でっとらいン。

 いつものバス停にて――


「香港で大量のお金が撒かれるっ!?」

 月夜が話題の記事を集めたアプリの中にあった、そんな記事を読んでいた。


「香港の電気街にあるビルの最上階から一〇〇香港ドル――約一五〇〇円の紙幣が大量にバラ撒かれる事件がおこった。ネット上には犯人ともわれる犯行声明で裕福層から奪った貧困者を救済すると声明をだしたが、実際に誰がやったかは断定されていないか~……冬コミも近い日本でもやってくれないかしら?」

 月夜が冬休みの予定に向けて、お金の計画をしていると、


「月夜、月夜。いいオシゴトあるよ~」

 イブキが手招きをしながら、そんな事を言ってきた。


「え~!」

 月夜がロコツに嫌そうな表情をする。


「アンタのもってくる仕事って全部あやし~んだモンっ!」


「こんかいはイッセンマンだよっ! イッセンマンえんっ!!」


「なんか……ますます怪しくなったわ」


「コ~ラのカイシャがいちねんかんスマホいじらなかったらイッセンマンえんあげるキャンペ~ンやってんだよ!」


「無理っ!」

 内容を聞いて即答する月夜。


「人間は食べ物なしで三週間、水なしで三日間、牛丼なしで一日、スマホなしで六時間ってデッドラインがあんのよ」


「そ~そ~。スマホないジダイにうまれたヒトはヘ~キだけど、いまのジンルイはそんなかんじだよね~。イブキさんたちはスマホないといきてけないモン!」


「そ~そ~。それと牛丼ね」


「それはなくてもい~かな~」

 かたくなにネジ込んでこようとする月夜にそう返すイブキだった。

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