めガ。

 いつものバス停にて――


「アメリカのテキサスでブル~ドラゴンがはっけんされるっ!?」

 イブキがそんな記事を読んでいた。


「ぶ、ブル~ドラゴン……」

 人を背に乗せて蒼穹を翔る青い爬虫類の姿をイメ~ジする。


「いい! そのままマオ~じょ~までいってもかしくないコ~ケ~だねっ! ドラゴンライダ~はオトメのユメだよっ!!」

 そんな世界中でイブキしか夢みていない事を口にしながら瞳を輝かせる!


「はっけんされたのはパドレしまってゆ~トコで『アオノウミウシ』とゆ~ウミウシのなかま……インドよ~にセ~ソクしていて、タイチョ~やく3センチ……」

 記事を読み進めて、画像が表示されると急速に興味を失っていく。


「……ドラゴンじゃないじゃん」

 画像を見ながら、そんな声を洩らすイブキの隣では、


「回転寿司チェ~ンがテイクアウト専用で三、五キロのチラシ寿司にイクラを持った『メガ海鮮イクラちらし寿司』を販売っ!」

 瞳をイクラにしながら、グルメ系アプリの中にあったそんな記事を読んでいた。


「しかも海苔が五〇枚ついてくる……まあ、これはいいわ」

 最後に海苔だけパリパリと食べてる様をイメ~ジしながら、


「価格は約一〇〇〇〇円……テイクアウト二〇パ~セントびきを使えば八〇〇〇円……少し高いケド、まっ! 三、五キロだモンね~」

 上機嫌でそんな事をいう月夜に、


「これパ~ティ~よ~だよ」

 一人で食べきる気満々の月夜にはその言葉は届かなかった。

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