第5話バイカヘンコウサギョースル
朝、ハセさんに
「さくらえびさん、そろそろ私と交代で売価変更作業をしてもらうわよ」
文字で書くと売価の変更ってすぐわかりますけど、口で
バイカヘンコーサギョー
わかりません
何?
何かの修行なの?
「これねー、難しいのよ。私もするの嫌いなのよねぇ」
ベテランのハセさんも嫌がる作業です。
1週間の私・・大丈夫か?
売価変更作業表という作業表があって
それを見ながら商品に付けられている値札を変えていく作業。
例えば広告のヨーグルトが128円。普段は159円なので159円の値札がついてます。それをあらかじめ作っておいた128円の値札に付け替えます。
その時に必ず商品の値段が本当に128円になっているかチェッカーを使って
チェックします。チェッカーは商品についているジャンコード(バーコード)で読み取るリモコンサイズくらいの小さな機械。
このチェッカーくん、小ささゆえに、朝ばたばた作業してると、ふいっと行方不明になることも。そんな時は家でなくし物をしたときと同じで、逆戻りで探していきます。結構値段も高いものらしいので、いなくなると焦ります。
まあ、広告商品は基本値段が下がるものなので、元々の値札を外し忘れたとしてもレジで正しい広告の値段になるから大丈夫。ちなみに広告商品などの各店舗共通の売価変更商品は本部で値段操作をしてくれています。
逆バージョンで忘れたときが悲劇なのです。
昨日まで広告商品、今日は値段がアップしてます。だからアップした値札につけかえないといけません。それをうっかり忘れてしまい、レジで通って、売価が違うことにお客さんが気づいて、
「これ値段違うわよ!」
これになると始末書コースです。
レジを通る前ならぎりぎりセーフ。たまにレジさんが商品持って走ってきて
「これもしかして、値段違うかもよ」
助けてもらえることもあります。
この作業
時間をかけて、ていねいにゆっくり出来るなら、作業自体は作業表通りに値札を確認しながら換えていくだけなので難しくはありません。
何が大変って
開店前に何がなんでも終わらさないといけなかったから。
制限時間は1時間。品出しだってしなくてはいけません。
特に広告の立ち上がりの初日は変える値札も多くって、その量を見ただけで、
売価変更表の枚数の多さだけで
プチパニックです。
開店して変更作業が終わってないまま、お客さんがその商品を買ってレジに行かれて売価違いが出たら、お客さんにも迷惑かけるし、クレームを直接言われるレジさんにも迷惑をかけちゃうことになります。
そして始末書コースです。
始末書を書いて、マネージャーにハンコもらって、店長にも説明に行ってハンコもらって、レジさんに渡しに行くのです。もうめっちゃ謝ります。
二度と売価違いは出すものかと心の底から誓います。
何度もやっちゃいましたが・・
店長によっては長い時間お説教する方もいて、その人が店長の時は最悪でした。
かと思えば
「はいはい、次は気をつけてね」
なんてポンっとハンコ押して終わりの店長とか
この店長でお店の方針もころころ変わっていきます。
後々知ることになりますが
「うちの店はなんでも三日坊主だからね」
この言葉通りのこと
結構あったのです。
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