かニ。

いつものバス停にて――


「あの牛丼チェ〜ンがコロッケ?」

月夜がグルメ系アプリの中にあった、そんな記事を見て驚きの声をあげた。


「今までいろいろあったケド……」

そう言いながら月夜は今までの新メニュ〜を思い起こす。


暑い時期にサッパリした味わいでなかなか評価できたタコライス。


寒い時期、舌が燃えてんじゃないかって思うほど辛かった。鬼辛豚チゲ鍋御膳。


「それがコロッケ……」

夏の青空に平皿のライスと御膳が浮かび、それを見ながら、そんな呟きを洩らす。


「なにこれっ! カニのハサミコロッケのってんじゃっ‼︎」

イブキが月夜の見ていた画像に反応する。


「中はクリ〜ムらしいわよ」


「カニのハサミクリ〜ムコロッケっ!」

冷やかに語る月夜とは対照的にテン上げしまくるイブキ。


「そんなんゼッタイおいし〜やつだよっ!」

イブキはハサミ部分をもってサクサクのコロッケを食べるシ〜ンをイメ〜ジする。


「おぉ!」

恍惚とした表情のイブキを眺めていると、月夜が何かに気づく。


「そっか! 夏休みで子供が多いから子供ウケしそ〜なメニュ〜を新商品にしたんだっ!」

やるわね洩らして、そう得心する月夜だった。

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