たコ。

 いつものバス停にて――


「タコはすっごいんだよっ!」

 イブキがスマホを見ながら、そんな事を言ってくる。


「オスはねぇ~。いっぴきのメスをうばいあうよ~にたたかうんだよっ! あまりのはげしさにド~タイやウデとかがちぎれちゃったりもするのっ!」


「それでかちのこったオスとメスはウンメ~てきなであいをして……」

 夢見るオトメのような表情とポ~ズをとりつつ、


「す~じかんをかけて、いつくしむかのよ~にアイをかたりあうふた――ニヒキ。オスはアイのコ~イがおわるとちからつきるウンメ~そのまま……そのままくらい、くらいウミのそこへ……」

 まるで奈落の底へ落ちていく恋人へと腕を伸ばすかのようなポ~ズで、


「メスはあんぜんなトコでサンランするんだけど、タマゴがかえるまでイッシュンもはなれないんだよっ! ゴハンもたべずにハントシから10ヵゲツもっ! タマゴについたゴミやカビをとりながらず~~~~~~~~~~~~~~っとそんなふ~にすごして……こどもたちが……コドモたりがぶじにかえったのをみとどけたらしんじゃうんだよっ!!」

 感極まって泣き出すイブキ。


「そんなタコさんをたべまくりたいのっ!」

 八月八日のタコヤキ激安キャンペ~ンのために作戦をたてている月夜に向かって。


「うん。だって、おいし~じゃないっ!」

 まったくブレる事なくそう言い切る月夜さった。

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