すくイ。

 いつものバス停にて――


「八月一〇日は語呂合わせでヤキトリの日?」

 月夜がグルメ系アプリの中にあった、そんな記事を読んでいた。


「ヤキトリの日に浅草にある有名店でヤキトリ一本を一〇円っ!? いいじゃない! 一〇本でも一〇〇円……一〇〇本でも一〇〇〇円じゃないっ!!」

 月夜は五、六本の串をパクっといっきに口にしれる自身の姿をイメ~ジしながら、


「一〇〇本一〇〇〇円……」

 月夜がそんな事を言っている隣では、


「おまつりのテ~バン、すくいケ~のがおおいおまつり?」

 イブキがそんな記事を読んでいた。


「なんたらすくいっていったらおまつりのゲ~ムでテッパンだよねっ! イブキさんにすくえないモノはないってってほどのウデがさわぐぜぇ~」

 手をワキワキさせながら、


「ト~キョ~のオオテマチエンニチでは25メ~トルのスイソ~でさまざまなモノがすくえる? へェ~……そ~なんだぁ~」

 様々なモノが浮かぶ水槽の画像を見ながら、


「テ~バンのキンギョはもちろん……ミニトマト? そんなモノもすくえんだぁ~……ス~パ~ボ~ルすくいとにたよぉ~なモンかなぁ~?」

 イブキは鮮やかな手際でゴム製の球体を器にすくっていく姿をイメ~ジする。


「ほかにはぁ~……アヒルすくい? これはしらないなぁ~?」


「す、すくったアヒルって食べていいの?」

 ヤキトリ画像を見たまま月夜が口を挟んでくる。


「……アヒルって、おフロとかにうかべるアヒルがたのオモチャのコトだよ」

 呆れながらビニ~ル製のアヒル画像を見せるイブキだった。

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