第23話:主格と主体

 主語を書くときに、「~は」「~が」の形は多用されると思います。

 その中で私は、「~は」「~が」の使い分けをしています。

 なお、以下は本当に私の勝手な偏見によるマイルールです。

 興味がない方は、すっとばしてけっこうです。



 さて。

 「~が」という形は、よく「ガ格」と呼ばれます。

 これに対して「~は」は、「ハ格」……とは呼びません。

 「~が」は格助詞て、「~は」は副助詞だということもあります。

 この2つは性質が異なります。


 まず、「~が」は単純に「~」にある名詞に述語等をつなげるために付加される助詞で、「が」自体に意味はありません。


 しかし、「~は」の「は」には意味があります。


 何を言っているかわからないかもしれませんので、例を出してみます。



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 彼は、パンを食べた。(排他)

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 彼も、パンを食べた。(含有)

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 彼だけ、パンを食べた。(限定)

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 副助詞の場合、名詞に存在的意味を付加することがあります。

 上記の3つはどれも意味が微妙に違い、置き換えることはできません。



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 彼が、パンを食べた。(指示)

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 しかし、「~が」は先の3つの言葉に置き換えても大きく意味が変わることがありません(排他、含有、限定を否定することはない)。

 「~が」は、「彼」を「指示」している以外に意味がないからです。



 ところで、私は「視点に近い存在」を「主体」と自分で呼んでいます。

 視点は立脚点と注視点がありますが、場合によるので「視点」とさせていただきます。

 この主体を表すときに、私は「~は」を使うようにしています。

 理由は、「~は」にある排他的要素で、主体を明確に表すためです。



――――――――

 私はパンを食べた。

 彼女がミルクを出してくれた。

 私は感謝をつげてミルクを飲んだ。

 彼女が嬉しそうに微笑んだ。

――――――――


 上記はわかりやすく一人称で主体は「私」です。

 そのため、「私は」という形にしています。

 それに対し、「彼女」は客体なので「彼女が」にしています。

 これにより視点の主体が、「私」にあるように見えます。



――――――――

 私がパンを食べた。

 彼女はミルクを出してくれた。

 私が感謝をつげてミルクを飲んだ。

 彼女は嬉しそうに微笑んだ。

――――――――


 入れ替えてみるとわかりますが、立脚点は私ですが、注視点の主体が彼女に移動しているように感じられます。

 もちろん、これは基本で文によっては異なりますが、ベースはこの形です。


 これで意味が本当に変わっているのかというのは、1行目と2行目をつなげるとわかります。



――――――――

 私はパンを食べると、彼女がミルクを出してくれた。

――――――――

 私がパンを食べると、彼女はミルクを出してくれた。

――――――――


 1つ目の文は変ですが、2つ目の文は普通に意味が通じます。

 2つ目の文は、「私がパンを食べる」というのが彼女の客体になっており、より彼女が主体に近づいていることがわかります。


 この「~は」と「~が」は、使い分けることで視点のぶれを抑える効果があります。

 主体以外に「~は」を使わない文を書くだけで、自然に視点が定まるからです。

 気になる人は、試してみてください。

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