でっかいカ。

 いつものバス停にて――


「牛丼屋でもあり、カレ~の潜在能力も高いチェ~ン店が二六日に刷新?」

 月夜がグルメ系アプリの中にあった、そんな記事を読んでいた。


「オム牛カレ~? なかなか良さそうじゃない!」

 そんな事を言いながら、続きを読み進める。


「タマゴでとろけるチ~ズとほうれん草を包んだオムに牛肉とカレ~をのせた品。ル~には味をマイルドに仕上げるためにヨ~グルトを混入させている。オムを割るとチ~ズでてくるのかしら? それを肉と絡めてさらにカレ~……いいわね!」

 瞳を牛にしながら、そんな事を言っている月夜の隣では、


「アメリカでデッカイ『カ』がゾ〜ショクチュ〜?」

 イブキがそんな記事を読んでいた。


「タイチョ〜2センチでながいハリをもち、あつでのフクのうえからでもヒフまでとどくっ⁉︎ こ、こんなモンスタ〜がっ⁉︎」

 イブキが人の指にとまる蝶ほどあるデカイ蚊の画像を見て身震いする。


「こ、こんなんにさされたら……」

 イブキの脳裏にでっかく盛り上がって腫れる腕のイメ〜ジが浮かぶ。


「太い針をもち刺されたら『燃えるような痛みが襲う』って書いてあるわね」

 隣で月夜がスマホ画面を覗きこみ読み上げる。


「アンタ、蚊に好かれるやすいんだからきをつけなさいよ」


「……べつにすきですかれてるわけじゃないモンっ!」

 そう言うイブキの頬には蚊がとまっていた。

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