か。

いつものバス停にて――


「ニンニクの芽牛丼っ⁉︎」

月夜がグルメ系アプリの中にあった、そんな記事を読んでいた。


「このあっついのに、よくそんなモンよんでられるね〜」

イブキはチュ〜チュ〜吸う感じのアイスを持ちながら、ウンザリした表情で言ってくる。


「牛丼とニンニクよ! これを毎日食べてればアンタみたいにダルそ〜になんないわよっ‼︎」

月夜は陽射し避けに頭にのっけたタオルを翻しながら言い切る。


「いや〜……そ〜ゆ〜けど、こ〜あっついとね〜アイスしかたべたくなくなるよ〜」

そんな事を洩らしながらチュ〜っと一口吸う。


「体温下げるこはいいけど、栄養価ひくいわよ」


「せやかてクド〜。こ〜あっついとおニクなんてたべれないよ〜」

イブキが西の名探偵のモノマネをまじえつつ、


「誰が工藤よっ! それに暑くていい事もあるのよ」


「そ〜なの?」


「アンタ、今年は蚊に刺されてないよね?」


「ん? そ〜いわれてみれば……」

イブキは自分の腕や脚を見ながら、


「蚊って三五度で活動低下、四〇度で死んじゃうだって、今年の猛暑で蚊があんましいないってウワサになってるわよ」


「へェ〜……でも、カいてもいいから、もうちょっとすずしいほ〜がいいな〜」

ギラつく太陽にそう洩らすイブキだった。

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