きめラ。

いつものバス停にて――


「暑いときの肉まんはいいわね〜」

月夜が猛暑の中、ホカホカした白い物体を両手に持ち交互に食べていた。


「しかも、なぜか誰も頼まないからいっつもあるのよね〜。店員さんもウチ顔見た瞬間に紙袋に入れはじめてるし」

そんな事を言いながら片側をガツガツと平らげる。


「へぇ〜……ほかのコンビニでもでるのね中華まん。オデンもやるんだ〜。暑いのに勝負かけるわね〜」


「オデンって現物みると、無性に食べたくなるのよね〜。あの魔力は牛丼にもない特殊な物だわ」

そんな妙な感心をしている隣では、


「チュ〜ゴクがヒトとサルのキメラをセ〜ゾ〜かぁ〜……」

イブキはテクノロジ〜系ニュ〜スの中にあった、そんな記事を読んでいた。


「シヨ〜ヨ〜トはフメ〜だけど、そんなケンキュ〜ほんとにやってんのかなぁ〜? モンキ〜ソルジャ〜でもつくるのかなぁ〜? ヒトをキョ〜カしてもゲンカイがあるしコ〜リツわるいきがする」


「パワ〜ドス〜ツとかそ〜ゆ〜のにしたほ〜がいいとおもうけどなぁ〜……」


「でもさ、遺伝子操作とかで恩恵あるんじゃない? 二つの異なる遺伝子組み合わせると……」


「あわせると――」


「すっごい牛丼に合う肉質の牛ができるっ!」


「そんなカナシ〜さだめのウシさんつくちゃダメっ!」

胸の前で腕を交差させ『×』をつくりながら、


「遺伝子操作で貧乳がなくなると思うし」


「! そ、そっかぁ〜……いいかもぉ〜」


「うまれかわらないとダメだケドね〜」

その言葉も巨乳を夢見るイブキの耳には届かなかった。

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