル へ派生してしまえば最悪キルされたプレイヤーはロストし、キルしたプレイヤーは平気な顔して街へ戻る。


想定していた問題で、MPKも立派ではないがゲームシステムが許す、許してしまうルールの1つ。しかし正式サービス初日に堂々とトレインする暇人...ではなくプレイヤーが現れるとは正直驚いた。

ここで、トレインはマナー違反だ!と起こるプレイヤーが現れればいいが、そういったプレイヤーはスタートル平原の先へサクサク進みレベリングや攻略に励んでいる。


と、言う事はだ。


「わたしがインしてトレインプレイヤーを説教してくれ。と?」


こういう事はわたしの仕事でもあるが、こういうシステム的ルールではなくマナー的ルールはプレイヤー達が作り上げるもの。運営がシステムだけではなくマナーやプレイヤールールまで作るのは違う。


「それがキミの仕事だろう?でも、やり方はキミに任せるよ。キミが運営チームのプレイヤーリーダーだからね。れいん」


さすが代表。話が早い。

こんな時のために...、わたしは滝口さんを見てニッコリ笑い、言った。


「タッキーのイケメイジ借りるね」


「え!?れいんちゃん俺のイケメン兄さんで暴れる気!?」


タッキーこと滝口さんのキャラクターは某人気RPGゲームに登場しても違和感がないほど整った顔のイケメンアバターで、魔法を使う派手な戦闘スタイルを持つキャラクター。


「うん、いいじゃん。どうせ管理者権限とか使ってレベルを上げて装備もそれなりなの揃えたんでしょ?」


運営プレイヤーとしてのわたしにもその権限を使う権利はあるが、それは面白くないので即断ったが、本来この権限はタッキーや愛ちゃんなどの、あまりプレイしない運営のためにある。さすがにカンストで最強装備までは許されないがトレインを掃除するくらいなら余裕で出来る。


タッキーは、トホホ。とわざとらしく言い、キャラクターデータが入っているチップを投げ渡してくる。

片手でキャッチし軽くお礼を言ってわたしはプレイリングルームへ急いだ。


待ってた待ってた、待ってた!こういう仕事をわたしは待ってた!意見言ったり案を出したりも面白いし、テストプレイも面白いけど、こういう本番を待ってた!


プレイヤー関のトラブルはそのプレイヤー達が解決する。運営様の出る幕はない。それに詐欺などが絡めば話は別だが、基本的プレイヤー関のトラブルは、プレイヤーがプレイヤーを独占しようとする独占欲などで発生する言わば人間問題。でもトレインなどの迷惑行為に対してまだプレイヤー達のマナーが決定していない初見は運営様の出番なのですよ!と言っても運営ですよ!とは言わず処理するんだけどね。


VR機から自分の、レインのデータチップを抜き取り、タッキーのキャラデータが入っているチップを差し込みログイン準備へ入る。


〈キャラクターデータ読み取り中...キャラクターデータ[フォル]を発見しました。ログインしますか?〉と文字が目の前に表示される。この時点で中身の身体は動かないので[YES]ボタンを指でタップしようと意識すればいい。わたしは迷わず[YES]をタップし、キャラクター[フォル]でスインベルン・オンラインへログインした。


着地した様な感覚が足から伝わり、立つ様に力を入れればログイン完了。スタートルの街にあるログインポイントで目覚める。


最初にフォンを取り出しステータスやらの確認をしようとした時、視界端から垂れるゴールドの髪に少し笑った。

金髪ロン毛のイケメンとはタッキーも中々だ。


レベル10の杖使い、ステータスは今の段階ではINT極振りか。スキルは...水属性の現時点では派手な魔法がある、よし。それにしても...、


「長身金髪ロン毛にブルーアイ、ホワイトローブに武器は杖ジャンルの本とは...どこの魔術師だよ」


おいおい、イケメンだけに止まらずイケボとは...プレイヤーボイスやフェイスパターンはキャラ作成時にランダムで決められる。

キャラクターメイクする前なら一度だけ別のアバターベースを受け取れて、どちらか1つを選択し、そのアバターベースを無数にあるキャラクターメイクステータスから自分であれこれ選びマイキャラクターを作成する。

ネタベースが出た場合は違うベースをもらえば普通のアバターベースが送られてくる。しかしこのイケメンでおまけにイケボのベースはヤバすぎる。キャラ作成のテストプレイをした時、管理者権限を活用して何百回とリセマラを繰り返して、やっとまぁまぁなアバターベースが出たレベル。確率は超ウルトラ級に低い。


あのおっさん...どこで管理者権限使ってんだよ。と思いつつイケメンイケボのフォル様でスタートル平原を目指した。


普通にプレイヤー達が格好いい、可愛いなどのアバターベースを狙って入手する場合は、キャラ作成→ベースを2つ確認→好ましくないから適当にキャラ作成→ロスト→キャラ作成、を白目になって繰り返す必要がある。


管理者権限でイケメンイケボを作ってみました!などと言って回ればPKされてもおかしくない。

そう思えるほどの確率とそう思えるほど、このフォル様はイケメンだ。


街を颯爽と歩くフォル様を見たプレイヤー達は二度見する...この視線くぎ付けは悪くない。などと心の中でウハウハしているとマップ移動してしまった。


本日三度目、正式サービスが開始されて二度目のスタートル平原。行き交うプレイヤーの中にはクエスト報酬で入手出来る武具を装備しているプレイヤーもちらほらと。


自分もレインでクエストしたい気持ちを何とか落ち着かせ、目指していたスタートル平原の岩オブジェ前に到着。フォンでマップを表示し、画面に表示されたマップをタップすればソリッドビジョンでマップが浮かび上がる。

青丸がプレイヤー、黄色丸はこのマップには設置されていないが、別マップで表示された場合はNPC、そして赤がモンスター。青丸1つに赤丸が複数集まっている状況を確認し、マップを閉じ、わたしは近くにいたプレイヤー達へ話しかける。


「キミ達プリン狩り?」


すると数名のプレイヤーは頷き「プリンがいない」と言った。わたしはイケボのボリュームを若干あげ「フォンのマップを開き、マップをタップすれば全体マップがホロ化、立体的に表示できる。青丸に群がる赤丸がプリンポップを止めてる原因だ」と言った。

見るからに高レベルプレイヤーのフォル様で、サービス初日の最初のマップだからこそ、みんな話を聞いてくれた。これが先のフィールドやダンジョンならば「そなんだ」や「知ってる」と言われて終わるだろう。


トレインしているプレイヤーの存在を知ったプレイヤー達は舌打ちし、武器をとった。

トレインしているならターゲットはトレインプレイヤーに向く。プリン探しをしていたプレイヤー達は現場へ向かい後ろからモンスターを叩き経験値を頂く作戦に素早へ素早くシフトする。


数名の正義プレイヤーはこの事実を街で話したり、他のプレイヤーへ愚痴ったりしてくれるだろう。こうしてトレインはマナー違反!と広まれば、当然だろ。と言うMMO経験者も現れるだろう。残念ながら水魔法を使う機会を失ったが、この流れが理想的だった。

どうしても魔法を使いたいわたしは補助魔法を詠唱し、トレイン狩りへ向かうプレイヤー達へバフかけ、街へ戻った。


イケメンキャラで遊びたくなった時はタッキーのフォル様をまた借りよう。でも言っちゃえばチートアバターだからボス戦や攻略には使わない様にしよう。




正式サービスが開始されてプレイヤー達のレベルはグングン上がっている中、わたしのキャラ レインはレベル5初期装備のまま燻っている。

今すぐパワーレベリングをしたい所だが、次々に入るプチトラブルの対応に追われ、自宅に帰りレインでログインできる状況になったのはこれからまた数時間後だった。




運営チームも楽じゃない。




でも、苦でもない!








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