~fd.ゼリアスの森 攻略
第2話
Massively-Multiplayer-Online-Role-Playing-Game《マッシブリー・マルチプレイヤー・オンライン・ロール・プレイング・ゲーム》、これを縮めてMMO-RPG、さらに縮めてMMOと呼ばれているゲームジャンルのひとつ。
大規模で多人数が同時参加してプレイするゲーム。
昔からあるゲームジャンルで2010年前後からその数は一挙に増えた。日本だけではなく海外でも人気高いゲームジャンルで、韓国製MMOは品質が高くMMO大国とまで呼ばれている時期があったとかなかったとか...RPG以外にも大規模多人数で大暴れするゲームも存在する。
2016年、VR技術を大手会社が形にし、進化を続けてた今2031年、PCやタブレット、家庭用ゲームハードのMMOの数にはまだ勝てないがVR-MMOも増え、悩み選ぶ楽しさも味わえるほど種類は増えた。
VR-MMO-ARPG、スインベルン・オンラインはジョブなし、レベルあり、熟練度あり、ステフリあり、スキルフリ、レベル制限あり、PvP、PKがアリの定番型MMOになっている。
。PvP《プレイヤー対プレイヤー》は腕試しや意見の違い時、または新スキル検証時などにお互いが了承、承諾した上で行われる試合的システム。HPが残り5%になった瞬間試合は終了する。6%の時点で強攻撃を与えて、ダメージが残りHPを超過していても5%になった瞬間、DP《ダメージポイント》は0になり終了、勝っても負けてもシステム的ペナルティは無い。
それに比べて、PK...《プレイヤーキル》は街や安全エリアーー 通称 安置以外ではプレイヤーがプレイヤーを攻撃する事が可能で、うっかり当たってしまった場合はダメージは発生しない。しかしターゲティングし、ターゲットに攻撃をヒットさせた場合はシステムがPK行為と判断する。
わたし個人はこのPKシステムを最後まで反対したが運営チームの、PK推奨のハードパッケージを好んでいたMMORPGプレイヤーとFPS中毒者が「VRでARPGならPKを導入すべき」と強く言い続け、βテスト後期にPKシステムが組み込まれた。PvPはαテスト中期に導入され、それなりに盛り上がった。しかしPKが導入されたのはβテストの後期も後期、あと7日でβテストが終わるというタイミングで導入された。わたしが通常のテストプレイヤーならば絶対にこう思うだろうーー 運営め、本サービスで蘇生アイテム課金させる気だな、と。
しかしスインベルン・オンラインには課金でプレイヤーを蘇生するどころかアイテム、スキルでプレイヤーを蘇生させるシステムが存在しない。
わたしが最後までPKを反対した理由は... “死んだプレイヤーはデスペナルティとして1/5の確率でキャラクターがロストする” というハード極まりないシステムがαテスト開始から導入されているからだ。
lst、ロスト。
戦闘で負けたキャラクターは1/5の確率で消滅、削除されてしまう。
相手が雑魚mobでもbossでもプレイヤーでも、HPが0になった瞬間デスペナルティの対象になる。課金していたアイテムやおしゃれ装備は課金アイテムボックスやおしゃれクローゼットに収納されるので消滅はないが、課金して育てたキャラ、課金してドロップした武具アイテムなどは容赦なく消される。
これは課金時、もういい加減うるさいわ!と思うほど言われる事で、このシステムに関しては事細かに、執拗に説明されている。
単純計算で5回死ねばキャラが消える。しかしそこにリアルラック、バッドラックが絡み、10回死んでもロストしないキャラプレイヤーや1回の敗北でロストするキャラプレイヤーも、最悪だが存在する。
ソロで行動する場合は多めにアイテムを持ち、自分のレベルと装備、ステータスに合った狩り場で狩りをしなければモンスター相手でもロストシステムが働くので本当に注意が必要になる。
優しい人だったのにPKだった。
と、ならない様にプレイヤーをターゲティングし攻撃したプレイヤーキャラは街に入れなくなり、アバターから赤い霧の様なオーラが溢れるエフェクトが常時発生する。が、このエフェクトはハイディング中停止してしまうのでSPK...《サイレント・プレイヤーキル》、ハイディングした状態でターゲティングし、死角から攻撃するPK手段は変わりなく使える。
ダンジョンから街までの帰り道なども油断できない仕様になってしまっているのだ。
スタートルの街にある広場へ先程ログインしたレベル1プレイヤー[レイン]こと、夕夏れいん はスインベルン・オンラインのシステムを復習し、自分のキャラをキャップ限界まで育成強化する事だけを考え始める。
悲しい事にα、βのキャラクターデータは運営様に没収され消滅。
αの街やマップ、βの街やマップも今はまだ実装されていない。モンスターはステータス調整され知った顔がちらほらとフィールドを徘徊している程度でα、βを経験したプレイヤーは今ある知識だけを頼りに新マップを駆け回る。
キャラクターを作成したばかりのわたし、レインのレベル1現在のステータスはこんな感じ。
HP300、MP100、ATK20、MATK10、DEF20、MEF10、SPD300。
ステータスのHPはプレイヤーのヒットポイント、MPはマジックポイントまたはマナポイントとも呼ばれるスキルを使うガソリン。
ATKは物理攻撃力でMATKは魔法攻撃力、DEFは物理防御力でMEFは魔法防御力、SPDはスピード。
キャラ作成後に武器を選ぶ事ができ、ジョブなしだが扱う武器でスキルやステフリが変わるため、初期武器は好きなモノを選ばさせてくれる。
9種類の武器ーー 片手剣、大剣、弓、ボウガン、ナックル、杖、槍、斧、大斧の中から好きなモノを選ぶとそれが初期武器となり、メリットとデメリットを軽く説明される。
わたしはα、βと片手剣でプレイしていたので使い慣れた片手剣を選択したが、ジョブなしシステムのいい点は途中で武器種類を自由に変更出来る点だ。ここで注意しなければならないのは変更する時に自分がなんのスキルを覚えているかだ。
剣系から斧は大体スキルを共有できる。しかし弓系から剣系に変更してもスキルは使えない。杖やナックル、槍スキルはほぼ全ての武器で使用可能(武器によってスキルの威力補正あり)、簡単に言えば、剣なのに弓矢を射てるわけがない、弓なのに剣術を使えるわけがない、と言う事だ。
片手剣から大剣に変更しても全てのスキルが使えるわけではない点も注意が必要になる。が、全部のスキルが使えなくなるわけではないので、好きにプレイするのもアリだ。
この辺りは運営の説明不足!の対象だろうけど...発見や情報交換も含めてMMOを楽しんでもらいたい。
「...さて、と。まずはレベリングかな」
広場でくつろいでいたわたしはゆっくり立ち上がり、ベルトポーチにあるボックスポーチーー と言っても薄く決められたアイテム1つしか収納出来ないポーチから、携帯端末を取り出す。
スインベルン・オンラインで何よりも重要になる売却、削除、破壊不能アイテムがこの[フォン]だ。数時間前GMキャラでこのスタートルの街にログインしたわたしが軽く説明したアイテムがこのフォン。
RPGで言うアイテムバック、アイテムポーチ、と言った所だ。所持している全てのアイテムや、いつでも使えるシステムは全てこのフォンの中に入っている。簡単に言えば携帯電話だ。
ステータス確認、装備変更、ステスキルフリ、お金、アイテム、課金、ログアウト...他にも色々とあるが、このフォンが全てに関係してくる。
わたしは取り出したフォンを指で撫で、アイテムポーチを開き、HP回復ポーションを5個取り出す。すると画面からソリッドビジョンで小瓶が5個浮き出て、それを掴めば実体化するーー 実体化と言ってもデジタルデータだが。
最初にプレイヤーへ配付モノは選択した武器、レザー防具、HP回復ポーション5個、お金1000v...1000ヴァンズ、そしてベルトポーチだ。武具とベルトポーチはキャラ作成後ゲームへログインした瞬間から装備されていて、ベルトポーチはジャンルベルトポーチなのでゲームプレイするにあたって一生必要なアイテムだ。
今わたしが装備しているポーチは[小人のポーチ]、ポーション類を最大5個まで収納可能で、他のアイテムは大きさによって収納可能。
フォンから取り出したHP回復ポーションを5個収納し、わたしはスタートルの街を走った。目指すは[スタートル平原]。正式サービスが開始される数十分前にわたしがいたマップで少しレベリングをする事に。
今日、3月15日は土曜日。正式サービスが始まって数時間経過した19時、プレイヤーの数は恐ろしく多い。
スタートルの街には小さな本露店が数ヵ所にあり、一定範囲ならば本を持ち出し可能で一時間10v。一冊返してまた一冊借りるスタイルで、システムの説明が書かれている本だ。
システムを少し理解してからプレイを始めようとするプレイヤーが本に噛み付く中、わたしは走り抜ける。
運営プレイヤー、プレイヤーを観察するプレイヤーとしての仕事はログイン中にトラブルやらが起こった時にすぐ、悟られぬ様に対応する事。
それ以外は他のプレイヤーと変わらずゲームライフを謳歌できる素敵な仕事!ってわけでもない。
ちゃんと実装するシステムのテストをテストサーバーで行ったり、新モンスターや新アイテムなどの意見を言ったりと、ゲーム運営チームのテストプレイヤーになったからと言って、ずっと好き勝手にプレイしていられるわけじゃない。タイミングにもよるが学生時代よりプレイ出来ない日々もある。
そんなのは当たり前の事で、今は何も起こっていないので...好き勝手にプレイさせてもらう!
スタートルの街からすぐ外はスタートル平原。マップの先が水面に描かれる波紋の様に揺れているのは、ここがマップ移動だよ。という意味だ。マップ移動の演出はなく、SEが響くとすぐスタートル平原。
早速視界に入った雑魚mobの[プリン]レベル1をターゲティングし、わたしは戦闘を始めた。レベル1で使える片手剣スキルは1つ。なんのスキルを使いたいか脳で想像するだけでシステムがそれを瞬時に読み取り発動してくれる。攻撃スキル中は怯んだりしない限り、ダメージを受けていてもスキルが続く。
単発斜め斬りスキル スラストをプリンへ撃ち込み、プリンは消滅する。雑魚mobなのでスキルで一確ーー 一撃確定撃破。
ステータスが上がり強くなれば苦戦していたモンスターも一確できる様になる。今のプリンはスキルを使えばプレイヤーレベル1の初期装備でも一確出来る仕様になっている。ここでロストなんて起こらない様に雑魚mobの中の雑魚に設定されているプリン。そのくせ経験値は通常のレベル1モンスターと同じ。最初はウマイモンスター。
3体倒せばレベルが1から2へアップする。SPDも遅くATKも低いプリンはこっちが数回攻撃する頃にやっと1回攻撃してくる。ダメージも1と優しい。遅くて弱いので回避や攻撃時のDPばらつきがどれ程なのか確認するのもいい。
レベル1アップすればステータスポイントは3、スキルポイントは1入る。これを自分の伸ばしたいステータスや覚えたいスキルに振ればいいのだが、スキルツリーはレベルで解放されその時そのスキルで必要スキルポイントが違う。レベル2の段階ではスキルツリーに成長はなくスキルポイントは温存するしかない。
スキルは反復で熟練度が上がり、熟練度が上がれば威力も上がり、消費MPが減る。
スキルを覚えるにはレベルを上げてツリーを解放し、スキルポイントでスキルを買う。
スキルを強くするには反復使用し熟練度を上げる。
と言った感じだ。
今はスキルよりステータスが先だ。ステータスポイントはレベルアップ毎に3与えられる。自分が使う武器と自分の戦闘スタイル、伸ばしたいステータスを考えて振るのが一番いい。
STR-Strength 筋力。
INT-Intelligence 知力。
VIT-Vitality 生命力。
AGI-Agility 敏捷性。
DEX-Dexterity 器用さ。
TEC-Technique 技術力。
LUK-luck 幸運。
CHA-Charisma 魅力。
の8種類がスインベルン・オンラインのステータス。
STRを上げればATKと微量だがHPが上がる。
INTを上げればMATKと微量だがMPが上がり。
VITを上げればDEFとMEFとHPがグン上がる。
AGIを上げればSPDが微量だがCRT率が上がる。
DEXを上げればCRT率と微量たがSPDが上がる。
TECを上げれば生産成功率が上がる。
LUKを上げればドロップ率が上がり、生産失敗率とロスト率が下がる。
CHAを上げれば魅力が上がる。
わたしはDEXに2、AGIに1振り、ステータスポイント3を使いきる。
安全安心なのはSTR寄りVIT振り、INT寄りDEXorLUK振りだ。
DEXには詠唱ーー 魔法攻撃する際の溜め時間を短くする効果もあり、LUKには詠唱中攻撃を受けても詠唱がキャンセルされにくくなる効果もある。
わたしはDEXでCRT率(Critical)を上げ、DEXとAGIでSPDを上げるビルドを選んだ。
STRにはCRT時のDP上昇効果もあるが、CRT率はモンスターの弱点部分を攻撃する際にその弱点範囲が広くなる、CRT判定部位が広くなる。STRはCRT時のダメージ量が増える。CRT判定範囲の拡大とSPDがほしいので、わたしはDEX+AGI。
振り終えた所でプリン狩りを再開する。
プレイヤーの数も増え始めた頃、レインのレベルは5まで上がり、一度街へ戻る事に。
レベル5になればクエストを受注する事ができる。
必須となるストーリークエストは無く、そのフィールドやマップにいるbossを一度でも倒せば次のマップへ自由に出入りでき、好きな時にそのbossと戦える様になる。レアモンスターまたはレアmobは時間湧きで倒さなくてもいいが近付けば何らかのアクションを起こすのでbossより厄介。
レアbossというのも存在するが、それは発見されてからまた。
運営チームのプレイヤーなのでわたしがガンガン進む事は絶対に許されない。
チート的知識とチート的ステータス、レア武具を獲得し、ゲームプレイしまくり!と思っていたがそうじゃないのが現実。
運営チームも楽じゃない。
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