さいずあっプ?

 いつものバス停にて――


「ふわとろ豚と温野菜定食かぁ~」

 月夜がグルメ系アプリの中にあった、そんな新商品を紹介した記事を読んでいた。


「班長も言ってたけど、『ふわとろ』って付けるとハ~ドル上がっちゃうケド、大丈夫なのかな?」

 月夜が地下世界で働く糸目のオッサンを思い起こしながら、


「厚切りの豚肉にオイスタ~ソ~ス……よ、良さそうじゃない!」

 読み込まれた画像を見ながら、そんな事を言う。


「これは一回食べておかないといかないわね~」

 月夜がそんな事を言っている隣では、


「ランジェリ~ショップでムネをはかってもらうと、ジブンがおもってたとりもおっきくなるっ!?」

 イブキがそんな記事を読んで、瞳を期待に輝かせる。


「そ、そうだったんだ……」

 イブキが自身の胸を見ながら、


「Bカップだとおもってたヒトがランジェリ~ショップでハカってもらったら、Fカップだったっ!? そっか~……そんなにもちがうんだ~。あまりのサイズアップにギワクのコエも――」


「確かによく聞くわよね。さすがにBからFはちょっとわからないケド」


「そなんだ~。イブキさんはいっかいもないけど」


「それは……」


「ねね、イブキさんもはかってもらったらおっきくなってるかな?」


「いや。人によるし、だいたい購入予定あんの?」


「ん~……ないけど、ハカってもらうだけとか……」


「買わないならやめときなさいよ」

 全く成長していないイブキの胸を見ながら、やんわり制止する月夜だった。

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