しわザ。

 いつものバス停にて――


「んっ!?」

 月夜が愛用のグルメ系アプリを見ながら、そんな声を上げる。


「すた丼とラ~メンがコラボした総重量一、二キロの肉盛りすたみな麺っ!? いいじゃないっ! 肉、麺、米と無敵の三銃士に一、二キロといったボリュ~ム――どれをとっても最高じゃないっ!!」

 月夜が瞳の中に『♡』を灯しながらそんな事を言っている。


「月夜、月夜」

 そんな風に一人でテンション上げている月夜にイブキが声をかけてくる。


「ん?」


「ダメだよ! こんなコトしちゃ~」

 そういってイブキが見せてくるスマホ画面には、


「なんでこれバス停が二つ隣あって並んでんの?」

 イブキのスマホ画面には月夜の言う通り、それぞれ別々の地名が――書かれ隣あってるバス停の画像。


「これ月夜がやったんでしょ?」


「う、ウチじゃないわよっ!」


「ほかにこんなおもいモノはこべるヒトいないよっ!」


「こんなん誰でも運べるわよ」

 そういって傍らのバス停をヒョイと持ち上げてみせる。


「ね」

 満足そうな表情でバス停を『ドシン!』と下ろし地面にクモの巣状のヒビを作る。


「ん~!」

 それを見てイブキも同じようにしてみるが、当然少しも持ち上げる事ができない。


「ほら、やっぱり月夜いがいムリだよ。なんでこんなイタズラしたかしんないけどちゃんともどしといてよ」


「だからウチじゃないって!」

 いわれのない冤罪を被った月夜だった。

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