みやぶリ。

いつものバス停にて――


「くっ!」

イブキがゲ〜ム系ニュ〜スを見ながら、そんな声を洩らす。


「つ、ついにレイテはじまっちゃうんだ……」

まるで死の宣告をされたような表情で、


「みんがレイテレイテ、こんどこそレイテいってたのにココロのどっかでは『いや、ホントにきたらタイヘンだからっ! とりあえずいってるアイダはこないから……』みたいなフンイキだったのにっ‼︎ ついにきちゃたっかぁ〜……」

そう言いながら、イブキの顔ははやく鍛え上げた自慢の精鋭を難関に送り出したい歴戦の指揮官のようになっていた。


「かぜが……こんどのコ〜さくせんはあれるな……」

からっと晴れた秋空を見上げながら、そんな事を言っているイブキの隣では、


「そ、そうだったんだっ⁉︎」

グルメ系アプリを見ながら、月夜が驚愕の表情をしていた。


「ん? どったの??」


「いや、旅館に泊まると毎回ウチの前にお櫃が置かれるから、不思議におもってたんだけど……」

そう言いながらスマホ画面を見せ、


「あれってウチにじゃなくって下座に置いてたんだって」

そういわれて思い起こすと、中学も高校でも修学旅行で月夜はお櫃でそのまま米を食べてた気がする。


「そういえばそんなんだったよ〜な〜……」

周りの女子は小盛りのご飯をチビチビたべてる中でもなぜか違和感なくお櫃ごと食べてた月夜。


「いや、これは月夜のトクセ〜をみぬいたナカイさんはいたカノ〜セ〜も……」

再び歴戦の指揮官っぽい表情でそんな事を思ってしまうイブキだった。

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