ぼくト~

 いつものバス停にて――


「八〇〇グラムから一二〇〇グラムもあるトマホ~クステ~キっ!」

 月夜がグルメ系アプリの中にあった、そんな記事を発見し、声を上げる!


「ボリュ~ムある骨つきステ~キで家族で切り分けて食べよう? 家族? 家族で一二〇〇グラムは少ないなぁ~……ウチ――一人前ぐらいなそこそこな量だケド……」

 月夜は骨が柄の様になって、肉が刀身部分に見えるトマホ~クステ~キの画像を見ながらそんな事を言う。


「ん~……」

 イブキが修学旅行帰りらしき中学生を見ている。


「ね~ね~月夜」

 ふと何かを疑問に思ったのか、隣にいる月夜に話しかけるイブキ。


「オトコのコってボクト~すきだよね?」

 修学旅行生のカバンから突き出ている木製の棒を見ながら、


「そ~いえば、小学生の頃も中学も高校でもクラスの男子はみんな木刀買ってたわね~」

 月夜が思い出しながら、同意した。


「なんで、そんなモンかうんだろ~?」


「さぁ? おみやげ屋さんで木刀買わないと死ぬ病気にでも罹ってんじゃない? 割と年配の人も買うし」


「そなの?」


「うん。男性の趣味に詳しいアンタは買わないの?」


「う~ん……ライトセ~バ~ならかうかな」


「……おみやげもの屋に並んでる物体じゃないわね」

 イブキの答えにそう洩らす月夜だった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る