あメ。

いつものバス停にて――


「こ、コ〜ラあじのアイスっ⁉︎」

イブキが昨日の悪天候で小雨が降り、ジメジメとした湿気の中、そんな声をあげる。


「イブキさんのすきなモノがガッタイしてるっ! これは……まさに……イブキさんのためにあるよ〜なモノっ‼︎」

ゼブラ柄の傘を振り回し、喜びを表現する。


「ちょ――雨粒がとんでくるからっ!」

月夜は地味な真っ黒の紳士様傘で器用に雨粒を受け止めながら、抗議する。


「月夜だってギュ〜ドンあじのギュ〜ドンでたらこ〜なるってっ!」


「それフツ〜の牛丼じゃない。あっ! 雨ちょっと強くなった?」

傘を叩く音を聴きながら、


「こんだけふるとマチがプ〜ルみたいになりそ〜だよね! ほら、よくニュ〜スえ〜ぞ〜とかにありそ〜な」


「あれってすっごい被害でるんでしょ。車とか完全に故障するそ〜じゃない」


「そうなんだぁ〜。いっかいでいいからあのなかおよぎたいよ」

イブキは水の溢れる街中をクロ〜ルで進撃する姿をイメ〜ジする。


「そう? あの水かなり汚いわよ。それにあんだけ濁ってるとすぐ下に障害物あってもわからないから棒で先をつついてゆっくり進むってならわなかった?」


「でも、およいだほ〜が「ポストとかに激突するわよ」」


「うっ!」

イメ〜ジの中で進撃していたイブキの真下に赤き使者があらわれ胸を強打する!


「……うっ! い、イブキさんがキョ〜ニュ〜じゃなかったらソクシだった……」

イメ〜ジの中のイブキがエアバックなみの巨大な胸をしていた。


「じゃ、即死じゃない」

イメ〜ジが視えていない月夜がそう言うのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る