まい子は、お母さん子「ざんげの時間」

ワタリドリ

第1話「ざんげの時間」

ある時は、自分自身を見つめ心に浮かんだいたずらに笑みを浮かべ、またある時は空を行きかう雲たちに微笑みを浮かべる。好奇心が一杯のまい子は、さみしいとかひとりぼっちとゆう感情を知りません。大人の目と子供の目ではうつる世界違ってみえる。そのような想いからこの作品が生まれましたオムニバスです。

初めての文章で未熟過ぎて気恥しい文もありますが、皆さまでいろいろと想像して楽しんでいただければ幸いです。

この物語を、お子様に日々愛情を抱いて育まれているすべてのお母さま方に捧げます・・・。




シャンラララン シャンラララン

こころが勝手におどりだす シャンシャンルルル シャンルルル

まいこのお気に入りのラプソディー シャンシャンルルルル

ここはわたしだけの夢の世界

リズムに合わせてステップタンタン

うさぎのロランもクルクルまわるよ


オーロラのカーテンまぶしくはばたいて

窓のすきまから北風さんが顔をのぞかせこんにちは

まいこもやさしくほほえんでロランも両手をさしのべた


つられてにっこりの北風さんは

まいこのリズムにさそわれるように手をつなぎ

タンタンタンとステップを始める

みんなが楽しくおどるのに言葉なんてひつようないもの


まいこもロランも北風さんも他のおもちゃたちも加わって

みんなほがらかな笑みを浮かべている

みんながしあわせな気持ちになっている証拠だ


北風さんが困った笑顔を見せるように

うさぎのロランに聞きました。

「また今日もやっちゃったのかい?」

「やっちゃったみたいなの。」


ロランはクスッとくちに手をあてて笑い

そのまま他のみんなもまいこもさらに

はげしくステップをふみだした

夢のお部屋のカーニバルだ

シャリン シャリン シャリン

まいこがいちだんともりあげて

みんなをリズムにさそいこむ

まいこのとくいわざだ

とっても陽気な気分なのに

なみだがぽろぽろこぼれてくる


ロランの目にも 北風さんの目にも

おもちゃたちの目にも そら君の目にも

きれいなきれいななみだの虹が!


やがてみんなお酒にでもよったように

盛り上がり、こころにあかりがともるころ

柱どけいがボーン ボーン ボーン


3時を知らせるチャイムがなった


そのしゅんかんまいこのステップがぴたりと止まり

みんなもリズムをぴたりと止める


「あ~あ。おわっちゃった。」

北風さんがとても残念そうに

でもどことなく満足そうに言いました

「ああ、いい気持ち。こころがすっかり洗われたようだ。」

「ざんげの時間はおしまいだね。」

ロランうさぎも満足そう

「まいこはざんげの天才だね ああねむい。」


ロランが大きなあくびをひとつ

他のみんなもおもちゃ箱や自分たちのねどこに

戻ってゆきます。

「僕もまた通りかかったらよらせてもらうよ。」

北風さんは、にっこり笑うと窓のすきまから

ヒューッと音をたてて空の向こうへと

消えてゆきました。


まいこがぽつんとひとりしずまりかえる夢の部屋へ

耳をすますとキュッ キュッ キュッ

誰かが階段をのぼってくる足音が・・・。


キュッ キュッ キュッそして・・・。


やさしいリズムをきざんだその足音が

まいこの部屋の前でぴたりとやみ

ゆっくりとそのとびらは開かれた


窓の外からあふれてくる暖かいお昼の日差しが

まいこの身体をやさしく包み込んだ


「もういたずらしちゃだめだからね。」


そこには3時のおやつを持ってきたお母さんが

まいこのやさしい笑みにつられるように

にっこりと微笑んだ。


「だあ だあ~。」


ごきげんなまいこのほおには、

いくせんの洗い流された涙のしずくが

キラキラキラキラ輝いていた。


そして雨あがりのせいか窓の外の向こうには

いつのまにか七色の大きな虹が

まいこを見守っていた。

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まい子は、お母さん子「ざんげの時間」 ワタリドリ @iero348dp760

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