つねづネ。

いつものバス停にて――


「も〜すぐバレンタインかぁ〜」

イブキが寒々い冬の空に白い息とそんな声を洩らした。


「あげる予定の男性なんていないでしょ?」


「う〜みゅ……バレンタインにかんしてはイブキさんちつねづねもらうほ〜がいいかな〜っておもってんだけどね」


「たまにはウチがあげよっか?」


「え〜! 月夜のチョコとかなんか……」


「なによ?」


「ニクはいってそ〜だし……」


「いれないわよっ! そんな勿体ないっ‼︎ チョコいれるぐらいなら自分で食べるしっ‼︎」


「そ〜いわれてみればそ〜かも? でも、ぜったいマズよね?」


「なんかあげたくなくなってきた……ウチだって市販の物溶かして型にハメるぐらいできるわよ」


「でも、メンド〜になってちょっとついてるやつは『オマケだからいいよね?』とかいってカタチがイビツなやつになりそ〜」


「それは――ほら、食べるトコ多いほうが貰ったほうも嬉しいかな〜って……?」


「そゆトコ、オトコっぽいよね月夜」


「べ、別にいいでしょ」


「う〜みゅ……べつにいいんだけど、そんなブキヨ〜な月夜がイブキさんのためにチョコつくってくれるとおもうとなんかうれし〜な〜って」


「そ、そう改まって言われると……」


「あっ! ついでにスタバのバレンタインチョコホリックフラッペもつけて」


「おまえそっちが本命だろ?」

追加注文をしてきたイブキにそう言い返す月夜だった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る