中学校時代ー2

 それでは、中学校での勉強の話しに移ります。この頃からはなんだか先生達が「新課程」だ「旧課程」だと騒ぎ始めていたような気はしますが、はっきりとは覚えていません。しかし恐らくは中学3年の頃には大きく変わっていたようで、学校の先生方も塾の先生方もよく混乱していらっしゃったのを覚えています。

しかし一つ大きな変化として覚えているのが通知表。この頃から「絶対評価・相対評価」という言葉が出てき始めました。まずはそれまでの「相対評価」とは、通知表は概ね5段階評価の場合が多いと思います。この5段階評価の1~5を貰える割合が初めから決められていました。つまりは万が一にも100人中100人とも100点の成績だったとしてもその中で5の人は何割、4の人は何割、3の人は何割、2の人は何割、1の人は何割と決まっているので全員5が貰えるわけではありませんでした。必ず1を貰う人も出てくる訳です。しかし絶対評価ではその割合が無くなり、全員が5を貰える可能性も出てきたわけです。もちろん僕みたいに元々成績のよくなかったような人には「ふーん」くらいで終わっていましたが、上位層で競り合っている人達には朗報のように思えました。しかし、これがまたややこしく、高校受験を受ける際、学校で「内申書」というものが出され、それが入試の点数と共に合否に大きく関わってきます。この「内申書」にはもちろん通知表の結果も載る訳で、その際にこの「内申書」では「絶対評価」ではなく「相対評価」のみが採用されるというのですから、普段貰う通知表の「絶対評価」は一体何なんだということになってしまっていたのです。つまり「絶対評価」で貰った通知表が4や5ばかりでもまだ安心はできなかったということです。確かこの評価の合計点数がその高校の合否ラインを決定づけるのではなかったかと思います。今ではこの「内申書」はどうなっているのかは分かりませんが、それで不満を覚える人、又はその親御さんからもよく問い合わせやクレームがあったようです。

 ここからは記憶はあいまいなのですが、ついに「新課程」が始まったのがこの頃だったような気がします。「新課程」が始まったことでこの頃まず言われたことが


「教科書や問題集は先輩やお兄ちゃんお姉ちゃんのものを貰っても変わっているから使わないでくれ。」


ということでした。それまでは結構先輩や兄弟のものを貰って使っている人もいましたが「新課程」ではそれが急激に変わってしまうためできないということでした。また、書店へ自分用に問題集を買いに行けば「新課程」と「旧課程」で別々に出ていてよくトラブルが起こっていました。勉強熱心な人は問題集などでどんどん先に勉強を自分で進めてしまう訳ですが、間違えて「旧課程」のものを使っていて一生懸命勉強したのにも関わらず「新課程」では削られてしまった範囲を一生懸命やってしまったというようなことや、問題集を進めていくと全く分からない個所にぶち当たり、よくよく見てみると「新課程」ではやらなくなってしまった範囲であったとうことが、生徒はもちろんですが先生たち自身にもあったようです。例えば自作のプリントなどで「旧課程」バージョンを使っていて授業中に


「ここはもうやらないからばってんしとってな。」


とか、とにかく混乱していました。もちろん塾でも。僕自身も何処を勉強して何処をしなくてもいいのか分からずに混乱していました。

 更に大きな問題では高校入試。まずは過去問題を解く時、まともにやると「新課程」では解けない問題も出てきます。つまりは過去の問題から出来る問題をピックアップするところから始めなければなりませんでした。また、塾などでは「新課程」から大きく傾向が変わるのではないかと予想をしており、大手の塾から個別の塾まで様々な傾向の予想をした問題を出して模試などを行っていました。もちろんそこで大穴を引けばその塾の人気はグッと上がるわけですから何処も必死だったように思えます。僕の通っていた塾は個人塾でしたが、やはり様々な予想を立てていろんな問題をやっていました。

 そう言えば、一旦話題を変えて塾の話、思い出しました。僕の通っていた塾はとにかく教え方の上手い先生が多く、勉強大嫌いな僕がぐいぐいと自分でも感じるほど成績を伸ばせたのはこの塾のお陰だと思っています。授業が楽しかったのはもちろん、先生が生徒一人一人に根気強く教えてくれたことや、休みの日にも塾を開けて自習をさせてくれたりしたことがよかったのだと思います。勉強に関しては中学校時代が一番燃えていました。また、仲のいい友達と通っていたことや、そこで出会った他校の友達も互いに刺激し合い、いい環境で勉強ができていました。

 話題を戻すと、そんな入試の時、公立入試は問題なかったように思えますが、私立入試では謝って旧課程の問題が出され、問題になったこともあったようです。しかし塾なんかではそのことも見越して対策をしていたようで、その学校の出題の傾向から過去問題や予想問題を解いていた人もいたようです。しかしそんな対策をせずに臨んだ生徒は撃沈していました。とにかくこの頃は「新課程」の影響で様々な混乱が続いていた気がします。

 それに伴ってか、授業の中に「総合学習」というものが導入され始めていました。こちらもどのようなことを行っていたのかは薄らとしか思い出せないのですが、国際交流の一環として英語で地元のパンフレットを作ったり、職場体験へ行ったり、福祉体験へ行ったりしていました。この「職場体験」も今では当たり前のように行われていますが、僕達の頃から授業の一環として本格的な導入が始まったようです。「職場体験」は2年生の時に行われ、僕は近所のスーパーで商品陳列や接客のお仕事をしていましたね。今思えばこの職場体験がそのまま今の仕事を暗示していたのではないかとちょっとぞっとします。確かに今僕が働いているスーパーでも毎年職場体験の生徒がやってきます。そう言えば小学生でも社会科見学でスーパーの裏側を見てみよう、といった感じでよく来ています。あの年代は好奇心旺盛で、スーパーのバックヤードなんて秘密のダンジョンにでも入るかのようなワクワクした気分でやって来るのでしょうが、今となってはHPを削られる毒沼でしかありません。そして3年生では福祉体験でこちらも近くの養護施設に一日体験に行って施設の方々と作業をしました。この「総合学習の時間」とは、幅広い知識と経験、また強化に縛られない様々な分野でクリエイティブな人材を育てるための一環だったとか何とか。始まった当初は僕たち自身何をやっていたのかよく分からずにやっていましたが。

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