くマ

 いつものバス停にて――


「ぬう……クマパンチくらってしんだ……」

 イブキがスマホにかじりつきながら、なにかを一生懸命プレイしていた。


「ぬわっ! ガ~ドミスってユカペロっ!! さむくってテがうごかなかった……」


「さっきから何やってんの?」

 事あるごとに悶絶するイブキの様子を見ていた月夜が尋ねてくる。


「ただのシ~イクゲ~ムだよ」


「どこでも一緒みたいな?」


「そうそう! そんなかんじのやつ」


「へぇ~……なに育てんの?」


「ん~……クマさん」

 そういってイブキが見せるスマホ画面には『クマさん』と呼ぶには凶悪なワイルドすぎるリアルベア~が映っていた!


「な、なんか思ってたのと違うわね……で、ハチミツあげたり一緒に散歩したりするの?」


「ううん。リンゴとかあげんだよっ!」


「よかった。グラ以外はまとも――」


「キゲンわるいとおおあばれしてヘヤはメチャメチャになってたべられたりするけどねっ!」


「まともじゃなかったっ!? ぜんぜんほのぼのしてないじゃん!


「そりゃ~クマさんだモン! あっちはプレイヤ~をエサとしてニンシキしてないし」


「そんなトコ、リアルに作られてもっ!? もっと動物とほのぼのするゲ~ムを――」


「いやいや、クマさんはキケンなド~ブツをニンシキさせてくれるリッパなゲ~ムだよ」


「ウチはハチミツしか舐めないモフモフしたクマとほのぼのライフなゲ~ムのがいいわ」

 イブキの画面の中にいる凶悪なワイルドベア~が右フックをしてくるのを横目に見ながら、そんな事をいう月夜だった。

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