ゆとり教育?

1987年あたり

 1987年4月某日、福岡県福岡市のごく普通の産婦人科で僕は産まれました。丁度この年が「ゆとり世代」を分けるボーダーラインとなっているようなのですが、これも明確な線引きというわけではなく一つの基準に過ぎないそうです。

福岡市は山と海に囲まれた自然を最も身近に感じながら都市開発も進んでいた住み心地の良い街でした。丁度産まれた頃から物心つく頃には人口も100万人を超え、政令指定都市にもなり様々なことを行っていたようです。僕の記憶自体にはありませんが、「よかとぴあ」という万博が開かれたり、「ユニバシアードオリンピック」が開かれたりなどかなり活発な活動を行っていたようで、両親もいずれのイベントにも連れて行ったり参加したりしていたらしいのですがほとんど記憶にはありません。「福岡ドーム」ができ、「福岡ダイエーホークス(現ソフトバンクホークス)」や「アビスパ福岡」で盛り上がり始めていたのも丁度この頃だったような記憶があります。僕の実家からでも未だに「油山」という山がすぐそばにあり、「脊振の峰の雲晴れて」というように山に囲まれるような場所にありますが、決して田舎という訳ではなく、交通機関を使って30分もかければ「天神」や「中州・博多」に行け、「福岡ドーム」や「福岡タワー」のある百道までは子どもでも自転車で20分ほどかければ行けるところに実家はあります。もちろん高級住宅地でも何でもないごく普通の住宅地ですし、産まれた当初は田んぼだらけの地区でした。しかし今実家に帰ると、その田んぼもほとんど埋められてしまい、住宅がどんどん増えてきていますが詳しくは後々改めて書いていきます。

 産まれた時のことといってももちろん僕の記憶に当時のことはありません。僕の両親は共働きであったため、幼少期のほとんどを祖母と過ごしていた記憶があります。祖母の家は同じ町内にあり、その祖母の家で一日の大半を過ごしていました。そこで思い出せることといえばよく「プラレール(今でもある青いプラスチック製のレールを繋げて自分でコースを作り、そこに電池で動く電車の模型を走らせるおもちゃ」で遊んでいたことや、その祖母の家ではよく改装工事が行われており、そこに来ていたいかにも90年代といった風貌の現場の兄ちゃん(多分20代中くらいの兄ちゃんだったに違いない)に遊んでもらっていたことや、祖母の家にあったファミコンで遊んでいたことでしょうか。祖母はなかなかのゲーマーだったらしく、よく暇があればファミコンをしていてそれを見ていたような記憶もあります。80歳になる今でも多分ファミコン本体を所持していると思うのですが、最近はほとんど会わなくなってしまったので分かりません。

 僕の生まれた時代は「バブル時代」であったといいますが、まだ幼かったこともあってか全くと言っていいほどその記憶はありません。どちらかといえば「バブル時代」というのはもっともっと昔のことのようにも感じ、一体この時代がどんな時代だったのか、実感はできていません。人によっては実感した人もいるのでしょうか。ただ、一つだけ実感できるのは休日の使い方。確かに「ゆとり教育」の中には週休二日制というものが導入されはじめたこともあってなのか、うちではほぼ毎週のように週末はどこかへ遊びに行っていた気もします。特に多かったのは何処かの山や遊園地。どこか山のような場所へ行けば人は多く、恐らく山菜採りや花見なんかだったとは思うのだが混んでいました。遊園地も週末は混んでいて、昔から行っていた遊園地も現在よりも遊具の数が多く、ちょっとした遊具に乗るのにも並んでいました。しかし今では行き慣れた遊園地も遊具の数は一気に減り、後に学生時代アルバイトをすることになる国立公園も僕がアルバイトをしている頃に遊具を多く設置していたゾーンは廃止され、アルバイトを辞める最後の年にはシンボルの観覧車が残るだけとなり、今では花と動物がメインの自然公園になっています。遊園地なんてものはもうどんどん無くなってしまい、千葉や大阪にあるような「テーマパーク」みたいなものしか生き残れなくなっていくのだろうかなどと考えていますがどうなのでしょうか。

それからしばらくして5歳になる頃には近くの幼稚園に通い始めました。そこで今でも付き合いのあるような友人と出会ったり、集団生活を学んだりと家族以外の関わりを持つようになります。更に6歳になる頃には妹が誕生し、この辺りから所々はっきりと思い出せることが増えてきます。この兄弟が増えるということは恐らく僕の人生で初めの大きな出来事だったのではないでしょうか。

 そうこうしているとあっという間に幼稚園卒園、ついに学校というフィールドへと移る準備が始まります。

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